水前寺という地域の名称の由来は、平安時代に熊本に存在していたお寺にちなんでいます。
日本書紀によると、国府ができて第一代の国司に道君首名(みちのきみのおびとな)が任命されました。首名は農民に農業や家畜を勧め、また干ばつに備えいくつもの溜め池を造らせたといわれています。首名が亡くなった後、人々はその徳を慕って住居の跡にお寺を建て、それを水前寺と名付けました。しかし平安時代末期に焼失し、現在では玄宅寺と鳥居の中間に水前寺廃寺の礎石が四箇所あるだけとなっています。
年号
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主な出来事
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1632
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寛永9
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12月9日
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細川忠利小倉より熊本に入城
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1636
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寛永13
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国分の御茶屋が造られる
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豊州国小倉の羅漢寺が移され「水前寺」と呼ばれる
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1646
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正保3
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国分御茶屋が水前寺所有となり「水前寺御茶屋」と呼ばれる
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その後「玄宅寺」と改称
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周囲は畑
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1665
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寛文5
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水前寺、廃寺になる
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御茶屋は肥後藩所有に
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1670
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寛文10
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肥後藩の御茶屋としての大規模な庭園の建設が以後11年をかけて進められる
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お茶屋は「酔月亭」として現在の古今伝授之間の位置に造られた
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※陶淵明の詩から引用して「成趣園」と名づけられる
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1755
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宝暦5
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藩の財政緊縮のため酔月亭を残し他の建物は取り壊される
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1759
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宝暦9
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平賀源内著「物類品隲」で水前寺菜が紹介される
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※記述は「スイゼンジソウ」
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※元は「水前寺草」だったかいつの間にか「水前寺菜」に
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※金沢でも栽培されており、そちらでは「キンジソウ」と呼ばれている
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1809
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文化6
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稲荷神社、京都伏見より御勧請
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1871
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明治4
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10月
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長崎から大工を雇いジェーンズ邸を建てる
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1877
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明治10
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2月
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西南の役
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西南の役により酔月亭・玄宅寺焼失
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5月1日
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ジェーンズ邸2階で博愛社(現在の日本赤十字社)が創立
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1878
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明治11
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出水神社造営
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1898
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明治31
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3月
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夏目漱石、第三の家より転居
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※大東亜戦中に取り壊される
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1912
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大正1
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細川家の旧地長岡天満宮にあった古今伝授之間を酔月亭跡に移建
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1929
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昭和4
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1月26日
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水前寺公園東側に水前寺動物園開園
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10月
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出水神社五十年祭で水前寺成趣園入り口右側に「永徳報恩の碑」が建立される
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1951
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昭和26
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7月
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水前寺運動公園内に熊本市水前寺競技場開設
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8月15日
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※第一種甲公認陸上競技場となる
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10月
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※第15回熊本国体の主会場となる
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1958
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昭和33
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9月1日
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熊本市体育館落成式
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※後の熊本市総合体育館建設に伴い、「水前寺体育館」となる
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1963
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昭和38
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12月20日
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熊本市水道局新庁舎完成
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1965
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昭和40
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出水神社の能楽堂、火災により焼失
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1967
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昭和42
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3月2日
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神水町の国立蚕糸試験場跡に県庁完成
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1969
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昭和44
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2月
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水前寺動物園閉園
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4月1日
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水辺動物園として江津湖畔に開園
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1970
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昭和45
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町名としての水前寺が成立
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※当時の世帯数4389、人口13884
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10月
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水前寺公園動物園跡にジェーンズ邸移築復元
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11月
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熊本市指定有形文化財になる
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1971
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昭和46
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4月
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ジェーンズ邸、県指定有形文化財になる
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9月8日
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熊本武道館落成
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10月6日
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熊本武道館開館
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1972
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昭和47
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中央病院内にあった夏目漱石第三の家を水前寺公園動物園跡に移建
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1973
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昭和48
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記念碑「光復」が復元再建される
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1977
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昭和52
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ジェーンズ邸前に赤十字創立100周年記念碑「愛の手とこしえに」が建立される
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1978
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昭和53
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6月
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全天候型陸上競技場完成
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1979
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昭和54
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水前寺公園の池の水位低下に伴い、深さ30〜90メートルの三本の井戸を掘り取水後、池に流す
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1985
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昭和60
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昭和天皇御在位六十年を記念し、旧八代城主松井家により能楽堂が出水神社に移築奉納される
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1986
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昭和61
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7月9日
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協和発酵熊本工場跡地、水前寺江津湖公園に熊本市総合体育館・青年開館完成
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水前寺公園のなぜなに??
★水前寺成趣園の庭園の作りは桃山式回遊庭園で、東海道五十三次の景色を植木や池などで見事に作り出し
ています。園内には小高い山がありますよね?実はこの山は富士山を模したものなのだそうです。この景色を見
て細川公もちょっとした旅行気分を味わっていたかもしれませんね。
参考文献
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『出水校百年史』出水校創立百周年記念事業実行[編] 出水小学校 1975年出版
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『平成肥後国誌 下巻』高田泰史[著] 平成肥後国誌刊行会 1998年出版
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『角川日本地名大辞典 43熊本県』「角川日本地名大辞典」編纂委員会[編] 角川書店 1987年出版
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