今月の一言

令和元年12月


12月22日、イチロー杯争奪学童軟式野球大会の閉会式に出席したイチロー氏の話がとても
心に残りました。
「教える側の立場も難しいらしいですね。先生よりも生徒のほうが、力関係が強くなって
しまっている、というような状況があるみたい。このことに僕は今、心配している。
どうやって教育するんだろう、とよく考えることがあります。時代の流れなんでしょうけれど、
先生から教わる大切なことはたくさんあります。謙虚な気持ちで受け止めてほしい。厳しく
教育するのが難しくなっているらしい中学校、高校、大学。社会人になる前に経験する時間、
そこで自分自身を自分で鍛えてほしいというふうに、今、そのことがすごく大事な事だと思い
ます。厳しく教えることが難しい時代に、じゃあ誰が教育をするのかというと、最終的には、
自分で自分のことを教育しないといけない。そういう時代に入ってきた。自分には厳しい先生
がいたので、なかなかそうは思えなかった。今は、それが大切なことと覚えておいていって
ほしい。」
「もう一点、これも時代。いろんなことが情報として、すぐ頭に入れられる。すぐ、携帯でね。
スマホなんかで調べれば、いろんなことがわかる時代になりました。僕が27、28歳に大リーグ
に挑戦したわけだけど、外に出て初めてわかること、調べれば知識としてわかることであって
も、行ってみて初めてわかることってたくさんあって、それは、野球の狭い世界だったんだけれ
ども。やっぱり外に出て、傷つくことだってあるし、楽しいことももちろんいっぱいある、
勉強することはいっぱいありました。それを知識として持っておくのではなくて、体験して
感じてほしい。今まであった当たり前のものというのは、決して当たり前ではないというふうに
気づく。価値観が変わるような出来事を、みんなに体感してほしいというふうに思います。」
と語られました。

私は、高校から大学に進学したタイミングで、学生や保護者に話をする機会があるときには、
「じりつ」するよう話してきました。「自立」と「自律」。親元を離れて自立をすることと、
自分を律すること。特に自律が大切です。
大学では、高校までのように先生から細かく指導されることはありませんので、しっかりと
自分をコントロールする術を身につけないといけません。
イチロー氏は、中学生からその心が大切であると説かれています。
自分の子どもたちを見ていると、自学もできない雰囲気なので、難しいなと感じますが。
情報があふれている現代のなかで、今意識しないといけないのは経験知だと思います。
いろんな経験をしている人の話にはリアリティと凄みがあります。
部員のみんなには、ソフトボールに限らず、失敗体験と成功体験を積み上げて、人間の幅を
広げてほしいと願っています。



熊本学園大学 女子ソフトボール部
コーチ  井上博司

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