では現在ネット上に存在する電子商店はどのような決済手段をとっているのだろうか。 |
ECOM(電子商取引実証推進協議会)が99年3月にまとめた調査からこんな実態が明らかに |
なった。急拡大する電子商取引市場を狙って、金融機関やクレジットカード会社、さらには決 |
済代行を請け負うベンチャー企業までが電子決済業務に相次いで参入している。 |
しかしこの調査からは、電子決済手段は販売業者や利用者から十分な支持を得ていないこ |
とが浮き彫りになった。 |
同調査では、ホームページ上で商取引を行っている電子商店の中で粗利の段階で黒字を計 |
上しているか、堅調に売上を伸ばしている110の電子商店に、決済手段、商品内容、売上高 |
など60項目についてのアンケートを行った。その結果、決済手段については、代引きを採用 |
している電子商店が110商店のうち61商店と最も多かった。以下、後払いの振込が55商店、 |
前払いの振込が44商店、アコシス(アコムの後払い式電子決済サービス)が26商店、クレジッ |
トカードによる電子決済が20商店となっている(回答は複数回答)。 |
通常の通信販売で主力となっている代金引き換えと振込がネット販売でも多く利用されている。 |
→日本の電子商取引における決済手段グラフ |
代引きや振込は、販売業者にとって初期投資が少なくて済むというメリットが大きく、消費者に |
とっても事前契約など面倒な手続きをすることなく簡単に決済ができ、しかも商品に間違いや欠 |
陥がないのを確認してから支払えるので安心である。電子決済手段は、それを超えるだけのメ |
リットを提供できていないのではないだろうか。 |
国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられたインターネット・ショッピン |
グに関する苦情相談件数は1997年に262件と、95年度の5件、96年度の61件から急増している。 |
その内容は「商品が届かない」「契約した覚えのない商品が送られてきた」「送付されてきた商品 |
が注文の内容と違う」などである。 |
では、サイバーショップはどのようにすれば消費者の「安心」を得られるのか。まずはホームペー |
ジで電子店舗とサービス内容をきちんと明示することが第一歩となるはずだ。 |
通産省は99年5月19日、98年に引き続き2回目となる「インターネットサーフデイ」の実施結果を発 |
表した。「訪問販売等に関する法律」(訪問販売法)で規定された表示義務の中から代金の支払い |
方法と時期、商品引き渡し時期など9項目を選び、インターネット通信販売業者がこれを順守して |
いるかどうかを調査したもの。違反している業者には同日付けで、改善を求める警告メールを発 |
した。
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日本国内のインターネット通信販売業者の数は1万3000を超えるといわれるが、通産省が調査し |
たのは1521業者。1項目以上の欠落があった事業者は集計対象の3分の2にあたる68.1%(1036社) |
にのぼった。項目順に見ると多い順に、「商品等の返品の可否と条件」(65.2%)、「代表責任者氏名」 |
(64.8%)、「商品の引き渡し時期」(33.9%)、「代金支払いの方法と時期」(13.1%)などとなっている。 |
もっとも、一般消費者が割賦販売法の表示義務を理解し、ホームページをチェックするのは困難 |
だ。そこで日本通信販売協会は「オンラインマーク制度」に向けて動き始めた。同協会は訪問販 |
売法などを踏まえて策定した「通信販売業における電子商取引のガイドライン」に基づいてインタ |
ーネット通信販売業者を審査し、適正と認められた事業者には「オンラインマーク」を付与するも |
の。審査内容はホームページの表示だけでなく、事業者の身元確認や苦情相談体制の有無を調 |
べるなど、踏み込んだものとなる。同協会は99年8月から実証実験を始め、その後本格的な活動 |
を行う計画だ。同制度はクレジット会社が金融機関などが加盟店を認定する際の重要な指標にも |
なりそうだ。しかし、同制度は法人格の事業者が対象のため、現実には最もトラブルが多いといわ |
れる個人間取引には効果がない。例えば米国の消費者団体National Consumer League(NCL)の |
調査によると、98年に同センターに寄せられたインターネット取引に関する苦情(約8000件)のうち、 |
約70%がオークションなどの個人間取引だった。 |
同センターの調査では、個人間取引の大半は小切手や為替、現金といったオフラインの決済手段 |
が利用されていることも分かった。こうしたトラブルを抑制するためにも、個人認証機能を備えた電 |
子決済サービスの普及が望まれている。 |