●ums.styのクロス・プラットフォーム化
2003年1月7日記
2003年1月10日補訂

本ページで配布している平成明朝-W3 JISX 0212補助漢字Type1フォントの利用は、OSX上でのpTeXにおいてJIS 0208外の漢字文字種を利用し得る数少ない方法であるが、得られるPDF/PSファイルに必ず補助漢字フォントのグリフを埋め込まなければならず、その場合JIS 0208内部分と補助漢字部分とでフォント種が変わってしまう等、「完全」とはいえないものであった。また何より、OSXにはヒラギノ明朝・ゴシックというUnicodeフォントが標準で用意されており、PDF自体にはUnicodeサポートの機能があるにも拘わらず、これを直接利用できないことには切歯扼腕の感があったといえよう。

一方、Windows98以降やはりMS明朝・ゴシックというUnicodeフォントを備えるようになったWin32系環境においては、そのJIS 0208外部分の文字種をUnicodeで指定して呼び出し利用するためのums.styが稲垣淳氏により、2001年7月にdviout MailingListをとおして公表され、これが角藤亮氏によるWin32TeXに含まれ配布されたことにより、比較的広く普及することとなったようである。しかし、これはMS明朝・ゴシックという物理フォントに依存するものであったため、残念ながらWin32以外の環境への応用や可搬性はあまり考慮されてはいなかった。

ところが最近、ums.styを用いたTeXファイルであっても、角藤氏が用意されたVirtualFontを利用しdvipdfm(x)で処理することにより、MS明朝・ゴシックに物理的に依存せぬPDFを得られること、つまり、Win32以外の環境でも処理・利用できることが実証された。より具体的には、Unicodeフォントを利用したPDFブラウズが可能な環境であれば、フォントを埋め込むことなくJIS 0208部分と非JIS 0208部分とを同一のフォント種で表示・印刷可能なのであり、これは事実上、殆どの環境での可搬性が保証されたものといえよう。この事実を踏まえ角藤氏ご自身によってWin32TeX関連アーカイヴ群の一部として、クロス・プラットフォーム利用が可能なようにums.styおよびtfm・vfをパックしたアーカイヴを提供していただけるようになったが、MacOSXへのインストールをより簡便にするため、稲垣・角藤両氏のご承諾をいただき、本ページでも、そのインストーラ・パッケージを提供できることとなった。さらに角藤氏および内山孝憲氏のご尽力により、DVIwareとしてdvipsのums.sty対応拡張版である“udvips”も用意され、また、内山氏がMxdvi 0.236での対応を実現してくださるなど、ums.styの利用可能範囲は急速に広がりつつある。これによりOSX上のpTeXのみならず、各種プラットフォームでのJIS 0208外文字種の利用を、より容易かつ適切なものにし得るとともに、規格としては問題含みのものとされてきたJIS X 0212補助漢字用のType1フォントの必要性もかなり薄れることとなったといえよう。よってアーカイヴとしては当面これを残すものの、他の選択肢が生まれた以上、もはや積極的にその利用を推奨するものではないことを申し添えておきたい。





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