熊大で教員を始めてからすでに25年ほどになりますが,この間,どうしても欲しかった賞があります.それはTeaching Award recommended by studentsです.この制度が始まってから19回目の今年度,ついにゲットしました.
とは言っても,私の本当の専門科目ではなく,「空間デザイン演習I,II」でです.この科目は2年進級時に土木工学,地域デザイン,建築学のいずれかの教育プログラムを選択する前の土木建築学科1年生の共通専門科目です.学科共通で自然環境の保全、社会基盤の安全・安心、上質で快適な都市環境を築くために,土木・建築にわたる専門知識を備え,自然と共生し,持続可能な社会を構築する能力を有する人材を育成することを目指して,土木建築学科の学習に必要な空間・造形に関わる基礎能力を養成することを目的とした科目です.
119人の1年生を半分に分けて,前期(空間デザイン演習I)では1組は以下の演習A~Cを,2組は演習D~Fを,後期(空間デザイン演習II)では2組が演習A~Cを,1組が演習D~Fを受講するものです.
A:図学・造形の基礎A~Cを建築系の3名の先生が,D~Fを土木系の3名の先生が担当します.私はFを担当しています.前後期通年で1組と2組,つまり土木建築学科1年生119名(定員)に講義するわけですが,演習科目なので少人数の指導をするために,昨年度は3ローテーションで計6回,今年度は2ローテーションで計4回も同じことをやる必要があり,非常に大変な授業です.しかし,土木系では田中先生と竹内先生と私とで熱心に演習を指導したため,1年生諸君から最高の授業だったと評価されたわけです.
B:汎用三次元CADを用いた基礎造形
C:デッサン・具体的な素材による造形
D:実測・空間把握の基礎
E:対話・コミュニケーションの基礎
F:計測・調査の基礎
学部生にとっては入学と同時に発生した熊本地震から大学生活は始まり,新型コロナウィルス感染が世界中に拡大したこの時期に卒業を迎えるという,多難な4年間だったと察します.中には2年前の突然の「はれのひ」事業停止で成人式に晴れ着を着ることができなかった学生もいるかもしれません.大学院生にとっても色々な経験をした2年間だったと思います.そのような苦労の中でも,同級生や先輩・後輩と共に過ごしたプレハブ校舎での2年間の授業や研究,最後の1年間の新築校舎での修論や卒論などは特に思い出深いものになったのではないでしょうか.
新型コロナウィルスの感染回避のため,卒業式も卒科式も中止となり,例年は手渡しで行っていた学位記の授与もできないことは,諸君だけでなく学科長の私にとっても誠に残念です.代わりに,学位記や関係書類は郵便で送りました.
感染症や自然災害は人類が繰り返し直面し,その度に克服してきたものです.今後は各自,新たな環境の下で仕事や勉学に励まれることになりますが,皆さんには熊本大学大学院自然科学教育部土木建築学専攻,熊本大学工学部社会環境工学科,さらに加えて交通まちづくり研究室の修了生,卒業生としての自信と誇りを持ち,培った教養の下で心身とも豊かな人生を送ると同時に,学んだ専門知識を社会に還元して,今後も直面するかもしれない更なる困難やリスクに立ち向かい,解決していってくれることを祈念します.
皆さんの今後の活躍を期待し,お祝いの挨拶とします.修了,卒業,おめでとうございました.
2月13日に修論,2月17日に卒論の発表会が実施されました.今年の修論,卒論は例年にも増してバラエティに富むと同時に,水準も非常に高いものになりました.
修論は下記です.天藤 奈菜 | バスロケと乗り込み調査データを活用したコミュニティバスの路線網と時刻表の最適設計 (An Optimal Design Method of Community Bus Route and Timetable using both Location and Boarding Survey Data) |
上野 優太 | シェアモビリティによるモーダルコネクトが公共交通の選好に与える影響 (Analysis on Preference for Public Transport Services Connected by Share Mobility) |
兒玉 悠利 | 高齢者を対象としたMMにおけるTFPからの退出と行動変容効果に関する調査分析(Analysis of Factors Affecting Withdrawal from TFP and Change of Choice Behavior in MM for Elderly People) |
松尾星凜奈 | 実証実験によるRide-Sharing Taxiサービスの導入可能性に関する基礎分析 |
村上 麻紀 | サクラマチクマモトの開業によるまちなか回遊実態の変化と回遊行動モデルの適用可能性の検証 |
古賀 逸人 | 自動運転カーシェアサービス導入後の移動と駐車時間,および都心部に必要な駐車場容量の試算 |
宮﨑 一貴 | スマートカードの利用履歴データを用いた公共交通利用者の選好特性分析 |
シェアリングモビリティ,MaaS,Ride-Sharing Taxi,交通ビッグデータ解析,スマートシティなどなど,まさに最新の研究課題に取り組むのと同時に,最新の統計データ解析手法や数理最適化を使って現実の都市圏の種々の具体的課題解決に繋がるような研究となっています.
学生諸君の発表の様子をカメラに収めましたが,宮﨑君だけシャッターを押すのを忘れていました.ごめんなさい.2年後の修論発表の際は2枚の写真を掲載しますので.
1月25日(土)に大分リーガルホテルで開催された熊本大学工業会大分支部総会に工学部代表として溝上教授が出席しました.大分は新日鉄やいすゞなど,原材料産業や製造業が多く立地しており,多種多様な学科の卒業生がいるはずです.当日は60名以上の参加者が集いましたが,やはり工業会の地方支部を支えているのは土木やと採冶の卒業生です.その中でも,大分県庁のOBが大きな勢力を占めています.
その中に,2期生の亀山君と首藤君,それに4期の佐藤君の顔を発見.彼らも満を持して「今日こそ計画研大分支部の設立を宣言しましょう!」.かつては大分舞鶴高校や臼杵高校,中津高校など,大分の高校からも多くの学生が土木に来ていたけど,最近はめっきり減ってきたこともあって,大分県に戻るOB/OGも減ってしまい,支部メンバーは彼ら3人です.しかし,これで,福岡,宮崎,熊本に続いて4つ目の支部が九州にできました.結構な数のOBがいるものの,なかなか訪問する機会のない鹿児島が,次の支部設立のターゲットです.鹿児島のOB/OG,待ってろよ!
←クリックすると資料がPDFで表示されます |
年も改まった2020年1月12日(日)に,東大工学部で開催された「交通まちづくり研究会発足10周年記念フォーラム-交通まちづくりの未来へ」で溝上教授が「熊本のまちづくり」と題した基調講演を行いました.
「交通まちづくり研究会」は,東大の原田昇教授を委員長に,2007年に土木学会土木計画学研究委員会の中に設置され,2015年以降は「交通まちづくりの実践」研究小委員会に継承して交通まちづくりに関する研究や実践活動をしてきました.
地方都市での実践がこの研究会のミッションの一つであり,まさに丁度10年前の2010年1月8,9日には,溝上教授がアレンジして,熊本でも「第2回モビリティデザイン研究WS in 熊本」を開催しました.今回のフォーラムでは,その時に紹介した4つのプロジェクト
1)くまもと安心移動ナビプロジェクト
2)都心外縁部の駐車場間連絡パーキングバス
3)上乃裏通り路上公園 Park on the Road 地域景観づくり事業
4)熊本市におけるバス交通のあり方検討
の今とその発展形について,溝上教授が発表をし,交通まちづくりを持続させるための秘訣などについて議論しました.
発表のおまけとして,SAKURA MACHIDATA Projectが行ったSAKURA MACHI Kumamoto開業と合わせて実施した「9月14日(土)1日限り熊本県内バス・電車無料の日」の概要と効果を報告しました.興味のある方は資料をご覧下さい.
2020年,令和2年を迎えました.全国的に天気も良く,暖かい年末年始だったのではないかと思います.阿蘇や熊本城といった特別の場所からではないのですが,溝上教授のマンションの4Fから撮った初日の出の写真です.
卒業生諸君,現役生諸君,明けましておめでとう.職場で,家庭で,地域社会で,大学で,今年も健康で大いに活躍されることを祈念します.
年も押し詰まった12月28日の土曜日に,今年も年末恒例のOB・OGを交えた研究室の忘年会を開催しました.会場は,なぜか研究室の多くのメンバーがアルバイトをしている「季節のお料理 郷」でした.
10年ぐらい前までは10~20名ほどのOB・OGが集まり,研究室の忘年会というよりは年次OB・OG会に現役も参加するといった意味合いだったのですが,最近はOBの参加も少なくなったため,今年のような会になっています.年末開催ですので,元々,自分やパートナーの実家に帰省する家庭を持ったOB・OGは参加しにくく,参加者は独身者が主でした.近年は卒業生も溝上教授との年齢差が大きくなり,以前ほどの教授との親密感や研究室での連帯感が薄れてきたためでしょうか,独身者の参加が少なくなってきました.ちょっと寂しいですが,世代を写したものなのでやむを得ないかもしれません.それでも,4人のOB(栄徳,星田,緒方,中村)が参加してくれました.そこでは婚約の報告もされました.
2020年は最後のOB・OG会になります.多くのOB・OGに参加していただけることを研究室一同,期待しています.