コロナ禍ではありますが,今年が皆様にとって良い年になることを祈念します.
卒業生をはじめとして,研究室のHPをご覧の皆さん,いかがお過ごしでしょうか.関東4都県に続き,関西3府県,それに中部2県にも緊急事態宣言が発出される事態となっています.このところ,熊本も新規感染者が福岡に次いで2番目に多く,数日前には100人を超える日がありました.宮﨑や長崎でも新規感染者が多い日もありましたが,この1ヶ月の累積者数は他県と比べると格段に多くなっています.病院併設の高齢者施設での大規模クラスターもありましたが,夜の街でのクラスターなど,それ以外に何か構造的な問題がありそうです.
そんな中ですが,定期的な飲み会が開催はできないことを除いて,研究室は例年同様,明るく元気に活動しています.今年は修論も卒論も10月頃までは例年よりかなり早く進んでいたのですが,今はやはり例年と同じ状況になりました.
さて,私も今年度末の定年退職まで3ヶ月を切りました.こんな状況なので今年度中は特別のイベントは行わないつもりでしたが,区切りということもあり,下記の要領で最終講義だけを行います.
・日 時: | 2021年3月13日(土)15:00~ |
・会 場: | 工学部2号館223教室+ZOOM |
・演 題: | ネットワーク均衡発 地域公共交通再生経由 新モビリティ着 |
・備 考: | 当日は懇親会は行わず,COVID-19感染がある程度収束した後,退職記念パーティを開催予定 |
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荒尾市MM |
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本来なら8月に開催される予定でしたが,COVID-19感染拡大の影響で延期,かつ開催地も変更された第15回JCOMMが12月19日,20日の2日にわたって広島市の広島県産業会館で開催されました.今回は,現地とリモートの両方で開催されました.
溝上教授は両日とも現地参加の予定でしたが,数日前に熊本県がCOVID-19厳戒レベルを最高のレベル5に引き上げた上,学内でも学生の間で感染が広がっており,広島を含む感染拡大地域への出張自粛要請が出たため,それに感染すると重篤化しやすい高齢者の仲間入りしたこともあり,19日はリモートで参加していました.しかし,実行委員会による厳格な感染防止対策の実施,150人を超える現地参加者,COVID-19 にせよモビリティにせよ,しっかり知って,多くの方とコミュニケーションし,事実を正しく伝えるのがMMの神髄であることをハタと思い出し,20日は日帰りで現地参加しました.
今回のJCOMMには,溝上教授が係わっているMMプロジェクトとして,「体操教室参加者を対象としたMM~荒尾市MM事業2カ年分の成果比較~」を荒尾市の坂口拓也さんがポスター発表をしました.また,溝上教授もメンバーの一人であるSAKURA MACHI DATA Projectによる「熊本県内バス電車無料化社会実験の検証(代表:九州産交バス共同経営準備室 今釜卓哉)」が今年度のJCOMMプロジェクト賞を受賞しました.大変おめでたいです.実はこのプロジェクトは今年の交通エコロジー・モビリティ財団の第11回EST交通環境大賞の奨励賞も受賞しています.二重に嬉しいことです.
この会議の最終セッションで,次回の第16回JCOMMは,できれば8月中に,熊本のSAKURA MACHI Kumamotoの熊本城ホールで開催予定の旨,溝上教授が来年の開催地実行委員長として挨拶をしました.現在,熊本県と熊本市,福山コンサルタントが共催を了解してくれています.卒業生の職場で,「共催?うちも良いよ!」というところがあれば,連絡を下さい.
12月9日(水)に溝上教授が主催して「くまもとMaaS再キックオフ準備会」を開催しました.
「再」と言うからにはオリジナルがあるはずですが,それは2019年9月3日に桜の馬場城彩苑多目的交流施設で開催した「くまもとMaaSキックオフシンポジウム」です.開催趣旨は,「地域公共交通が脆弱化する中,利用者の視点に立って,あらゆる交通手段を統合・最適化して,マイカーよりも快適で利便性の高い移動サービスを提供するというMaaS.その概念を理解し,熊本都市圏ならではの「くまもとMaaS」とはどのようなものかについて議論する初めの一歩です.」というものでした.しかし,その後拡大したCOVID-19のために,くまもとMaaS研究会の活動は中断していました.
しかし,自動運転やシェアリング,CASE,MaaSといったモビリティ改善の潮流は世界中で止まらず,熊本においてもくまもとグランドデザイン2050の実現に欠かせない熊本オリジナルのMaaSの推進が求められる中,本準備会は「再キックオフシンポジウム」の開催に向けた準備会と位置づけて開催されました.
下記がその講演内容です.
1) | 両角光男 (熊大名誉教授) |
くまもとグランドデザイン2050で期待されるくまもとMaaS | 準備中 |
2) | 円山琢也 (熊大准教授 |
私の考えるMaaSとくまもとでの展開 | |
3) | 濱田昌宝 (熊本市交通政策課) |
MaaSに対する他都市事例を踏まえた熊本市の今後の展開 | 準備中 |
4) | 浦 正勝 (EMoBIA代表理事) |
MaaSに対するEMoBIA取り組み | 準備中 |
5) | 今釜卓哉 (共同経営準備室・九州産交) |
バスの共同経営に資するMaaS・ITS | |
6) | 江島正明 (UTMS) |
UTMSが展開する水俣MaaSとMyRouteの活用 | 準備中 |
7) | 栄徳洋平 (福山コンサルタント) |
民間交通系コンサルタントの指向するMaaSと実践例 | 準備中 |
8) | 溝上章志 (熊大) |
荒尾おもやいタクシー運行の経緯と準備,および現在・未来 | 準備中 |
準備会終了後には,くまもとMaaS実現に向けて各所で取組を推進していくことが確認されました.次回は来年春に第2弾準備会,または再キックオフシンポジウムを開催予定です.
なお,了解頂いた方の発表用PPT(PDFファイル)を掲載します.ご興味がある方はご連絡下さい.
12月3,4日に第15回ICAST2020(International Student Conference on Advanced Science and Technology)が開催されました.大学院自然科学教育部では,学生の英語によるコミュニケーション能力強化を図るため,2008年の第1回ICAST熊本開催以降,海外交流協定校の協力を得て,これまでに北京,ソウル,イズミール(トルコ),山東(中国),クレルモンフェラン(フランス),スラバヤ(インドネシア),高雄(台湾),マニラ(フィリピン)でICASTを開催してきました。ICASTは学生による学生のための国際会議であり,英語での研究成果発表を行うとともに,学生運営委委員として会議にかかわります.
今回は5回目の熊本大学での開催となりましたが,新型コロナウイルス感染症対策のため,現地開催を中止し,オンライン開催となりました.ここでは,研究室の大学院生4人が以下発表を行いました.オンラインですので目の前に聴衆はおらず,パソコンに向かっての発表でしたが,英語での発表は誠にぎこちなく,時には単語の発音が全く異なったり,発表原稿を1行,飛び越してしまったり,質問に対して持ち時間終了まで沈黙が続くなどのハプニングが続きましたが,彼らにとっては有意義な経験になりました.
秋の熊本おしろ祭りに合わせて,熊本地震後初めての熊本城の夜間特別公開が11月20日(金)から12月6日(日)まで開催されています.11月22日(日)に行って来ました.入場料は高校生以上が500円ですが,高齢者優待で無料.得した気分と寂しい気分が半々,いや3:7です.
二の丸広場から西大手門を経て,設置された特別見学通路に添ってゆっくりと回遊しました.LED照明機材でライトアップされた新築の天守,天守前広場の大銀杏,石垣の一部が壊れたままの数寄屋丸,二様の石垣など,昼間とは違った熊本城の魅力が満載でした.
それから細川刑部邸の紅葉を見に行きましたが,まだ緑のモミジもあり,今週末ジュライが見頃かもしれません.その一方で,竹灯りが設置されていて,庭と邸宅の見事さ相まって幻想的な雰囲気でした.上記はおしろ祭りの期間中だけの公開です.ぜひ,見に行って下さい.
11月22日は「良い夫婦」ということもあり,21日から23日の連休中,3密にならないように気を付けながら,紅葉の美しい観光地などをドライブして?きました.
まず,21日(土)には,紅葉を見ようと山都町の綠仙狭や内大臣狭に行く途中に,熊本地震で一部が崩壊し,補強工事のため中止していた放水が復活した通潤橋を訪れました.放水は確か14:00からと記憶しており,13:55に到着したのですが,人影はまばら.何と,放水は13:00からでした.
次に訪れようとしたのは綠仙狭.しかし,218号線から分離した山道は目的地まで11km,狭いし,目的地まで1kmの地点で豪雨災害からの復旧工事中で「回り道5km」の表示.分岐点のガードマンによると,「紅葉は終わったよ!」.撤退!次は内大臣狭.ここも豪雨災害からの復旧工事中で自動車では行けないという看板.で,撤退!「さっき,ここ,通ったよね」と218号線を何度も往復し,次は蘇陽峡へ.しかし,ナビに現れたアクセス道がピンク色.これも通行止めかも?で撤退!と言うわけで,紅葉は全く見れませんでした.
清和から蘇陽を抜け,高森経由で帰路に着いたとき,突然思い出したのが,高森駅前にまさに今日,除幕・公開されたはずのワンピースのフランキー像.17:00ということで暗くなりかけていたのですが,行ってみたら「あった!あった!」.数組の観光客が着ていました.
帰りは南阿蘇の道の駅あそ望の郷くぎのに寄って「かなばあちゃん」と並んだ「あまびえ」とスリーショット.行きたかった所にはたどり着けない,でもいろんなハプニングと出会いがあった楽しいドライブでした.
ついでですが,11月7日(土)に熊本市動物園正門広場で序幕・公開されたワンピースのチョッパー像にも11月8日(日)行って来ました.日が暮れてからだったので,ちょっと怖ーい・・・・.現在公開されているワンピースの仲間達でまだ未訪問は御船町のふれあい広場にあるブルックだけです.ブルックはガイコツだけど音楽家なので,平成音楽大がある御船町に設置されました.
今年も既に11月.残り1ヶ月強となりました.コロナ禍で思うに任せない生活が続いていますが,卒業生の諸君は元気にしていますか.
そんな中でも,恒例の卒業論文の中間発表会が開催されました.今年の4年生は例年にも増して積極的に卒論に取り組んでします.タイトルは下記で,研究成果が楽しみなものばかりです.
4人のうち3人は公務員(熊本県,熊本市,京都府)で,1人だけが大学院進学です.
石坂 愛弥 | COVID-19禍における移動の側面からの接触率削減施策の評価方法 | 加藤 保貴 | ミクロ交通流シミュレーションを用いた公共交通優先信号制御の効果の検証 | 前田 莉花 | サンプル消耗バイアスを修正した転換モデルによるTFPの有効性の評価方法 | 孫田 佳奈 | 荒尾市おもやいタクシーの運行,および利用の実態と評価に関する分析 |
2016年4月16日の熊本地震による大規模な斜面崩落のために寸断されていた国道57号線ですが,その代替ルートとして新規に整備されていた北側復旧ルートと源道通行止め区間が開通しました.
北側復旧ルートは,阿蘇の外輪山を貫通する二重峠トンネルを含む大津町引水-阿蘇市赤水13kmの出入制限のある片側1車線の自動車専用道路です.今は公言されていませんが,東側は将来的には滝室坂の北側のトンネルで産山に抜けて最終的には大分に,西側は大津から合志市を経由して九州縦貫道に繋がる中九州自動車道の一部になるはずです.
57号線の通行止め区間は阿蘇大橋と一緒に崩壊し,白川に流出してしまい,このとき1人の大学生が犠牲になった2kmの区間です.この区間も往復4車線として再整備され,通行可能となりました.
溝上教授は10月4日の日曜日に阿蘇までドライブに行って来ました.市内から第2空港線,第3空港線経由で大津に抜けると大津バイパスは大渋滞でした.往路に国道57を使って崩壊斜面跡や建設中の新阿蘇大橋を眺め,阿蘇市内で赤牛ハンバーグステーキを味わいました.復路は北側復旧ルートを通ろうと試みたのですが,阿蘇西ICまでの渋滞が激しかったので,阿蘇登山道坊中線から草千里,阿蘇登山道吉田線から久木野色彩館で温泉を味わって帰宅しました.
8月の豊肥本線の肥後大津-阿蘇間開通時も,赤い特急「あそ3号」で阿蘇駅まで行き,ウソップ像と共演した後,普通で返ってきました.
ようやく私の大好きな阿蘇が黄泉がえりました.帰省したり,熊本に出張したりしたら,近くて便利になった阿蘇に是非,足を運んで下さい.
いよいよ卒業研究も本格的にスタートする時期になりました.卒研生のK君は公共交通機関の走行環境の改善策に興味があり,ミクロシミュレーションモデルを用いた市電に対する公共交通機関優先信号制御を研究しています.かなりマニアックで学術的にどこまで発展できるか,今のところはっきりしませんが,彼の熱心さに負けて,好きなようにやらせています.
ミクロシミュレーションモデルには,対象エリア内への自動車交通流動,乗降客数と乗降時間,およびモデルの適合性の評価のための市電の移動軌跡などを入力する必要があります. 4年生4人は今朝早くから,朝ピーク2時間の水道町交差点周辺の状況をビデオカメラで撮影しにいっています.ビデオカメラなどの用具の手配は私がやりましたが,警察への道路専用許可は彼自身が行うなど,集中力や実行力には凄いものがあります.結果を期待しましょう.
本日10月1日から,荒尾市地域公共交通活性化協議会で導入の準備を進めていた相乗り型の「おもやいタクシー」が運行を開始しました.日本では道路運送法の1契約1搬送の規定により,法的には「相乗り」は認められていません.しかし,バス路線の廃止や運行頻度の削減などによって,地方部では公共交通不便や空白地域が広がり,バスなどの既成の公共交通サービスを補完するモビティサービスの導入が求められています.また,タクシー事業者は運転手不足や流しの増加などによる運行効率の低下による経営状態の悪化は深刻です.
廃止バス代替サービスとして多くの地域で導入されている「乗り合いタクシー」は定時定路線型で,「相乗り」とは認められていない「おもやいタクシー」も,正式には「オンデマンド区域運行型乗り合いタクシー」です.が,実質的な相乗りタクシーであり,これは日本で初めての本格導入です.実はお隣の長洲町では10年ほど前から同様の実質的相乗りタクシー「金魚タクシー」が運行しており,市民の足として定着しています.ただし,料金が町内均一です.熊本県北部では日本で最先端の格段に便利なコミュニティサービスが導入されています.
研究室では,開発の取り組んできたメソ交通流シミュレータK-MATSimと未来シェアのリアルタイム・オンデマンド最適配車システムSAVSとをWeb APIで連携させたRide-sharing Taxi サービス運用シミュレーションで,おもやいタクシーの需要予測と導入効果分析を行っています.そのために,荒尾市交通実態調査(PT調査)を実施しました.また,おもやいタクシー選好意識調査(SP調査)を行い,おもやいタクシーへの転換モデルの推定を行っています.今後は利用者の予約ログと運行軌跡,利用者アンケート調査等のデータを収集して,需要や運行の実態,利用者の評価の分析を行っていく予定です.
AI活用の相乗りタクシー開始|NNNニュース
人工知能AIを活用した「おもやいタクシー」の運行が1日から荒尾市で始まった。市内全域で利用でき、利用者が相乗りすることで効率的な運行を図る。公共交通機関を補完する相乗りタクシーは全国初の取り組み。料金は1人300円からで予約が必要。