中村 謙太
Kenta NAKAMURA
In recent years, the spread of car-sharing services are progressing according to mising of environmental awareness and reduction of the quantity of production of cars. "One-way type" car-sharing is convenient and sustainable, however, there are some problems caused by uneven distribution of vehicles, which causes impossibility of reservation and shortage of parking spases. This research investigates the possibil-ity of introducing "one-way type" sharing system using a simulation analysis in which a diversion model to "one-way type" sharing system considered.
KeyWords:micro electric vehicle ,"one-way type" car-sharing system, simulation analysis
近年,環境負荷低減意識の高まりや自動車総数の削減のため,会員間で車両を共同利用するカーシェアリングサービスの普及が進みつつある.特にドイツのcar2goなど欧米を中心にカーシェアリングシステムが定着してきた.日本でも1990年代後半から各所で実証実験が続けられており,2013年10月には横浜市は日産自動車と連携し,100台のMEVによるワンウェイ型のカーシェアリング“チョイモビ”の社会実験を開始した.利用する車両にも変化があり,現在のカーシェアリングでは,燃費の良い車両の利用を目玉とすること多い.その例として,近年 MEV(Micro Electric Vehicle)を利用したシェアリングシステムへの注目が集まっている.MEVは,国土交通省が平成25年から新たに認定制度を制定し導入を促進している超小型電気自動車である.MEVはあらゆる世代に手軽な足を提供し,生活・移動の質の向上をもたらす少子高齢化時代の「新たなカテゴリー」の乗り物として位置づけられており,初期費用の高額なMEVとシェアリングは相性が良いと考えられている.
シェアリングサービスは,貸出し場所と返却場所が同一である“ラウンドトリップ”型と貸出し場所と返却場所が異なる“ワンウェイトリップ”型に大別されるが,後者は利便性が高い反面,需要の偏りによる車両の偏在,それに伴う予約受付の不可や駐車スペースの不足といった問題がある.一般的なカーシェアリングシステムでは,再配車を行うことによってこうした問題を回避しているが,再配車には経費がかかりサービスの採算面の問題がある.本研究では,再配車を行わないワンウェイ型シェアリングシステム(以後,OWSS:One-Way type Sharing Systemと記す)の導入可能性を,①トリップのOWSSへの置き換えモデルの構築,②運用シミュレーション分析によって検討する.
本論文は6章から構成されている.まず,第2章で,MEVの導入,カーシェアリングの現況と研究課程について述べる.第3章ではOWSS置き換えモデルについて説明する.第4章では運用シミュレーションの手順について説明し,第5章では,シミュレーション結果からOWSSの導入可能性の検討を行う.最後に第6章で本研究の結論と問題点について述べる.