下野 宏季
Hiroki SHIMONO
In recent years, the number of bus users has decreased in Japan. In order to stop it, the introduction of bus location system that can enhance the convenience of users is progressing nationwide.
In this study, I use kumamoto university type bus location system developed independently.The purpose of this study is two.The first one is to operate the bus location system on a kikuchi city’s bus called “Kikuchi Benri Car”.The second one is to analyze the actual situation and evaluation of usage before and after introduction.
KeyWords: bus location system, public transport, system development, kikuchi city bus
1980年頃我が国におけるバスの輸送人員は100億人を超えていたが,その後の自家用車の普及などにより,現在ではピーク時の40%まで減少している.輸送人員1)の推移を図-1に示す.モータリゼーションの進展は,大気汚染や交通渋滞の問題の深刻化に加えて,利用者数の減少によるバス事業の赤字経営のための路線の廃止,運行頻度の削減など,公共交通サービスの低下を招いている.しかし,バスは人々の最も身近な公共交通機関として,通勤,通学,買い物など日常生活を支えている必要不可欠な存在であることから,一定水準のサービスを維持・獲得していく必要がある.
バスの運行は道路事情や天候による影響が大きく,他の公共交通に比べて定時性の確保が難しいことがサービスレベル低下の要因となっている.そのような中,バス利用者の減少の歯止めとなることが期待され,1980年頃から全国で導入が進んだのがバスロケーションシステム(以下ではバスロケと記す)である.これは,無線通信やGPSなどを利用してバスの位置情報を収集し,利用者向けにバスの現在位置などの情報を提供することにより,バスの弱点である運行信頼性の問題を緩和し,サービスレベルの向上を図ろうというものである.特に,スマートフォンの普及により,必要な時に任意の場所で情報にアクセスできるようになり,利用者の利便性は格段に高まっているといえる.このように,バスロケは,現代のバスサービスを向上させる重要なシステムとなっいる.
本研究では,独自に開発した熊大方式バスロケを熊本県菊池市のコミュニティバスである「きくちべんりカー」で試験的に運用し,導入前後の利用の実態と評価を分析することを主な目的とする.本論文は5章で構成されている.2章ではバスロケーションシステムの現況について,3章では熊大方式バスロケのシステムや機能などについて,4章では調査概要や熊大方式バスロケ利用者の評価について,5章では本研究の結論と今後の課題について述べる.