古賀 逸人
Hayato KOGA
The first purpose of this study is to calculate the moving time and the parking time of all the cars after the Autonomous Vehicle Sharing (AVS) service became popular.
The second purpose is to find the maximum number of parking spaces required for vehicles coming to the center of Kumamoto and parking there. As a result of analysis, it was found that the time that all cars are moving is only 3% of the whole and that the parking capacity in the center area is still 80% of existing parking spaces and is 70% after the spread of AVS.
KeyWords: Autonomous-Vehicle, Car-Sharing, Parking Capacity, Simulation Analysis
わが国では,モータリゼーションの発展に伴って増加する駐車需要をカバーするため,駐車場の整備が行われてきた。しかし,近年は自動車の保有台数は横ばいで推移しており,駐車需要は減少しているにもかかわらず,駐車場の総台数は年々増加傾向にある.その結果,駐車場の過剰な供給となっている.大都市では,公共交通サービス水準が向上し,車を持つメリットが少なくなっているために都心部の立体駐車場やオフィス街の附置義務駐車場では空きが生じている.空地等をコインパーキングに活用するケースが多い地方都市では稼働率の低い平面駐車場が乱立している.
一方で,カーシェアリング(CS)や自動運転技術など,自動車の利用や性能は大きく変化しようとしている.CSの中でも専用の駐車ステーションを必要としない個人間CSはサービス利用者が徐々に増加している.これは従来のCSとは異なり,運営会社が車両を保有する必要はなく,オーナーとユーザーが運営会社を通して車両の貸し借りを行う.参入の容易さから続々と参入する事業者が増えており,2020年夏には「カーシェアGOGO!」がサービス開始を予定している.
一方で,自動運転技術の進歩は著しく,日本でも自動運転車両の走行実証実験が進んでいる.国土交通省は,自動運転車両の導入が交通量を大幅に減少させ,交通事故の削減,付加価値と雇用を創出すると考えられている.この自動運転車がCSサービス用の車両となった場合には,様々なCSサービスが展開されると予想されることから,既存のモビリティや駐車場の容量や配置に対しても大きな影響を与えると考えられる.
本研究では,熊本市中心部を分析の対象として,自動運転車両による個人間CSである自動運転カーシェアリング(以後,AVS:Autonomous-Vehicles Sharingと記す)サービスに対する需要予測モデルを組み込んだAVS運用シミュレータを用いて,AVSサービスが普及した場合の適切な駐車容量を見出すことを目的とする.
本論文は6章から構成されている.まず第2章で,CSや自動運転の現況と我が国の駐車場施策ついての研究課題について述べる.第3章では熊本都市圏の自動車の移動時間と駐車時間に関する現状の分析を行う.第4章ではAVSサービスの購入貸出モデルと転換モデルとこれらを内挿したAVS運用シミュレータの概要を説明する.第5章では現状,およびAVSが導入された場合の最適な駐車容量についての試算結果について述べる.最後に,第6章で本研究の結論と課題を述べる.