石坂 愛弥
Manaya ISHIZAKA
Due to the Covid-19 epidemic, as of February 8, the government has issued a second state of emergency under the Special Measures Acts. The contents are measures to reduce the contact between people by re-straining movement, such as refraining from going out unnecessarily and urgently, reducing the number of employees by introducing telework, and shortening the business hours of restaurants. Contact fre-quency is an index for measuring contact. In this study, changes in contact frequency are obtained ac-cording to several suppression scenarios for movement. Next, the basic reproduction number, which indi-cates whether the infection spreads, is calculated by the change in the contact rate, which is the contact frequency per person.
KeyWords: Covid-19, contact rate, trip, next generation matrix, basic reproduction number
2020年1月,日本で初めての新型コロナウイルス感染者が確認されてから見る見るうちに感染が拡大している.4月7日には特措法第32条第1項に基づき,緊急事態宣言を発出した.対象は感染が急拡大している東京,神奈川,埼玉,千葉,大阪,兵庫,福岡の7都道府県で,新型コロナウイルス感染症専門家会議から,1日も早い収束のために人と人との接触を8割減するよう呼びかけた.4月16日には実施区域が全都道府県となり,5月25日に緊急事態宣言は解除された.しかし図-1に示すように,1月に入り感染者数が急劇に増え,2021年1月8日から2月7日まで埼玉,千葉,東京,神奈川で,1月14日から2月7日まで栃木,岐阜,愛知,京都,大阪,兵庫,福岡で緊急事態宣言が実施されている.
NTTドコモによるモバイル空間統計分析レポート(1によると、緊急事態宣言から約2週間後の2020年4月30日の午後3時時点と感染拡大以前との500mメッシュ内の人口を比較したところ,福岡県の天神で57.9%,博多駅で60.1%,熊本県の通り通町筋で33.0%の人口減となっていた.あくまでも人口の変動を示したものではあるが,移動の抑制がそのまま接触減に繋がるとするならば,政府の掲げた8割減は達成されていなかったと捉えられる.しかし,これらの方針は滞在人口の元となる移動をどのように抑制すると接触が減少するのかについては定かではない.
本研究は北部九州圏の移動を分析し,接触を減少させるための移動の抑制施策を提案する.さらに移動抑制による接触削減の評価方法について,接触削減が感染者数の収束にどの様に影響するのかを明らかすることを目的とする.
本稿は5章で構成されている.まず2章では利用データの概要,3章ではPT調査データ上で移動者をグループ別に分類し,4章で抑制した後のトリップ数の推移を明らかにし,5章では4章で行った移動者抑制の結果をもとに接触がどの程度減少したのか計算し,感染者の拡大について予測する.最後に6章では得られた成果と今後の課題について述べる.