加藤 泰貴
Taiki KATO
Since trams occupy a part of the road space, they have better punctuality and express delivery than other means of transportation. However, because signal control is set for automobiles, trams often have to stop at signalized intersections.
The purpose of this research is to build a micro traffic flow simulation model that reproduces the actu-al traffic flow of trams and automobiles. Since trams occupy the road space, they are more punctual and express than other transportation modes. However, trams often need to stop at signalized intersections because signal control is primarily set up for cars. The purpose of this research is to build a micro traffic flow simulation model that reproduces the actual flow of trams and automobiles. Further-more, we show a method for evaluating the total travel time and the number of stops at signals when the priority signal system for trams is introduced. Finally, we propose an optimal signal con-trol system that improves the total travel time of all tram and car passengers.
KeyWords: Micro Traffic Simulator, Signal Control, Tram, Intersection, Travel Time, Delay Time
道路空間の一部を占有する路面電車は, 道路を走行する車やバスなどの他の交通機関と比べて, 定時性・速達性の面で優れている. 近年では, 広島電鉄のように次世代型路面電車LRT(Light Rail Transit)車両を投入したり, 2022年開業を目指す宇都宮ライトレールのように新たに路線を新設してLRTを導入する動きもある. しかし熊本都市圏でさえ, 平成24年実施の熊本都市圏パーソントリップ調査では自動車の分担率が約64%であるのに対して, 鉄道とバス・市電の分担率は約6%であり, その後も公共交通の利用者は減少してきている1). 自動車利用者の増加によって公共交通利用者が減少し, それによって運行本数の削減などのサービス水準が低下すれば, さらに利用者が減少するといった負のスパイラルに陥りかねない. 専用軌道を持つ路面電車も同様の影響を受けており, 自動車の軌道内流入や自動車交通流に直交した信号交差点での待ちにより, 定時性や速達性の低下がみられる. 自動車交通だけでなく公共交通を考慮した遅れ低減対策が必要である.
このような施策としてPTPS(Public Transporta-tion Priority System)のひとつである公共交通優先信号制御は有用である. このシステムは, 路面電車の信号交差点での待ち時間の削減をめざすものである. 本研究は, 信号交差点において路面電車に対する優先信号方式を導入した時の路面電車, 及び自動車の交通流動を予測し, 現行の信号方式と比較して旅行時間, 停止回数, 停止時間, 遅れ時間を改善する最適な信号制御方式を提案することを目的とする.
本論は5章から構成されている. 第2章では, 熊本市の主要交差点であり, 本研究での分析対象である水道町交差点における市電の走行実態について述べる. 第3章では, 利用するシミュレーションソフトSUMOの概説, シミュレーションを実行のために必要な入力パラメータとその値を得るための観測, 設定方法, 及び現況再現性の検証結果について述べる. 第4章では, 提案する路面電車優先信号の制御方式について説明し, その制御方式を導入した場合の現況からの改善の程度などについて述べる. 第5章では, 得られた結果と今後の課題や展望について述べる.