河口 麻祐
Mayu KAWAGUCHI
The bus service is a public transport service that supports the Daily lives of local resiDents. On the other hanD, users of buses are Decreasing Due to popularization of private cars anD population Decrease in rural areas. As a result, the increase in Deficit route is progressing. The aDministration pays subsiDies to compensate for the Deficit. The methoD of granting subsiDies in Kumamoto City has taken the form of Deficit assistance that compensates all the Deficit amount of Deficit route. The subsiDies that increase year by year are one factor that worsens the fiscal situation of the aDministration. For this reason, we examineD a new subsiDy system incorporating a mechanism that works the incentives of bus operators. The aDministration gives bus operators an incentive to reDuce the Deficit, encouraginGCompanies' efforts by bus companies anD aiming to reDuce subsiDies. Therefore, the aDministration gave incentives to bus operators to issue aDDitional subsiDies as the amount of Deficit is reDuceD.
However, if you continue this system inDefinitely, the effect of the incentive will be DiminisheD, anD there is a possibility that it will not be possible to reDuce the Deficit. Moreover, the intention to reDuce the amount of Deficits more than the previous year may be too busy for bus operators, which may leaD to pressure on the operation of bus operators anD a Decline in service levels.
In this research, we propose a methoD of continue Determination of incentive subsiDy scheme using game theory, anD aim to analyze propriety of implementation after next fiscal year.
KeyWords: Incentive subsiDy scheme, perfect Bayesian equilibrium, Contingent Valuation MethoD, Continuation Determination
乗合バス事業は,地域住民の日常生活を支える公共輸送サービスである.少子高齢化に伴う若年者や高齢者などの交通弱者の増加が見込まれるため,路線バスをはじめとする公共交通機関によるモビリティの確保が望まれている.
一方で,路線バスは自家用車の普及や地方部における人口減少により利用者が減少している.そのため,赤字路線の増加が進行している現状である.このままでは,バス事業者の採算性の悪化により,バスのサービス水準の低下や路線撤退に伴う公共交通機関の空白地帯の拡大などが危惧される.そのため,行政は赤字額の補填のため補助金を支払っている.熊本市の補助金の交付方法は赤字路線の赤字額を全額補填する欠損補助の形をとっている.熊本市における路線バスに対する補助制度は昭和59年から開始されているが,平成16年度から補助対象系統を拡大した結果,補助金額が急激に増加し,平成25年度には約3億3千万円にも上っている.図-1を見ると,平成25年度が最も高く3億3千9百万円となっており,また,補助額のほとんどは産交バスが占めている.
年々増加する補助金は行政の財政状況を悪化させる一因となっている.そのため,バス事業者のインセンティブを働かせる仕組みを取り入れた新たな補助制度を検討するなど,熊本市では補助金交付方法の見直しを図った.その経緯としては,平成24年にはバス事業者へ国庫補助制度に沿ったインセンティブ補助制度導入の概要を,平成25年5月にはバス路線網再編連絡調整会議にて補助金額が激減する場合の激減緩和措置について説明し,バス事業者からの合意を得た.行政はバス事業者に赤字を削減させるインセンティブを与え,バス事業者の企業努力を促し補助金額の削減を目指している.そこで,行政はバス事業者に対し赤字額の削減に応じて追加の補助金を出すというインセンティブを与えた.熊本市は平成26年度にこのインセンティブ補助制度を導入している.その結果,前年の補助額実績と比較し約1億3千万円の補助額の削減に成功した.
しかし,この制度を無期限に継続していくとなるとインセンティブの効果が薄れ,赤字額の削減が見込まれなくなる可能性がある.また,前年よりも赤字額を削減しようとする意志がバス事業者に働きすぎて,バス事業者の運営の圧迫やサービス水準の低下を招く恐れもある.本研究では,ゲーム理論を用いてインセンティブ補助制度の継続判定を行う方法を提案し,来年度以降の実施の可否を分析することを目的とする.本研究は6章で構成されている.まず2章で,本研究で適用するインセンティブ補助制度のモデルについて解説したうえで,3章で行政とバス事業者とのゲームで継続するか否かの最適な点が完全ベイズ均衡点であることの説明を行う.5章では,熊本市のデータを用いて,提案したインセンティブ補助制度の導入によって得られるゲームに必要な利得を算出し,完全ベイズ均衡点を求めインセンティブ補助制度の継続判定を行う.そして,6章でその考察を行う.