完全自動運転シェアカーの供給と需要に関するシミュレーション分析

Simulation Analysis On Suply And Demand About Autonomous Sharing Car

古澤 悠吾
Yugo FURUSAWA

 In recent years, the spread of various car sharing services are progressing in the world. Especially user of peer to peer car sharing services that dedicated parking lot and vehicle are unnecessary is increasing. Moreover, a new transportation mode combining this service with an automatically driven vehicle has at-tracted attention  This research investigates the possibility of services combined peer to peer car sharing and autonomous driving vehicle by simulation analysis.

KeyWords : Autonomous-Vihicles,Car-Sharing,Simulation Analysis

 

 近年,都市における新たな交通手段としてカーシェアリング(以後,CSと記す)が注目されている.CSは欧米を中心として普及が進み,様々な形態で事業が展開されている.中でも専用の駐車ステーションを必要としない個人間CS事業,例えばAnycaの様なサービスは,国外に比べて事業展開を支援するための法整備が遅れている国内でも,徐々に利用者が増加している.これは従来のCSと異なり,運営企業が車両を保持する必要もないため,自動車業界以外のIT事業を手掛ける企業の参入も比較的容易であることから,今後このサービス形態は増加することが予想される.更に近年では、自動運転技術の進歩が著しく,自動運転車両も注目を集めている.自動運転車両の導入は交通事故の減少や移動の効率化などに貢献すると同時に,カーシェアサービス用の車両となった場合には,様々なカーシェアサービスが展開されると予想されることから,既存の交通サービスに大きな影響を与えると考えられている.
 通信関連分野の調査団体であるABIリサーチによると,CSと自動運転技術を組み合わせた新たなシェアリングサービスが実現すると,2030年までに4億人が利用すると見込まれている.本研究では,国内でも普及可能性の高い個人間CSと自動運転車両を組み合わせた自動運転シェアリング(以後,AVS : Autonomous-Vehicles Sharingと記す)システムの需要予測モデルの開発と運用シミュレーション分析用シミュレータの開発を行い,これらを用いて1)熊本都市圏におけるAVSサービスの需要分析,2)予約受付トリップ数に対する車両価格や貸出価格の影響分析,3)より効率的なAVSシミュレータの開発,などを行うことを目的とする.
 本論文は6章から構成されている.まず第2章でCSと自動運転技術の現況と研究課題について述べる.第3章ではAVSサービスへの置き換えモデルについて説明する.第4章ではAVSシステム運用シミュレータについて説明を行う.第5章でAVSシステム運用シミュレーションの分析を行う.第6章で本研究の結論と問題点について述べる.