IT革命による消費者と企業の双方向性について
―マーケティング戦略の展開を中心に―
商学部商学科3年2組54番
目 次
はじめに
第1章 消費者の購買行動とマーケティング戦略
第2章 IT革命による新しいマーケティング戦略
2−1 インターネットによるワン・トゥ・ワン・マーケティング
2−2 IT導入によるマーケティング戦略の課題
第3章 今後のマーケティング戦略にみる企業と消費者の関係
おわりに
参考文献
参考ホームページ
はじめに
市場ニーズに対応した消費者志向の製品・サービスを提供し、顧客の満足を勝ち得ていくことは、企業のマーケティングにおける永遠のテーマであると同時に、経営戦略にとっても大変重要なテーマである。しかし、そのためには消費者の購買志向やライフスタイルを理解し、消費者の製品認知は必要不可欠なこととなる。今日、我々の生活は非常に多様化してきている。これから21世紀を迎えるにあたり、企業はこの不況の時代に消費者行動をどのように捉えていけば、製品もしくは商品が売れるのかを改めて問われているのではないだろうか。また、近年における情報技術(IT:Information Technorogy)の目覚ましい発達は、今後の産業構造を大きく変革させ、既存のマーケティング戦略に多大な影響を及ぼすことになる。そこで本論は、消費者の購買行動における既存のマーケティング戦略を検討すると共に、IT革命によってもたらされる今後の企業と消費者の関係を考察してみる。
第1章 消費者の購買行動とマーケティング
市場の成熟化と消費行動の激変に伴い、企業は経営存続のために独自のマーケティングに基づいた経営戦略を行っている。企業にとって消費者ニーズを十分理解することがマーケティング戦略にとって決定的に重要な鍵となることは言うまでもないが、既存のマーケティングは果たして消費者を満足させるような戦略なのであろうか。この章では、既存のマーケティング戦略の問題点をまず明らかにする。
「マーケティング(Marketing)とはニーズと欲求を満たすために、他の人々との交換を通じてなされる人間に活動である。」(注1)これは米国のマーケティングの権威であるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)による定義である。換言すれば,消費者を満足させることのできる製品・サービス・価値・価格をもって提供することにより、取引を成功させる行為過程がマーケティング戦略であると言えるだろう。
マーケティングの基本は、まず市場をセグメント化し、セグメント化した各市場を比較・評価して潜在性の高いセグメントを選定する。その下で自社が市場に提供する製品やサービスの特徴・品質に基づいて、レイザー(Lazer.W)とケリー(Kelley.E.J)によって確立された4Pマーケティング戦略(@製品戦略、A価格戦略、B広告・販売促進戦略、Cチャネル戦略)によって、標的とする顧客のニーズを満たすと同時に、競合企業の戦略に対応しうるものでなくてはならない。従って、効率的なマーケティング戦略は、標的とする市場で自社の製品・サービスのポジショニングを図っていくことから始まる。そのためには、標的市場の顧客を理解することが条件になる。顧客は最も高い価値を提供されることを期待し、特定の製品・サービスを選んで購買を決定するため、顧客が何をベースにどう選択するかを熟知することが重要になる。競争優位に結びつくマーケティング戦略としては、顧客のニーズに焦点を絞り込むと同時に競合企業との対比で、より高い顧客価値,顧客満足度,品質を継続的に提供し続けなければならない。(注2)しかし、消費者の価値観も多様化し、また現代のビジネス社会においては他業界からの参入が相次ぐなど、企業経営にとっては非常にビジネスがやりづらい環境となっていることも事実である。このような社会では消費者志向を容易に把握することが困難となってきた。かつて成功していたマーケティング概念が全く通用しなくなり、過去の経験が次回の戦略においては障害になってしまうことすらある。
絶え間なく生み出される新しい発想と既存の常識を打ち破るための柔軟な発想、これらを提供してくれるのがマーケティングなのであるが、やはり最大のコンセプトは「顧客のニーズや要望に応える」ことであろう。いくら売らんがための努力をしたとしても、市場を構成する消費者の一人一人が満足して購入してくれない限り、商品は売れない。しかしながら、消費者の過度なニーズを追求するあまり、自社の利益を犠牲にしてまでも消費者に商品やサービスを提供すれば、今度は企業自身が資金面において苦しい状況に陥ってしまう。そこで、企業としては最大利益の追求を目的として企業活動を実践し、いかに消費者に気付かれずに利益を得るかという戦略を考えざるを得ない。この戦略は企業活動に従事している者にとっては誰もが考えることであろう。(注3)しかし、果たしてこれが消費者のニーズを充足させるためのマーケティング活動であると言えるのであろうか。
消費者(生活者)の幸せを追求し、自己責任による良き消費者を育てる反面、企業においてはより良い経営が為されることによって、より良い社会が構築されることがマーケティングの原点である。現在、多くの企業は、マーケティング・コンセプトの原点である消費者ニーズの追及を忘れてしまっているのではないだろうか。例えば、パソコンを考えてみても、企業側としては競合し、他社に優位性を保つために新製品を開発し、独自の流通チャネルを駆使した低価格販売を実践しているが、最近の新製品の中には、消費者にとってはいくら低価格であっても、いざその製品を使い熟せるかとなれば、機能が多すぎる等の理由で使い熟せる人が年齢が高くなるにつれて減少しているというデータもある。開発するエンジニア達の自己満足だけでは、消費者の商品を獲得したいというニーズを捉えられたとしても、消費者が実際に使用する際には使い熟せずに寧ろ苛立つだけである。近頃の商品を見ていると、果たしてそこまで消費者側が望んでいるのだろうかといった商品も多く氾濫しているように感じる。また、最近では自動車メーカーのリコールにおいても、自社イメージの崩壊につながることを恐れた企業が消費者への公表を遅らせるなどの措置を取ったとして、報道機関等によってクローズアップされている。これらの企業は自社の儲けの論理を優先するあまり、消費者の姿を見失い、消費者は単にお金を払う人間という、消費者あっての企業ではなく、企業のための消費者とだけしか考えていない。(注4)我が国におけるマーケティングに欠落している点は、正に消費者ニーズの追及における企業の具体的な展開がないことであろう。消費者を満足させることこそ21世紀の経営理念であることが世界中で騒がれている中、消費者ニーズを充足させるための徹底したコンセプトと理念を企業活動に浸透させる努力こそが、マーケティングの持つ使命ではないだろうか。
第2章 IT革命による新しいマーケティング
現在、情報技術(IT:Information Technology)の発達は目覚ましく、マーケティングとITを組み合わせたIT革命により、マーケティング本来の使命が見直されようとしている。IT革命は日本においては明治維新の時代変化に匹敵すると言われ、他方ではグーテンベルグの印刷術の発明に代表される産業革命以来とも言われるコンピューターとネットワークによって社会を劇的に変化させる革命である。社会の古い仕組みが壊されて新しい仕組みが誕生し、経済活動の主役が交代する過程の中で、消費者の商品及びサービスに対する価格や価値観の変容による購買活動も大きく変化している。このような中、企業は生き残りをかけて消費者ニーズの正確かつ迅速な把握を最大の課題とするようになった。この章では、ITがマーケティングにどのような影響を与えるかについて考察していく。
2−1 インターネットによるワン・トゥ・ワン・マーケティング(One-to-One Marketing)
高度経済成長期、日本は大量生産の時代を迎え、企業は消費者ニーズを見込み、マスメディアを通じてコマーシャルを流して大量販売するマス・マーケティング戦略をとってきた。しかし、この戦略は不特定多数の消費者ニーズを追求する側面が強いために、企業自身が消費者のリアルなニーズは見え難かった。近年では、製品の優位性を中心とした市場シェア獲得型戦略と言われる製品主導型マーケティング戦略の不確実性が高くなり、企業は安定的かつ長期的に競争優位性を確保するために、顧客というライバルを味方にすることが最大の戦略課題であると認識しはじめ、One-to-Oneマーケティングが提唱されるようになった。(注5)このマーケティングの特徴は、消費者をマスとして捉えるのではなく個として捉え、個を理解することで一人ひとりのニーズに的確に応えていくことによってB to C(Business to Consumer:企業対消費者)の取引を可能にすることである。そして顧客との継続的な関係を通じて、新たなニーズや付加価値となる情報を確保し、これに基づいて個別化したサービスを提供しようというものである。
従来、One-to-Oneマーケティングは上得意客を対象に行われてきた。上得意客については生年月日から家族構成・交友関係・経済状況までを把握し、基本的にその客専属の対応者が応対する。担当者はこれらの詳細な顧客情報を頭に叩き込み、前回購入に対しての丁寧なお礼や子供の誕生日に際しての贈り物の販売など、タイムリーな営業活動を展開していた。しかし、この戦略の前提として、消費者一人一人に関する詳細なニーズ・データベースの構築と、個別のニーズに応じたマーケティングの展開を想定しているため、情報を収集するのに多大な時間と費用を要していた。しかし、ITを導入することによって顧客一人一人に応じたサービスが可能になった。
企業戦略におけるOne-to-Oneマーケティングの最大の焦点の一つは、「顧客シェア」である。顧客シェアを確保するためには、製品やサービスをそれぞれの好みに合わせて個客対応するためのカスタマイゼーションが不可欠となり、これを実現するためには、個々の顧客ニーズを学習しなければならない。つまり一方的な情報伝達ではなく、対話を中心とした学習関係の構築が必要となる。One-to-Oneマーケティングでは学習関係を通じて次のビジネス・チャンスを確保する流れが効率的になされるため、顧客シェアを今以上に高めるために必要となる費用は、むしろ少なくて済む。更に顧客のニーズに学習・適応し、継続的な関係を構築するということは、目先の購入額を狙うのではなく、顧客との一生涯を通じたLTV(Life of Value:生涯価値)を獲得できるということを意味する。自動車メーカーのホンダは、高級スポーツカーの販売の際にホームページを立ち上げ、アクセスした顧客に対しアンケートを実施して情報収集を行い、顧客の好みに合わせて商品の性能や構造を次々に自社のホームページに掲載した。その結果、月間500台の販売目標を大幅に超える5,000台の販売に成功している。まさにOne-to-Oneマーケティングは継続的企業努力を累積化できる戦略行動であり、製品主導型とは異なり、真似されたり盗まれたりすることのない累積的資産管理型戦略であると言える。
ワン・トゥ・ワン・マーケティング戦略のもう一つの利点は、オーダーメード生産が可能となることである。オーダーメードは、どちらかと言えば非常に商品購買に金をかける特別な人に対する生産というイメージが強かった。最近の大量生産における製品のライフサイクルは約二ヶ月と言われており、売れ残った製品に対して企業は安価で販売するか廃棄していた。しかし、IT革命の成果を利用するワン・トゥ・ワン・マーケティングは、再び、このオーダーメードに光を当てている。オーダーメード生産は客の注文を受けてから製品を作るため、結果として売れ残りが無く、廃棄物も少なくて済む。更には、環境対策においての企業の取り組みを消費者に公表することによって、良い企業イメージを与えることにつながる。また、企業としては不必要な在庫を持たずに済むため、在庫を管理するための費用を削減することが出来るのである。IBMでは1996年からAPS(Advanced Production System:先進的生産システム)を導入し、パソコンの売れ行き予測のレポートを算出するマーケティング部門と生産部門をネットワークで密接に結ぶことで、在庫の回転が5割増加し、約5億ドルの経常コストを抑えることに成功している(注6)。更に、消費者に企業活動を公表することにより、これまでは考えられなかった斬新なデザイン等が消費者から寄せられるようになったため、このような消費者からのアイディアが新商品開発のヒントになったことすらある。
消費者が自由に商品情報を入手出来る情報バリアフリー市場においては、消費者の購買に対する意識を大きく変えることになる。これまで企業は良いものを生産することによってその評価を得てきた。現在、企業戦略にに求められているのは、単に物作りということではなく、顧客との密接な対話を基礎にして、総合プロデューサーのように商品を企画・製作し、顧客に提案することであると言える。
2−2 IT導入によるマーケティング戦略への課題
世界的規模で進展している高度な情報通信技術は、今後の産業構造を大きく変革させ、先に述べたように、マーケティング戦略に対しても多大な影響を及ぼしている。しかしその反面、各企業のIT導入によるビジネス環境の整備に対する政府の対応など、様々な不安材料を抱えていることも事実である。
1つは個人情報の保護問題である。現在、スーパーマーケット等においてIC(Integrated Circuit)チップを搭載したカードを導入する店が増加している。このカードの導入によって、企業は消費者の購買記録や商品の好みなどを正確に把握することが出来るため、消費者が保有する情報の収集が迅速化される。しかしながら、セキュリティー犯罪に対する個人情報の保護が早急に実現されなければ、消費者に多大な不安を抱かせることとなる。(注7)この問題に対して一刻も早く実用性のあるリーガルインフラをする必要があるのにも拘わらず、未だその整備がなされていない。従って、各企業は消費者の信頼を勝ち取るためには、如何に個人のプライバシーを守っているかを公表することが必要であり、これが実現できた企業こそ、将来、消費者の支持を得ると共に社会に対しても強い影響力を持つことになるだろう。
第2に、IT革命は市場の寡占・独占化を引き起こす可能性を有している。例えば、ハンバーガーチェーンの最大手であるマクドナルドは、IT導入によるマーケティング戦略によって消費者のリアルなニーズを掘り起こし、購買行動をGIS(Geographic Information System:地理情報システム)の導入による分析によって、驚異の大量出店に成功している。しかも、従業員層を正社員から人件費の掛からないパートタイマーへと移行し、正社員の殆どの仕事をコンピューターに代行させることで組織のスリム化を図り、当初、3倍売れれば採算が取れると言われていた通念を覆し8倍の業績を上げることで、現在、1個65円という従来の半額のバーガー販売価格に成功している。このように、ITを今後のマーケティング活動に生かそうとしている企業及び個人にとっては、この寡占・独占企業の存在は大変重要な問題となる。従って、政府はある程度の独占を防ぐような環境、つまり自由で公正なビジネス環境を早急に確立する必要がある。
第3に、ビジネス環境の整備として、電子商取引(オンライン・ショッピング)に欠かせないインターネットへの接続に関する情報通信問題にも多くの課題がある。これは電気通信会社の最大手であるNTTが、新規参入しようとする企業に対して圧力をかけ、公正な競争を阻害していることである。(注8)現在、市内通話の99%をNTT東日本とNTT西日本が独占し、携帯電話も約6割をNTTドコモが握っている。その結果、電気通信業界間での競争は激化することなく、料金も下がらないためにインターネットの接続料金は未だ諸外国に比べて非常に高い。これからオンラインでビジネスを始めたい企業にとって、この接続料金問題は多大な障壁となるであろう。資本力が少ないベンチャー企業にとっては尚更である。マーケティングにおけるIT革命による最大のメリットは、B toC(Business to Comsumer:企業対消費者)との双方向性が確保されたことである。従って、企業及び消費者にとって最適な環境を整えるためにも、情報通信インフラの整備を整える必要があろう。
第3章 今後の企業と消費者の関係について
これまで述べてきたように、これからの企業にとって、消費者の多様なニーズに対応した製品およびサービスを提供していくことこそが、マーケティング戦略の重要な鍵、即ち、企業存続の鍵となることは言うまでもないことである。しかし、IT革命によって企業と消費者の関係も新しく変わり始めており、我々が経験したことの無いような事象が起こることも予想される。時には企業並びに消費者が共に痛みを感じるようなことが多々出現するであろう。例えば、18世紀の産業革命は確かに生活水準を飛躍的に上昇させたが、都市の荒廃や環境問題など、種々の問題点を山積させたのである。IT革命は、間違いなく企業と消費者双方にとって大きなチャンスを得ている。しかし、我々人間の生活を豊かにするという目的に添った理念を見失うと、巨大な損失を被ることになりかねないのである。それぞれがこの理念に沿った実践の中で答えを出していくしかないが、最後に、今後の企業と消費者の関係の変化を念頭に置きながら、マーケティング戦略の要点をまとめることにする。
IT革命が叫ばれている現今、まずインターネットという新しいメディアの出現を受けて、これまでのマーケティングは更に強力かつ効果的なものに生まれ変わる必要がある。第1に、これまでの市場では、商品の実勢価格や詳細な性能に関する消費者への情報は不完全なものに過ぎなかった。しかし、eコマースの登場によって、消費者は非常に安い費用で多数の企業と対話することが出来るようになった。企業の製品開発において隠蔽されていたコストまでも明るみになる。従って、これからは「消費者はいかなる情報を入手し、その情報によっていかなる購買戦略をとるか」という観点から、改めてマーケティング戦略を組み立てると同時に、破壊的な価格競争に巻き込まれない優れたビジネスモデルやサービス体制を確立する必要があり、そのため自らの得意分野に専門化したスリムな形態をとりつつ、必要に応じては他社と連携したビジネスを行う必要があろう。
第2に、消費者は、企業の顧客データベースに載るよりも、自ら企業データベースを操り、企業ホームページを巡って、企業と商品の情報を入手することを好むようになる。従って、企業にとって顧客満足度を高めること、即ち、今まで以上に「個人」を意識しなければならないであろう。そのためには、企業は既存のチャネルでは、ネット経済においてそれが仇となる可能性がある故、直ちに独自の流通チャネルを再検討する必要があろう。
第3に、市場,消費者,商品が進化するにつれて、商品開発のプロセスも進化することになる。上述のような「戦略的消費者」が主流になっていく中で、特に、重視しなければならないことは、「プロシュマー(Prosumer:商品のプロセスにも参加する消費者)開発」であろう。戦略的消費者は個性化を強めており、メーカーの市場調査や市場分析を通じて、間接的かつ一方的に自分のニーズが商品開発に反映されるプロセスでは飽き足らなくなっている。eコマースは、そのインタラクティブ(interactive:双方向性)、リアルタイム(realtime:即時性)、マルチメディア(malti media:迫真性)といった特徴を活かして、彼らを商品開発のプロセスに参加させる場を提供することが出来る。従って、こうしたプロシュマー型開発のスタイルと、異業種企業の提携によるパッケージ商品の開発などのプロセスが結びつくとき、初めて消費者は、企業ごとの商品・サービスを見定め、企業の商品開発を推進して、その力を活かせるように行動することが出来るのではないだろうか。
おわりに
今後、企業と消費者にとって情報は特に重要視されるものとなる。ある意味では、日本は情報後進国である。通信費は高く、ビジネスモデル特許などの特許戦略は遅れ、パソコンの普及も必ずしも高くない。しかし、他方でiモードによる携帯電話や「プレイステーション2」のようなゲーム機、更には日本が世界に非常に大きな競争力を持つと言われるデジタル放送用テレビなどの、いわゆるデジタル家電も新しく出現してきている。やはり、多くの問題を内在しながらも、日本においても情報化は確実に進んでいるのである。 企業が消費者に対して一方的に情報を伝達するマーケティングの時代は終わりを告げ、これからは企業が消費者のニーズに応じて情報を公開することが、最も優れたマーケティングとなる。我々人間の生活を物理的にも精神的にも豊かにするという目的に添った理念を見失わず、消費者の生活創造、即ち、我々の新しいライフスタイルを創造していくことが企業成長の促進につながっていくことを認識すべき時代が訪れている。
注
(1) フィリップ・コトラー著、和田充夫・上原征彦訳『マーケティング原理』ダイヤモンド社、
1983年、p23〜p24
(2)土井秀生『図解マーケティング・マネジメント』東洋経済新報社、2000年、p95
(3) 三家英治『マーケティングとは何か』晃洋書房、1983年、p24〜p25
(4)同書 p35の要約。
(5)江口泰治『IT革命で変わる新しいマーケティング入門』中経出版、2000年、p63の要約。
(6) 石井威望『21世紀のIT革命とは何か!』青春出版社、2000年、p.19〜21
(7)郵政省『通信白書 平成11年版』p48〜p49
(8) 石山嘉英『オン・デマンド・エコノミー』東洋経済新聞社、2000年、p.224〜225
参考文献
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嶋口充輝・石井淳蔵『現代マーケティング』(有斐閣)1995年
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杉浦 司『よくわかるITマネジメント』(日本実業出版社)2000年
D.ペッパー,M.マーサ(著)、倉持真理・富士通iMiネット(訳)
『ONEto ONE企業戦略』(ダイヤモンド社)1997年
嶋口充輝『顧客満足型マーケティングの構図』(有斐閣)1994年
江口泰広『IT革命で変わる新しいマーケティング入門』(中経出版)2000年
江口泰広『マーケティングのことが面白いほどわかる本』(中経出版)2000年
K.ケビン(著)、酒井泰介(訳)『ニューエコノミー勝者の条件』(ダイヤモンド社)1999年
中谷 厳『eエコノミーの衝撃』(東洋経済新報社)2000年
寺元義也・
佐藤尚規『ネットビジネス革命』(日本実業出版社)2000年
井手和明・小山健治『ONEtoONE インターネット時代の超マーケティング』
(アイ・ディー・エル)1998年
土井秀夫『図解マーケティング・マネジメント』(東洋経済新報社)2000年
『週刊朝日』 2000年7月21号
『朝日新聞』 2000年7月12日付
参考ホームページ
HOME ECONOMICA「IT革命と日本経済」 (http://www.acom.co.jp/homeeconomica/)
JMR生活総合研究所「ネット経済への対応」 (http://www.jmrlsi.co.jp/index.html)
NHK教育「21世紀ビジネス塾―IT・マーケティング編―」 (http://www.nhk.co.jp/business21/)
経済連連合会 「IT立国に向けた提言」 (http://www.keidannrenn.or.jp/japanese/policy/2000)
中小企業庁「2000年度版中小企業白書」
(http://www.cyusyo.miti.go.jp/)
日本商工会議所「政策委員会意見書ーわが国IT革命の推進と中小企業のIT化支援について」
(http://www.jcci.or.jp/nissyo/IKEN/)
郵政省 「21世紀の情報流通ビジョン」 (http://www.mpt.go.jp/pressreleasa/japanese/tsusin/)