日本人のワードアソシエーションの回答パターン
に置ける時間的余裕の有無の影響

概要

 「連想ゲーム」のようなword associationテストの回答パターンは、一般的に世界共通であると思われている。しかし、日本人の回答パターンは西洋人に多く見られる類語、同意語、反対語などの分類的な答え(いわゆるparadigmatic)とは異なり、イメージや特徴を表すsyntagmaticな言葉で答える傾向がある。西洋人の場合は、時間的に制限されるとよりparadigmaticに答えるという結果があるので、本論では、日本人も時間的に制限された場合に同じ傾向が現れるかどうかを調査した。結果として、時間の余裕が無かった場合、分類的な答えが7.6%から21.4%に増加し、熟語的な答えも5.8%から13.1%に増加した。また、イメージ的な答えは21.2%から10.7%に減少した。
 この結果から、西洋人と同様、日本人も時間に余裕があるほどsyntagmaticな答え方をし、無い場合はparadigmaticな答え方をする、という傾向があることがわかった。加えて、熟語的な答えも一般的にsyntagmaticと思われているが、これは時間的猶予があるほど減少の意図をたどるので、syntagmatic--paradigmaticのパラダイム自体がこのような分析にはふさわしくない部分があることも、本論の結果から言える。