熊本県立大学の主張を全面的に支持する不等判決について
2002年10月31日、熊本地方裁判所において、原告のシンシア・ワージントンとサンドラ・ミッチェルの主張が全面的に退けられました。結論はもちろんのこと、熊本地裁の裁判官(松永健幹、堀部亮一、久布白千咲)の論理に驚かざるを得ません。このお三方によると、世の中は次のようになっているそうです。
- 公立大学は「fulltime」の公募を出しておいてから、採用された人に対して熊本に来た時点で、「週30時間、月20日以内勤務の非常勤特別職」、つまり、parttimeの不安定な雇用条件を突き付けても、何ら問題はありません。
- 公立大学は新設の学部を認可してもらうために、そのfulltime(ただし週30時間、月20日以内勤務ですよね)の教員が「専任」であると文部省に対して申請しながら、本人に対して「非常勤特別職」の二枚舌の対応をしても結構でございます。
- 研究室のある外国籍のfulltime教員を非常勤特別職の枠で雇うという不思議な制度を廃止する際に、永年大学に勤めながらその制度のさまざまな矛盾や問題を指摘して改善を求めてきた人間全員の首を一旦切って、改めて全員の採用があり得ない3つのポストに応募させてもけっして不当労働行為ではありません。しかも、その際に、公の場において学長が「学内を混乱させた」組合をこの「改革」の理由として挙げても、後で法廷においてそれは実は組合潰しなどとはまるで関係のない「外国語教育の見直し」だったという言い分は通用します。
- 以上のような対応は外国人に対してのみ行っていても、それはけっして「国籍による差別ではない」のです。
などなどと、実に不思議な世の中です。
この不思議な判決に関心のある方が自分の目で確かめることができるように、その写しをpdf形式にし、ここで公開しております。pdf形式ファイルの閲覧や印刷にはAdobe Acrobat(R) Reader(TM) が必要です。
ファイルが大きいので、3つに分けました。お急ぎの方は3つ目のところをご覧ください。熊本地方裁の裁判官の屁理屈は26ページからです。
- 1から10ページまでの判決文(544K)
- 11から22ページまでの判決文(688K)
- 23から33ページまでの判決文(616K)
判決に関する2002年11月1日の朝日新聞の記事はここにあります。
このような不当判決を認める訳にはいきませんので、当然控訴することを選択肢の1つとして考えています。
なお、「熊本県立大学外国人教員を守る会」では、今後不定期に私たちの運動等に関するニュースをメールで出していきた いと考えております。受信されたい方はぜひ masden@kumagaku.ac.jpへご一報ください。日本語と英語のニュースを別々に発行しますので、両方を受信されたい方はその旨をお書きください。