熊本県立大学外国人教員を守る会ニュース  

(題名募集中)

第 1 号 1999年1月24日発行   編集・発行 熊本県立大学外国人教員を守る会


 前回、大慌てで作ったニュース第0号から早1ヶ月。守る会メンバーは正月気分に浸る間もなくあくせく活動しておりました。

 県立大学は昨年10月1目に1年任期の外国人教員全員にたいして「来年度の任用は行わない」という解雇通知を一方的に押しつけました。何とかこの非人道的な行為を阻止し、再考を願うべく大学内外で運動を盛り上げています。しかし、今年度のタイムリミットはすぐそこまできています。4月以降、教育・研究の場を離れ、大好きな学生とも別れるのか…そんな不安と悩みに苛まれながら日々頑張っている彼らの力に少しでもなればと思い、私たちも全力で取り組んでいきます。どうかご支援よろしくお願いいたします。


目次

一万人署名への確実な第一歩

 年の暮れ12月27目(日)、買いものする人でにぎわう下通りにて、署名活動を行いました。当実は県立大外国人教員を始め、他大学の教員そして多くの学生が手伝ってくれました。これまでもマスコミに多数取り上げられているため「あっ知ってます」と言われることが度々あり、熊本県民のこの間題に対する考えを聞くことができたのも大きな収穫でした。がんばる学生に対し「あなたたちが21世紀を作るのだからね、しっかり!」と暖かい声援をかけてくれる人、「まったく何で今ごろ外国人差別?」と素朴な疑問を投げかけてくれる人さまざまでした。そんなこんなの3時間で集まった署名は約970名。あと9回すれば1万人だ!がんばるぞ!!!


初めての街頭署名活動を終えて
    語り:シンシア・ワージントン

    文章:中本幸子

  とにかく初めてのことだったので、最初は道行く人に向かってどうやって声をかけていいのか分らなくって、緊張したわ。アメリカではね、街頭での署名活動は見たこともないの。みんな車でひゅんひゅん行っちゃうしね。door-to-doorのなら知ってるけど。通る人の反応は様々でおもしろかったわよ。署名しないけど、すまなそうに横目で見ていく人、後戻りしてきて書いてくれる人。時間が経つにつれ、私もだんだんと慣れてきてね。だいだいどんな感じの人がどういう反応をするかが分かってくるの。こういうのが上手くなるのも悪くないわね。


次回の街頭署名活動
1月31日(日)

 熊本市内下通りアーケード内にて、街頭署名カンパ活動を行います。参加・協力をぜひぜひ宜しくお願いいたします。


県立大の学生有志よ
ここに集まれ

 昨年12月のシンポジウムに参加してくれた県立大学の学生が挙手をして、一人ひとり外国人教員の名前を上げながら「先生やめないでください」「先生の授業が大好きです」といっていたのと同じような気持ちを抱いている学生がまだまだたくさんいるはずだ!そこで学園大の学生と協カし、ビラまき・署名活動を実施することにしました。そのビラをどうかご覧下さい。

 

県立大の外国人教員を守ろう!

  1O月1日、非常勤特別職として県立大に勤務する外国人教師6人は、大学側から「来年度の任用更新はしない」との通達を受けました。彼ら6人のうち、シンシア・ワージントン先生、ファレル・クリアリ先生、サンドラ・ミッチェル先生は、一昨年から、「外国人教員の日本人とは異なる雇用形態は外国人差別ではないか」と抗議の声を上げ、たたかってきました。3人の所属する組合「くまもとゼネラルユニオン」が、昨年6月におこなったストライキは、皆さんもご存じのことと思います。彼らが指摘した外国人差別とは、どんなものなのでしょうか。現在、県立大学に勤務する先生方の雇用形態は次の通りです。<>は任期

 日本人

1、 専任&常勤(県立大の教授・助教授・講師)<定年まで>
2、 兼任&非常勤(他大学から1コマ単位で講義にきている先生方)<1年間>

 外国人

3、 專任&非常動(県立大の教授・助教授・講師)<3年間>
4、 専任&非常勤(外国人教師6名)<1年間>
5、 兼任&非常勤(他大学から1コマ単位で講義にきている先生方)<1年間>

 問題は4という雇用形態が目本人にはないこと。1と3は勤務内容が全く変わらないのに、3の外国人にだけ3年間という任期があることです。また4の雇用形態は、勤務先のほとんどが県立大に限られる専任でありながら、任期1年の非常動というおかしなものです。

 大学側は、外国人教師6人の代わりに、専任かつ常勤の外国語を致える教員3名を募集しました。しかしその募集要項には「外国籍を有する者の任期3年とする」との文字がありました。これでは、なんの解決にもなっていません。それでいて外国語教師6名は、3月いっぱいで職を失うことになるのです。

 先生たちは、問題点を指摘してくれました。もし、あなたに自分のミスや直すべき点を指摘した友人がいたら、注意してくれたその人を全部否定し、友人関係を切りますか。国際化をうたいながら、大学側がしようとしているのは正にこれと同じことです。いま、全国各地の大学教授や弁護士らが呼びかけ人となり「熊本県立大学外国人教員を守る会」が動いています。署名運動も全国に拡がっています。私たち県立大生も、勇気ある外国人の先生方の抗議の声と行動に応えるべきではないでしょうか。

 このままいけば、6名の外国人教員は3月に県立大を去らなければなりません。先生方の雇用を守るよう、大学側に学生の声を集めて意見書を提出したいと思います。それは、外国人の先生方が今後もたたかい続けていけるようにするためのものです。ひいては日本人と外国人との間の問題を解決するためのものです。

 今一度、この問題について考えてみて下さい。そして主旨に賛同いただけるようでしたら、1月25目(月)26日(火)の朝8時15分より西門前で暑名活動を行っていますので、暑名にご協力お願いします。

学生有志

文書作成:上原さとこ(県立大学総合管理学部2年)
TEL:(096)385−8647
E−MAIL:g0973041@pu−kumamoto.ac.jp


カンパのお願い

 守る会にはまだ口座がありませんので当面はゼネラルユニオンの口座を使います。郵便振替の際には守る会カンパとご明記下さい。

 郵便振替:O1750-1-62687 くまもとゼネラルユニオン


WHAT IS 労働委員会?

 1998年11月19目、くまもとゼネラルユニオン(KGU)は地方労働委員会に救済の申し立てを行いました。ところで、地方労働委員会って一体何なの?と聞かれることがあるので、お答えしましょう。

 労働委員会とは、各都道府県に設置される地方労働委員会とその判断に不服のある場合の再審査機関である中央労働委員会との二層構造からなっている。委員会はいずれも公益委員、使用者委員および労働者委員の三者同数により構成されている。しかし最終的に救済命令を決定する合議は、公益委員のみによって行われる。大きな役割として、不当労働行為の審査と労働争議の調整の二つがある。不当労働行為が成立するかどうかを判定するための審査手続きには、調査と審問とがあり、労使双方によって積み重ねられた事実を総合判断して、命令を下す。

<KGUの動きは?>

 昨年11月19目に県立大と県を相手に不当労働行為の救済を申し立てたことは新聞などで報道がなされました。主張としてはまず、県立大が非常勤特別職(1年任期)の外国人教師制度を廃止しようとし、組合を含む6人の首を切るのは不当であるということです。KGUは「国籍による差別のない、任用承諾時にサインした通り、常勤での採用」を求めており、団体交渉は継続中の解雇通知だったのです。救済申し立て当初の大学側のコメントは「非常勤特別職の制度そのものを廃止するわけではない」(1998年11月21目熊日新聞)としているのに、その後「組合つぶしを意図しているのではなく、来年度は制度を廃止するため、その任用更新は行わないだけだ」と言い換えています。このことからも「非常勤特別嘱託」制度を廃止するという建前で、組合員の事実上の解雇を図っていたことは明らかであります。背景的事実には、正当な組合活動を文書でもって威圧したり(1998年6月24目付け)、新学部設置の際の文部省宛ての書類に「専任」でサインをさせ実際は「非常勤」、そして新学部ではなく外国語教育センターに所属させるという背任行為があるのです。

 このたたかいは何も今、降って湧いたものではなく、1993年から起こっているのです。勇気をもって不正を指摘し、抗議の声をあげてくれた外国人教員の主張を、地労委が真摯に受け止めることを願います。地方労働委員会の調査は第一回1998年12月25日、第二回1999年1月22目、次回は3月3目に行われます。その後、審問がなされます。


例会・実行委員会
  • 毎週月曜 守る会例会
  • 毎週木曜 国際バラコン実行委員会

 いずれも18時30分から21時まで、九品寺の労働会館2階でやってます。ぜひ一度来てください。


国際バラエティーコンサート
3月6日(土) 熊本県立劇場地下ホールにて

 熊本県立大学の外国人教員を守る会主催で、何でもありのコンサートを企画しています。内容としては、Jeff Cairnsさんによるモダン・ジャズ、オペラ歌手の高橋侑子さんによる熊本民謡、グループ葦をお招きしての中世音楽の演奏など盛りだくさんです。学生のサークル参加もありーので、最後は世界各国の民族音楽一ニュージーランドのマオリ、ラテン・アメリカのサルサなどでみんなで踊ろう!

 今、ポスターやパンフレットを作成しているので、詳細は後日またお知らせします。とりあえず、手帳にメモして、友達たくさん誘って来てください。


真の
「国際化、差別のないまちづくり」
をめざして

 熊本県では、任期満了に伴う県知事選挙が1月14目に告示され、1月31日に投票が行われます。立候補者となっている三氏にそれぞれ「いま県立大学で起きている外国人教員の雇用問題をどう考えているか」という質間状を送りました。立候補者のうちの一人から返事を頂きました。6つの質間とその答えを要約して報告いたします。

1、 外国籍の教員だけに任期を設けることには差別感を抱く。平等にすべきだ。
2、 教育問題での差別感はまずい。
3、 今年度で任用更新をしないという通知は生活権にも関わることなので、一時延期して検討するべきだ。
4、 国際化社会に対応する県民づくりの第一歩は語学習得といっても過言ではない。従って外国語教育の低下を来さないような対策を考えねばならない。
5、 「非常勤特別嘱託」の雇用制度の問題でアメリカ領事館から大学へ照会が来ているが、国際交流の停滞を招いてはならない。
6、 県職教育関係、各界代表、一般県民などで納得できる結論を出す。それまでは従来通りの雇用関係を継続するべきである。

 他の2人の立候補者も、県立の大学で起こり、県民の多くが関心を示しているこの問題に何らかの見解を述べるべきでしょう。


編集後記

 このニュースを作りながら、「ほんまに色々やってるな一」と思う今日この頃。あと2ヶ月で解雇!?という不安に駆られつつも、私たちの前では明るく振る舞う先生たちと全力投球でがんばります。ご支援よろしくを。(幸)


 

編集発行

 熊本県立大学の外国人教員を守る会

代表

 ・花田昌宣 熊本市大江2-5-1 熊本学園大学
      096-364-5161
 ・松野信夫(弁護士) 熊本市京町1-10-8
      096-325-9911 
      くまもと法律事務所
 ・ファレル・クリアリ
      096-364-8694

HOME

1999年1月28日更新