第17講 開放経済の分析

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国際収支の定義[top]

大蔵省(現財務省)は1996年1月分からの国際収支統計を新方式に変更しました.従来の貿易収支,貿易外収支,移転収支という分類から,「貿易収支」,「サービス収支」,「所得収支」,「経常移転収支」へと組み替えました.従って,新方式での「経常収支」=「貿易収支」+「サービス収支」+「所得収支」+「経常移転収支」となります.従来の貿易外収支の大半はサービス収支に引き継がれましたが,投資収益は新設の「所得収支」に移りました.また,従来の移転収支のうちODA関連の一部は新設の「その他資本収支」に移り,海外子会社の再投資収益は「所得収支」に加えられました.さらに,表示方法は従来の円とドルの2本建てから円表示のみに変更しました.新方式の,貿易収支とサービス収支を合わせた「貿易・サービス収支」は国内総生産方式の「財・サービスの輸出マイナス輸入」に対応し,国民経済計算に合わせたといえます.なお,資本収支関係では,従来の原契約期間が1年を超えるか1年以内かで区別した長期資本収支と短期資本収支の分類は廃止され,投資収支,その他資本収支へと組み替えられました.また,従来の基礎収支や総合収支,金融勘定の概念も廃止になりました.

■新方式の国際収支

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経常収支(1)+(2)+(3)+(4)
 貿易・サービス収支(1)+(2)
(1)貿易収支
   ○輸出
   ○輸入
(2)サービス収支
   ○輸送
   ○旅行
   ○その他サービス
    通信,建設,保険,金融,情報,特許等使用料,など
(3)所得収支
   ○雇用者報酬
   ○投資収益
    直接投資収益(再投資収益含む),証券投資収益など
(4)経常移転収支
   無償資金援助,国際機関拠出金,労働者送金

資本収支(5)+(6)
(5)投資収支
   ○直接投資
   ○証券投資
    株式,債券
   ○その他投資
    貿易信用,貸付・借入(現先取引含む)
(6)その他資本収支
   ○資本移転
   ○その他資産

外貨準備増減金
誤差脱漏

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新方式の国際収支に関する参考文献
○日本銀行『国際収支統計月報』1996年1月号
○日本銀行国際収支統計研究会『国際収支のみかた』ときわ総合サービス 1996年

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(c) Shigeru Sasayama, Kumamoto Gakuen University