第15回 回帰分析

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回帰分析とは[top]

Yのデータの動きをXのデータで説明しようとするとき以下のようにかきます.

 Y = α+ βX

Yが被説明変数(あるいは従属変数),Xが説明変数(あるいは独立変数)です.αは定数項(切片),βが回帰係数.
消費の動きを所得で説明する場合は,Yが消費,Xが所得です.回帰分析(regression)とは,XとYのデータからαとβの値を計算することです.αとβの値は最小2乗法によって求めます.

想定した回帰式と実際の消費の差の2乗和を最小にするように切片(α)と傾き(回帰係数β)を求めます.従って最小2乗法(OLS: Ordinary Least Square method)といいます.

説明変数が2つ以上の場合を重回帰といいます.

エクセルで回帰分析[top]

エクセルのツールメニューを使うと,回帰分析を簡単に実行することができます.

暦年 消費 所得
1988 213 363
1989 223 380
1990 232 400
1991 237 416
1992 240 420

   (単位は兆円)

1.上の表から,所得と消費の散布図のグラフを作成しましょう.
消費と所得のデータ部分だけを範囲指定してグラフウィザードに従って作成します.
横軸を所得に,縦軸を消費にするにはどうしたらいいでしょうか.工夫してください.

2.ツールメニューから回帰分析
1)ツールメニューから「分析ツール」を選びます.分析ツールがエクセルにアドインソフトとして読み込まれます.
2)現われたメニューの中から「回帰分析」を選びます.
3)入力Y範囲:被説明変数のデータ範囲(ラベルも選ぶ)
入力X範囲:説明変数のデータ範囲(ラベルも選ぶ)
X範囲の指定の時Xデータとして複数選んだ場合は,重回帰になります.
4)ラベルにチェックを必ず入れます.
有意水準にチェック,95%はそのまま
5)出力オプション
一覧の出力先:計算結果を表示する最初のセルを選びます.この場合は同じシートの中に回帰分析の結果が計算されて表示されます.
別シートへの出力を選ぶと,となりの別シートに結果が表示されます.後者を選んだほうがわかりやすいでしょう.
6)残差にはすべてチェックを入れます.
7)正規確率にもチェックをいれます.
後はエクセルが自動的に回帰分析を始めます.面白いように結果が表示されます.
8)エクセルは残念ながらダービン・ワトソン(DW)統計量を計算してくれません.DWは別途計算しなければなりません.

  DW= SUM((et - et-1)^2 )/ SUM(et^2)

ここで,etはt期の残差です.

3.出力結果の整理
消費関数の場合なら,次のように整理されます(例).
 C =  49.4  +  0.45*Y
   (4.59) (16.7)
  Rbar2 = 0.98  SE = 1.31 DW= 2.27
  ( )内はt値.

49.4が切片,0.45が回帰係数です.

エクセルの出力結果では,切片と所得の係数の欄が回帰係数の値です.tの欄がt値です.
回帰統計の表で,補正R2が自由度修正済決定係数,標準誤差が推定の標準誤差(SE)を示します.

推定式評価のチェックポイント:以下の統計量が重要です.
回帰係数(符号の正,負が重要です.理論的にどちらかであるかを事前に把握しておきます)
t値(回帰係数の統計的有意を判定.絶対値で2以上が目安)
自由度修正済決定係数(1以下で1に近いほどよい)
標準誤差(SE:単位は元のデータの単位によります)
DW統計量(2に近いほどよい.経済時系列データの場合2より小さくなる傾向があります.
2より小さい場合は,残差に正の自己相関があるといいます.2より大きい場合は負の自己相関)


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