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坂上智哉ホームページ>Q&A質問コーナー

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中越地震の報道が連日なされています。この災害は現在進行形であり、被災された人にとって安らげる場所がいまだにない状況にあります。かつてのケインズ経済学では、復興のため総需要が拡大し、景気を押し上げる効果がある、ともいえるのかもしれませんが、もはやこれは明らかな誤りでしょう。近視眼的なものの見方よりも、人々の生活や産業基盤に不可欠な公共インフラが大打撃をうけたことの方が重要です。公共インフラは生活の向上や長期的な経済発展を促す上で極めて重要だからです。
   また民間企業への「直接的」な打撃も大きいものがあります。自動車産業などの企業の多くが部品工場と最終組み立て工場を国内で分散立地させており、その結果、新潟にある部品工場の操業停止によって、その後の工程にまで影響が出ています。これらの直接・間接的な負の効果は中長期的に日本経済にマイナスの影響をもたらすのではないでしょうか。同時に、このような災害リスクに日ごろから対処するために、リスク分散型の工場の立地や、災害時にも活用できるインフラの整備などを考える必要があるでしょう。(2004/11/15掲載)
 

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私の甥っ子(5才)も大好きなようですが、私自身はテレビゲームや携帯ゲームに熱中している、という訳ではないので良く分かりません。(もちろん、質問された人も病的なまでに熱中しているわけではないと思いますが)。そこで私にいろいろと教えてください。
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1.

一般的にテレビゲームやアニメは日本を代表する文化である、ということなのでしょうが、文化というからにはルーツをさかのぼると江戸時代の浮世絵につながるのですか。
  2. テレビゲームはレジャーの一種で、時間消費によって効用を高めるということでしょうか。場合によっては思うように行かずストレスがたまることはないのでしょうか。
  3. そもそも日本人は、大人から子供までゲームに熱中するほど暇な時間が多いのでしょうか。これとゆとり教育との関係はあるのでしょうか。それとも日本には他に娯楽がないのでしょうか。
  4. 「ストレス発散でリフレッシュ」以外のルートで、ゲームの利用者はわが国の生産性の上昇に貢献できるのでしょうか。たとえばゲームを通じて高い教育効果が期待できるとか。もしくは、ゲームに熱中している若者の中からわが国の技術進歩に貢献する人が数多く出てくるとか。
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・・・あーすっきりした(笑)。(2004/11/15掲載)
 

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紙幣の流通モデルといえば、清滝=ライトのサーチモデルですが、私はその筋のプロではないので、残念ながらすぐにはどうのこうのと語れません。ただ、今回は偽造防止が表向きの理由なので(裏テーマもあるかもしれませんが)、サーチモデルとは異なる視点が必要なのかもしれません。

私は新し物好き(熊本では「わさもん」といいますが、基本的にみんなそうです)なので、すぐに銀行に行って野口英世と新・福沢諭吉を入手しました。新紙幣をしばらく観察しながら「グレシャムの法則」のことを思い出しました。悪貨は良貨を駆逐するという法則です。その成れの果てが偽造通貨となるのでしょうか。新紙幣、かなりの技術で過去にない「良貨」という印象を得ました。これで逆に悪貨を駆逐してほしいですね。また、依然として出番の少ない二千円札にもがんばってほしいです。これまで「良貨」のイメージで大事にされすぎたのでしょう。(2004/11/5掲載)
 

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イラク派遣の件は一見、経済学と関係ないように思われますが、ゲーム理論を使ってある程度の問題提起をすることができます。実はこれ、今年のセンター試験の政経の問題にも出ています。
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要は、A国とB国の対立がゲーム理論で言う「囚人のジレンマ」に陥っている場合、国連の役割が重要になるということです。特に、戦争という戦略を用いようとする国には、たとえ大国であっても国連が容赦なくペナルティーを課す、とすれば両国の利得が変化し戦争を回避するインセンティブが高まります。
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しかし、そのようなことができるためには、現在の常任理事国の見直しを含めた大規模な国連改革を早急に行う必要があると思います。日本は、国連に多大な資金を拠出している割に国際貢献度はきわめて低いのが現状です。日本が国連を通じてもっと世界平和に貢献できるようなシステム作りが望まれます。(2004/03/09訂正)
 
 

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春学期の経済数学の授業では、2つの教室を学内LANで連結した授業を行いました。本学はこのような授業のできる環境が整っているのだということを実感した次第です。
(やるほうは手探りだったので大変でしたが)

具体的にはノートPCと学内 LAN(イーサネット)を利用した双方向の授業でした。MSWindows XP ベースで会議ソフト Netmeeting を使用しました。「私の音声」と「私の画像」と「プレゼンテーションソフト (MS Power Point) で作成した授業スライドの画像」の3つの情報をサービス側(私がいる教室)からクライアント側(別教室)に送りました。同時にクライアント側の教室の風景画像と音声をサービス側に送り、これらは私のPCで常に確認できるようにしました。

必要な機材は、ノート PC 2台、Web カメラ2個、ヘッドセット(マイクとヘッドフォン)、プロジェクタ(2台:教室設置)、スクリーン(2枚:教室設置)、その他ケーブル類でした。

学生の活動や学内での講演会などでこのシステムを活用したい場合には、私と新村先生とで作成した「教室間連動型授業マニュアル」がありますので、必要な場合には申し出てください。(2004/11/15掲載)
 

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経済数学をさらに勉強したいそうですね。授業で向学心が高まったのであればうれしい限りです。ただ、経済数学は経済学を学ぶ手段ですので、なにか目的があるから手段としての経済数学をもっと勉強したい、ということだと思います。たとえば公務員試験を受けたいからラグランジュの未定乗数法をしっかり勉強しておきたい、だとか、金融工学で不思議な式がたくさん出てくるので意味を知りたい、だとか、ミクロ・マクロの上級のテキストを読むと難しい式がたくさん出てきたのでもっと勉強をしたい、といった感じでしょうか。
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もちろん、私の授業は「微分」に特化していましたので、経済学をいっそう理解するためには、このほかに「ベクトルと行列」の知識も重要です。上級の公務員を希望するような場合、ここまではやっておく必要があります。
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しかし、さらに経済学を極めたい、将来大学院に進学したい、という人については・・・、ここは人により意見が分かれるところなのですが、私としては数学の専門書を学部生のうちから読んでおくのがいいと思います。私の場合、大学2年生のとき、 ディユドネの『現代解析の基礎』(東京図書)にチャレンジしました。しかし、この本に出てくる集合・位相が当時はさっぱり分からず、途中で投げ出しました。代わりに松坂和夫の『集合・位相入門』(岩波書店)を読みました。3年生のときから斉藤正彦の『線形代数入門』(東大出版会)とスメール&ハーシュの『力学系入門』(岩波書店)を読みました。これらは2年間、毎週欠かさず大学の先生(統計学の先生と数学の先生)の前で報告しました。大学4年生の秋から再びディユドネにチャレンジしましたが、このときはさすがに理解できるようになりました。
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数学を深く学ぶことの最大の意義は、「論理的な考え方を身につける」ことです。しかし、独学でなかなかこのような境地が理解できない場合には、私が直接アドバイスします。私自身、学生の頃いろんな先生のお世話になりましたので、その恩返しが少しでもできればいいなと思っています。(2004/03/06掲載)
 
 

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坂上智哉ホームページを山下博光君とのジョイントで立ち上げた当初は、私の研究・教育・趣味を柱に作ろうということでした。まず「教育」については、経済数学のクラスで学内LANを使った授業を展開していますので、この授業をウェブ上でもサポートできたらいいと考えています。
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次に、研究資源に関する情報もどんどん発信したいです。ありきたりの情報ではなく、私が直接見て聞いて私なりに整理した情報をたくさん出したいです。
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最後に趣味のコーナーですが、こちらはあざ先生のホームページの立ち上げを見守ることにします。が、俳句に加えて「お能」のコーナーも登場するかもしれません。先日、W狩野先生に「習います」と言ってしまいました。(2004/05/18掲載)
 

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