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●Vol.6(2005/9) 「州都はAlbany」
●Vol.5(2005/9) 「本学ゼミ生がEREで全国第1位の成績」
●Vol.4(2005/6) 「道州制の州都を考える研究について」

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「州都はAlbany」

Vol.6(2005/9)

 8月下旬、州内ネットワークの調査でアメリカに行ってきました。今回の調査では、特にニューヨーク州の州都形成の理由を探るという点で成果を得ました。州都Albanyでは市長のGerald D. Jennings氏や歴史家のVirginia B. Bowers氏らに出迎えられ、長時間にわたりAlbanyの歴史を学んできました。今回の調査で私が最も知りたかったことは、ニューヨーク州の州都がなぜN.Y.C.ではなくAlbanyになったのか、ということでした。事実上の州都になったのはアメリカ独立後の1797年。当時は鉄道もエリー運河もありませんので、州議会を開くために人々は馬車(もしくはハドソン川を通行する船)で集まることになります。Albanyはニューヨーク州の交通の結節点であり、州内の各地からのアクセスの良さと、州関連の施設を建てる土地が十分にあったこと、Albany市・郡の多大な協力があったことで、ここが州都に決まったようです。

 しかし、すんなり決まったわけではなく、N.Y.C.とAlbanyのどちらが州都の座を射止めるかで大変な駆け引きがありました。独立戦争の転機となったサラトガの戦い(Albany近郊)が行われた1777年、州の各郡から仮の州議員を選出し、Kingstonという町で議会が開催されました。このとき、毎年1回はどこかで議会を開くことが決まりましたが、開催の場所までは固定できませんでした。その理由は、当時は独立戦争のさなかにあり、各地で戦いが繰り広げられていたためでした。以後、約20年近く、Kingston, Poughkeepsie(ポキプシー), Albany, およびN.Y.C.などで州議会が開かれることになります。1787年からはAlbanyとN.Y.C.がほぼ交互に開催地となりました。この間、州議員はハドソン川を上ったり下ったりしていたわけです。しかし、毎回場所を変えるということは、人だけでなく累積する資料や記録類も常に移動することを意味します。ついに1797年、州議会の場所を固定する法案が提出されました。このとき考慮すべき重要な点として追加された項目が、公共の施設を建設する土地が十分にあるかどうかでした。これが決定打となり、Albanyは晴れて州都となったのです。

 写真は、現在の州都Albanyの風景です。現代的な州関連施設が立ち並び、整然とした街並みが形成されています。その一方で、古い州庁舎を中心とした歴史的建築物も保存され、街中が花で飾られていました。塵ひとつないとても美しい街で、現市長の手腕の高さを感じました。

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「本学ゼミ生がEREで全国第1位の成績」

Vol.5(2005/9)

 去る7月3日に実施された、第8回経済学検定試験(ERE)において、3年のゼミ学生が全国第1位の成績を収めました。正直なところここまで成長するとは思ってもみなかったので、今回の成績にはほんとうに驚きました。というのも、彼は1年前までは分数の計算すらおぼつかない学生だったからです。熊本学園大学に入って初めて勉強の楽しさを知り、特にこの1年は図書館やサブゼミで猛勉強をしていました。

 経済学検定試験は、本学のような地方私立大学にとっては全国レベルで経済学の理解度がわかる貴重な機会なので、本学でもこの試験を目標に勉強している人が少なからずいます。逆に、このような試験がなかったら、地方にうずもれている潜在能力の高い学生を発掘することは難しかったのではないかと思います。「できる」と思う学生はこれまでにもたくさんいたのですが、彼らが本当に「できる」ことを客観的に示すものがこれまでになかったためです。

 熊本では壺溪塾(コケイ塾:予備校)の先生もEREに力を入れておられるため、本学とのシナジー効果も期待できると思います。壺溪塾経由で本学に入学した学生は、入学の時点ですでにEREの存在を知っています。

 今後は、一人でも多くの学生を伸ばし、本学で日経賞が取れるくらいに層を厚くできればと思っています。

 ちなみに、過去2年間(4回)のEREで、「A+」以上の成績を取った人をEREのホームページに公開されている情報を元に、所属大学別に数えてみたところ、次のようになりました(大学院生を含む延べ人数です)。

9人 東京大学
7人 京都大学
3人 一橋大学,早稲田大学
2人 熊本学園大学,東北大学,神戸大学
1人 慶応大学ほか

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「道州制の州都を考える研究について」

Vol.4(2005/6)

 地方再編の第2ラウンドは都道府県の合併であり、そのゴールは「道州制」です。地方自治の枠組みが道州制に移行した場合の新しい地域ネットワークのあり方を、「ネットワーク形成ゲーム理論」を用いてゼミの学生と一緒に研究しています。 州都を目指す動きは全国で活発化していますが、単なる「町おこし」の一環として名乗りをあげている自治体が多いように思います。これに対して、われわれの研究は経済学的な視点に立ち、州全体の利得を最大にする中心都市を計算しています。これが州都の候補になると考えています。さらに、州全体の新しい交通ネットワークのあり方についての提言も検討しています。 この研究は西日本新聞2005年1月5日(水)朝刊でも紹介されました。興味のある方はぜひご覧ください。

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