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   第76回 2004年の10大ニュース


第70回 2003年の10大ニュース[top]

                         2004年1月9日発行
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国経館  2003年の10大ニュース メールマガジン     No.133
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みなさん,あけましておめでとうございます.笹山です.

このメールマガジンは国際経済学科のメールマガジン「国経館」の1つとして,
国際経済学科のすべての学生に配信されています.

今回は2003年を振り返ってみましょう.

マクロ経済学のメールマガジンとしてはNo.70です.
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【第133号】 2003年の10大ニュース

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毎年年末になると大手の新聞社などでは「今年の10大ニュース」を企画しま
すが,わたしも独自の視点から「2003年の10大ニュース」」を選んでみ
ました.

まずは代表的な日本の通信社「共同通信」が選んだ10大ニュースを紹介して
おきましょう.国内と国際の2本立てです.

★共同通信 2003年10大ニュース:
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/top10/
共同通信ニュース:
http://www.kyodo.co.jp/
日本のニュースサイトの中では,速報ニュースに関しては第一です.

なお,共同通信は内外のニュースを世界中に配信していますが,日本の地方新
聞にとってはなくてはならない存在です.例えば「熊本日日新聞」に毎日掲載
される国際ニュースと全国のニュースはそのほとんどが共同通信から配信され
たニュースで構成されています.テレビや新聞のニュースで最初に記される
「共同(きょうどう)」というのは共同通信のことです.ちなみに共同通信の
新社屋は日本テレビのそれと同じく汐留にあります.

国内ニュース
1.邦人外交官2人がイラクで殺害
2.衆院選で民主党躍進
3.長崎男児殺害事件
4.有事関連法成立
5.イラク復興支援特措法で自衛隊派遣へ
6.りそな銀行には公的支援,足利銀行は国有化
7.阪神優勝
8.自民党総裁に小泉首相再選
9.松井秀喜選手がヤンキースで活躍
10.個人情報保護法成立,住基ネット稼働

国際ニュース
1.イラク戦争,フセイン元大統領拘束
2.SARS流行
3.北朝鮮が核開発表明
4.テロ続発でイラク復興混迷
5.中国国家主席に胡錦濤(こ・きんとう)氏
6.スペースシャトル「コロンビア」空中分解,7名死亡
7.イラク対応でアメリカと独・仏に亀裂
8.中国が初の有人宇宙船
9.パレスチナ和平はテロと報復攻撃で足踏み
10.ジャカルタなどで爆弾テロ,東京にも警告

■わたしが選んだ2003年の重大ニュース

マクロ経済学の講義では,みなさんに年表作成を勧めていますが,わたしの日
課の1つは経済年表を埋めていくことです.それを元に1週間に1度のペース
でわたしのホームページの経済年表を更新しています.このようにして作成し
た「2003年の経済年表」からわたしが重要だと思う出来事をピックアップ
してみました.選んだら10を超えてしまいましたので,重大ニュースとした
しだいです.

2003年の後半から,日本経済は明るい兆しが見え始めていますが,これが
2004年に本格的な景気回復につながるのかどうかが今後のポイントです.
みなさんも今後展開されるニュースに注目してください.

1.コール市場で初のマイナス金利.加重平均値では年4回発生
6月25日(水),27日(金),10月14日(火),11月17日(月)

マイナス金利については,私のメールマガジンを参照してください.
メールマガジン 第60回 マイナス金利

2.20兆超す外為市場での介入.1年間で過去最大規模.9月20日(土)
ドバイでのG7を境に円高進む.
財務省,日銀との間で外国為替資金特別会計保有の米国債を買い戻し条件付き
で売却する合意(12月26日(金))

財務省の外国為替平衡操作の実施状況:
http://www.mof.go.jp/1c021.htm
日銀と財務省との間の合意:
http://www.boj.or.jp/about/03/un0312c.htm

3.日銀,量的緩和政策継続(時間軸効果),日銀当座預金残高の目標値27
〜32兆円(10月10日(金))

日銀の金融政策決定会合:
http://www.boj.or.jp/seisaku/03/seisaku.htm#mpm
10月10日の金融政策決定会合議事録:
http://www.boj.or.jp/seisaku/03/pb/g031010.htm

4.りそなへ2兆円の公的資金投入(5月17日(土))と足利銀行の一時国
有化決定(11月29日(土))

第1回金融危機対応会議議事要旨(りそなグループ):
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/14/ginkou/f-20030613-2.html
内閣総理大臣談話:
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2003/05/17danwa.html
金融危機対応会議第2回会議審議結果(足利銀行):
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/15/ginkou/f-20031129-2/00.html
内閣官房 足利銀行の特別危機管理開始決定に伴う各省庁等の対応について:
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/asikaga/index.html

5.デフレ続くも,景気回復の兆し
12月の日銀短観(12月12日(金)),大企業製造業でプラス11.
9月調査比10ポイント上昇.97年6月以来の高さ.7−9月期GDP
年率2.2%成長,7期連続のプラス成長(11月14日(金))

内閣府経済社会総合研究所のGDP統計:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe
日銀短観:
http://www.boj.or.jp/stat/tk/tk.htm

6.政府・与党,道路4公団の民営化を決定(12月22日(月))
日本道路公団は2005年に3分割.民営化後は料金収入を担保に金融機関から資
金調達して高速道路建設.形だけの民営化

7.年金制度改革の大枠,保険料負担は年収の18.35%(現行13.58%)で決着(12月16日(火))
与党,2004年度からの税制改正と年金制度改革案を決定.年金課税の強化,老
年者控除の廃止

8.改正保険業法成立.生保の破綻前予定利率引き下げ可能に(7月18日(金))

9.ヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法等の一部改正法)成立(7月25日(金))

10.産業再生機構の発足(4月16日(水))と経営再建支援決定(8月28日(木))
第一陣,九州産業交通,ダイア建設,うすい百貨店(郡山市).一般に小粒

11.ダイエーの福岡事業(ドーム球場とホテル)は米投資会社コロニー・キ
ャピタルへ売却(12月2日(火))

12.日銀,「国内企業物価指数」を初めて発表(1月17日(金)).卸売
物価指数を廃止

日銀,国内企業物価指数のコーナー:
http://www.boj.or.jp/stat/pi/pi.htm

13.日本の貯蓄率低下,最低の6.2%(12月25日(木))

平成14年度(2002年度)国民経済計算:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h14-kaku/14kaku-snamenu.html

14.米で最初のBSE感染牛発生(12月24日(水)).日本等,米からの
牛肉輸入禁止

15.日本・メキシコFTA交渉決裂.農産物で対立解けず(10月16日(木))

16.米の財政赤字過去最高3742億ドル.双子の赤字復活(10月20日(月))

17.サミット,ロシアは今回からすべての討議に参加,中国初参加(胡錦濤
主席)(6月1日(日))

18.第43回衆議院議員総選挙,与党絶対安定多数超す275議席,民主党
躍進.自民237,民主177.2大政党制への足がかり(11月9日(日))

19.イラク戦争(3月19日(水)〜4月9日(水))とフセイン元大統領
拘束(12月14日(日))

20.イラクの日本人大使館職員2名襲撃され死亡(11月30日(日))と
自衛隊のイラク派遣決定(12月9日(火))

21.スペースシャトル・コロンビア,大気圏突入直後空中分解,爆発.乗組
員7名(2月1日(土))

22.香港,中国を中心にSARSの流行(4月2日(水)〜7月5日(土))

23.個人情報保護法案成立(5月23日(金))

24.有事関連3法成立(6月6日(金))

■2003年円ドルレートの推移

2003年は政府(財務省)が徹底的な円売りドル買いの市場介入を実施した年で
した.9月半ばまでは120円から116円の範囲内で推移していましたが,9月20日
ドバイでのG7声明をきっかけに円高が一気に進みました.

なお,上のグラフで折れ線が途切れている部分は市場が閉じていた土日などを意味します.

2003年9月20日のG7声明:
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/g7_150920_1.htm (日本語)
http://www.mof.go.jp/english/if/g7_030920_1.htm (英文)

■2003年日経平均株価の推移

4月24日(木) ソニーが3月期決算を発表しましたが,1-3月期の赤字が1111億円に
達したことが報道されると,翌日の日経平均はこれが悪材料となり大幅に下げました.
4月28日の株価7603.76円が2003年の最安値でした.

ソニーの株価情報(ヤフーファイナンス):
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=6758&d=t&k=c3&h=on&z=m

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■主なニュースサイトの10大ニュース

★共同通信 2003年10大ニュース:
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/top10/

アサヒ・コム 2003年読者が選ぶ10大ニュース:
http://www.asahi.com/03-04/top10/index.html

日本経済新聞 年表でたどる2003年のニュース:
http://www.nikkei.co.jp/topic6/03yend/news.html

★東京新聞 2003年 あの場面 あの一言:
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20031230/mng_____tokuho__000.shtml
毎回ユニークな視点で切り込む「こちら特報部」の年末特集です.

熊本日日新聞 2003年県内10大ニュース:
http://kumanichi.com/feature/03_04/10news/index.html
熊本県内のトップニュースは水俣での土砂災害でした(7月20日).

朝鮮日報が選んだ2003国内・海外10大ニュース:
http://japanese.chosun.com/service/special/200310/special_news.html
朝鮮日報は韓国の有力新聞です.日本語サイトも充実しています.

CNN Top 10 Stories for 2003:
http://www.cnn.com/SPECIALS/2003/yir/

【課題】あなたも2003年の10大ニュースを選んでみましょう.

(注意)後日サイトにアクセスした場合,サイトの構成に違いがでてきたり,
URLが変更になっている場合がありますので,了解してください.
(アクセス日)2004年1月9日

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【Q & A】無担保コール翌日物金利が加重平均値で初のマイナスになった
のはいつ?

     → 2003年6月25日

【今回のサイト】 共同通信 2003年10大ニュース:
         http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/top10/

【評価】★★★

私の評価の基準:最高が★★★,次が★★,最後が★です.
        ★1つは普通という評価です.
      データが十分提供されているかどうかが評価のポイントです.
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【発行】 熊本学園大学 経済学部 国際経済学科
【著者】 笹山 茂
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Copyright 2004

第55回 経済データにも四季がある[top]

                         2003年2月25日補足
                         2003年1月24日発行
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国経館 経済学 メールマガジン                No.95
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みなさん,こんにちは.笹山です.
このメールマガジンは国際経済学科のメールマガジン「国経館」の1つとして,
国際経済学科のすべての学生に配信されています.

今回は,季節調整の話題です.

マクロ経済学のメールマガジンとしてはNo.55です.

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【第95号】 季節調整(seasonal adjustment)

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みなさんは,経済統計には季節ごとの特徴,あるいは”くせ”があることを知
っているでしょうか.新聞に発表される各種統計の記事を注意深く読んでいる
と,次のような括弧つきの表現によく出会います.

「7〜9月期の実質GDPは,季節調整済み・年率で532兆円と,3期連続
でプラス・・・」
「総務省が30日に発表した9月の完全失業率(季節調整値)は・・・」
「財務省が25日発表した10月の貿易統計で,輸出額(季節調整済み)は前
月比8.5%増・・・」

これらに登場する「季節調整済み」,「季節調整値」あるいは「季節調整」と
はいったいどのようなものなのかを見ていきましょう.

■季節調整前と後のデータの例
まずは,季節調整していないデータと調整をほどこしたデータの違いを実際の
統計から確認してみましょう.

内閣府,経済社会総合研究所のサイトにあるGDP統計を使用してGDP統計
の季節的な特徴を調べてみます.以下のグラフを見てください.これは四半期
実質GDPの元のデータ(原系列original seriesといいます)と季節調整し
た(seasonally adjusted)データをグラフにして比較した図です.

笹山ゼミHP,経済データのグラフ「四半期実質GDP:原系列と季節調整系
列」:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/images/gdpqsa.gif

原系列四半期GDPの動きを注意深くながめると,1年間のうちで第4四半期
(10−12月期)が最も大きな値を示し,第2四半期(4−6月期)が最も
小さな値をとっています.四半期GDPは4−6月期を底としてしだいに増加
し,10−12月期でピークに達し,その後低下に転じるというパターンを規
則的に繰り返していることがわかります.この動きがグラフではギザギザの山
と谷を交互にとるグラフとなって現れています.これがGDP原系列の1年間
を通しての季節的な”くせ”です.季節調整済みGDPは季節ごとの”くせ”
を取り除いて年間のGDP水準に換算した値です.季節調整系列はおおまかに
言えば比較的なめらかな動きを示します.

(注)上のグラフの元となったデータは,内閣府サイトにあります.
「平成7暦年(1995年)基準GDP需要項目別時系列表」から,
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe023-2/gdemenuja.html
四半期実質GDPの「原系列」(季節調整していない元のデータ)と,
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe023-2/gaku-jg0232.csv
四半期実質GDPの「季節調整系列」(季節調整したデータ)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe023-2/gaku-jk0232.csv
をとりだして複合折れ線グラフを作成したものです.左と右に縦軸(数値軸と
いいます)があるのが複合グラフです.

もう1つ,月次の経常収支のデータを見比べてみましょう.以下のグラフは1
998年1月から2001年12月までの日本の経常収支のグラフです.ほと
んどすべての期間にわたって1月,4月(あるいは5月),8月(あるいは1
0月)には黒字が減少し(あるいは赤字の増加),2月(あるいは3月),9
月,12月には黒字が増加(あるいは赤字の減少)するという傾向が顕著に観
察されます.

笹山ゼミHP,経済データのグラフ「経常収支:原系列と季節調整値」:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/images/cuasa.gif

(注)上のグラフの元となったデータは,日本銀行のサイトにあります.
経常収支,原系列(日本銀行):
http://www2.boj.or.jp/dlong/bs/data/bp001st.txt
経常収支,季節調整済値(日本銀行):
http://www2.boj.or.jp/dlong/bs/data/bp016sa.txt

経常収支の定義や意味などについては,詳しくは私のメールマガジンを参照し
てください.
メールマガジン 第10回 国際収支:
http://www2.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/macroecon/mailmaga.html

貿易黒字に関する以下のニュースは,季節調整の問題を忘れてセンセーショナ
ルに扱ってしまった代表的な例です.上でも指摘したように1月は貿易黒字が
減少するという季節の”くせ”があるのです.

以下は日本経済新聞2003年2月24日夕刊1面の記事です.

「1月,貿易黒字42%減,11カ月ぶりマイナス.
財務省が24日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると,輸出超過
額(貿易黒字)は前年同月比42.8%減の1050億円と,11カ月ぶりに
前年を下回った.(抜粋)」

この記事の元になった財務省発表の資料
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2003/200301c.pdf
によれば,しっかりと季節調整値も掲載されています.それによると,1月の
貿易黒字は,6761億円で前月比12.8%の減です.ただし,前年同月比
の値はなぜか発表されていません.そこで,財務省の貿易統計から2002年
1月の発表資料を探して,同年1月の貿易黒字の季節調整値を調べてみると,
6606億円でした.
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2002/200201c.pdf
従って,2003年1月の貿易黒字の前年同月比は,
 (6761−6606)/6606*100=2.3(%)
季節調整値で見れば,2003年1月の貿易黒字は前年同月比2.3%増であ
り,上の新聞の内容とはえらい違いです.

失業率など他の統計では季節調整値を中心に発表している新聞がこのニュース
では原統計だけを紹介するという”過ち”をおかしてしまっているのです.
注意しましょう.

■季節調整とは
上で確認したように,月次あるいは四半期データ等の経済時系列データは月ご
とあるいは季節ごとに際だった特徴を示し,それが年間を通して一定のパター
ンに従って動いているものが多くあります.これは,経済活動が月や季節によ
って影響を受けていることを表しています.われわれの日常生活を思い浮かべ
てみればわかるように,夏にはビールや電力の消費量が,冬には灯油の消費量
が増加します.その他,生活習慣から4月には家計の教育費用が増加するとか,
8月にはお盆休みなどがあるため一般の企業の生産活動は低下しますが,逆に
旅行業界は大いに忙しくなるとか,12月にはおせち料理関連の食材に対する
需要が急激に増加するということも観察されます.

このような季節的な”くせ”を元のデータから取り除くことを季節調整(
seasonal adjustment)といいます.

■なぜ季節調整が必要か
なぜ季節調整を行う必要があるのでしょうか.それは季節的な変動をデータ全
体の傾向(トレンド)の変動と見誤らないためです.例えば,前期に比べて今
期にGDPが増えたのは季節的な要因なのか,それとも経済活動のトレンド自
体が活発になったためなのか,あるいはまた何か特別の突発的な出来事のため
に増加したのかを正しく把握しなければなりません.生のデータ(原系列)か
ら季節的な要因によって生じている変動を取り除いてデータの傾向をとらえる
ことが重要なのです.それが季節調整の目的です.

一般的に生データ(原系列)だけで経済活動を見ていると,季節変動に惑わさ
れて,経済活動本来の動きを誤ってとらえてしまうことになります.経済活動
の傾向をとらえようとする場合は,季節調整済みの統計データを見ることが原
則です.

■季節調整法の考え方
最も簡単な季節調整の方法は,前の年の同じ月の値と比較する「前年同月比」
の考え方です.前年の同じ月と今年の同じ月を比較すれば,とりあえずは季節
性の問題は避けることができます.ただし,これは根本的な解決法ではありま
せん.また,前月のデータと比べる場合は季節調整の問題を避けて通ることは
できません.元のデータから季節変動の要因を取り除く方法としては,単純な
移動平均による方法や時系列分析による手法などがありますが,以下では移動
平均に基礎をおいた季節調整の方法を説明しましょう.

時系列データは大きく分けると季節要因(sで表す)と非季節要因の2つから
なっているとみなします.非季節要因はさらにトレンド・循環要因(TCで表
す)と不規則要因(Iで表す)に分けられます.非季節要因としてはその他に,
取引日要因(TDで表す)や祭日要因(Hで表す)をオプションで加えること
もあります.トレンド・循環要因はデータに観察される長期的な傾向(トレン
ド)や景気循環を含みます.不規則要因はトレンド・循環要因や季節要因でと
らえきれない残余の変動を含みます.具体的には,1回限りの突発的な事件や
測定誤差などです.取引日要因とは月によって日曜日から月曜日の数が異なる
ことによって生じる変動を意味します.祭日要因は盆休みやゴールデンウイー
ク,米国ならイースターや感謝祭などの祭日によって影響を受ける変動を表し
ます.うるう年のように,1年間の日数が通常の年と違うことでGDPの値に
影響がでてくることもあります.

時系列データの原系列(original series)をXで表します.このXは上で挙
げた要因を用いると以下の2通りの方法で表現することができます.なお,取
引日要因と祭日要因は省略します.
   X = TC×S×I     (1)
   X = TC+S+I     (2)
(1)式を乗法モデル,(2)式の方を加法モデルと呼びます.乗法モデルで
は,季節変動はデータ水準に比例するという前提の下でつくられています.他
方,加法モデルでは,季節変動はデータ水準とは独立に決まっている場合を前
提としていると理解することができます.例えば,12月に支払われるボーナ
スは,給与水準の何カ月分という形で支払われることが多いので,12月の所
得水準が増加するという季節要因は所得水準に比例して変動するとみなすこと
ができます.このような場合は乗法モデルがふさわしいと考えられます.

大抵の場合については乗法モデルを適用して季節調整を行いますが,正値をと
らないデータを対象とする場合には加法モデルを適用しなければなりません.
例えば経常収支のようにゼロや負の値をとる可能性のあるデータには乗法モデ
ルは適用できません.ただし,経常収支の場合でも,それを構成する輸出や輸
入などは正の値をとるので,輸出や輸入のデータにそれぞれ乗法モデルを適用
して,最後に集計するという方法をとることはできます.

上の式から季節要因Sを取り除いたものが季節調整済データ(seasonally
adjusted series,Yと表す)です.(1)と(2)はそれぞれ次のように表
すことができます.
   Y = TC×I     (3)
   Y = TC+I     (4)
Yの値を求めることが季節調整を行うということに他なりません.

■移動平均法
具体的にどのような計算方法により季節要因を元のデータから取り除いていく
かを説明しましょう.一般によく行われるのは移動平均を計算する方法です.
例えば月次データならば12カ月ごとの季節的な周期が存在しているとみなし
て,1カ月ずつずらしながら12個のデータの平均を計算していきます.1年
分のデータを平均すれば季節変動を取り除くことができるという考え方が背景
にあります.

まず1月から12月までの平均を計算します.この平均値は6.5月を代表し
ているとみなします.次に1カ月先にずらして2月から翌年の1月までの平均
をとります.これは7.5月を代表しているとみなします.6.5月や7.5
月は存在しないので,これらの平均をとり((6.5+7.5)/2=7),
これを7月の季節調整値とします.後は以上の手順を繰り返し適用して各月の
季節調整値を作ります.このような移動平均の計算手法を「中心化12項移動
平均」と呼んでいます.この移動平均の問題点は前後の6カ月の季節調整値の
データが欠落することと,季節調整だけでなく不規則項目もならしてしまうこ
とです.

上の移動平均の計算では季節要因(S)だけでなく不規則要因(I)までも取
り除いてしまいます.元のデータ(原系列)からSI要因を除くとTC(トレ
ンド・循環)が残ります.結局上の移動平均はTC系列を求めたことになりま
す.従って原系列をTC系列で割れば(乗法モデルの場合),SI系列をとり
だすことができます.このSI系列には月ごとの特徴が現れているはずなので,
月ごとにSIデータをまとめてその中から中位数(真ん中の値)をとり,それ
を季節要因とみなします.その後12個の中位数の平均が100となるように
調整して得られたのがS系列です.

最終的に,原系列のデータを直前で求めた季節要因Sで割ると季節調整済み系
列が得られます.

なお,上の言葉による説明だけではなかなかわかりにくいと思いますが,表計
算ソフトを使った移動平均法による季節調整の詳しい手順は,私の以下の文献
を参照してください.

笹山茂『マッキントッシュで経済学』日本評論社,1994年
第12章「経済の時系列データの分析」
同時に,私のホームページの「パソコノミックス」の講義ノート(第18講)
も参照してください.上で説明した季節調整用のエクセルファイルをダウンロ
ードできます.
笹山ゼミHP,パソコノミックス 講義ノート第18講:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/pasocono/pasolecture18.html

■季節調整法 X-12-ARIMA
日本銀行や内閣府などが発表する季節調整済データは,概念的には上で説明し
た方法に基づいていますが,時系列分析を加味したより高度なX-12-ARIMAとい
う手法に基づいて計算されています.X-12-ARIMAは米商務省センサス局によっ
て開発されたソフトウェアであり,主な国での季節調整の事実上の標準になっ
ています.X-12-ARIMAは,従来のX-11の核となっていた手法は引き継ぎ,「う
るう年効果」や「曜日効果」などX-11が対処しきれなかった欠点を改良した手
法です.X-12は従来の手法X-11の改訂版であり,ARIMAはAutoRegressive
Integrated Moving Average(自己回帰和分移動平均,アリマと読みます)の
省略形です.ARIMAは時系列分析(Time Series Analysis)の代表的な手法の
1つです.

【米商務省センサス局】
★X-12-ARIMA Seasonal Adjustment Program:
http://www.census.gov/srd/www/x12a/
米商務省センサス局(U.S. Census Bureau)にある季節調整プログラム「X-
12-ARIMA」のダウンロードコーナーです.評価版としてダウンロードが認めら
れています.PC版とunix版があります.

Seasonal Adjustment Papers:
http://www.census.gov/srd/www/sapaper.html
センサス局にある季節調整に関する論文コーナーです.paperとは論文のこと
です.

【日本銀行】
日本銀行のサイトには季節調整ソフト「X-12-ARIMA」についての操作マニュア
ルの日本語版が登録されています.マイクロソフト・ワード(MS-Word)の書
類形式です.時系列分析ARIMAの説明も含まれています.

日本銀行 「X-12-ARIMA」操作マニュアルについて:
http://www.boj.or.jp/ronbun/97/x12aman.htm
X-12-ARIMA操作マニュアル(MS-Wordファイル)Windows用:
http://www.boj.or.jp/down/siryo/97/x12aman.exe
X-12-ARIMA操作マニュアル(MS-Wordファイル)Mac用:
http://www.boj.or.jp/down/siryo/97/x12aman.lzh

【関連新聞記事】
★木村武(日本銀行調査統計局)「統計の季節調整に新手法を」
『日本経済新聞』 経済教室 1996年8月1日
実際の統計作成者が使用している季節調整の手法「X―12―ARIMA」を
わかりやすく紹介しています.

野尻哲史(山一証券経済研究所)「新季節調整法で景気再確認」
『日本経済新聞』 経済教室 1996年10月1日
X―12―ARIMAの有効性を述べています.

数年前の文献ですが,図書館にある「新聞縮刷版」で読むか,日本経済新聞社
のデータベース「日経テレコン21」から検索してとりだすかして読むことが
できます.

【日銀や政府関連】
日本銀行や政府におけるX-12-ARIMA利用状況は以下で知ることができます.

日本銀行調査統計局「マネーサプライ関連計数の季節調整値改定について」(
2002年3月8日):
http://www.boj.or.jp/siryo/stat/rems09.htm
内閣府経済社会総合研究所「GDP(国内総支出)系列の季節調整方法につい
て」(2001年11月30日):
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h12-kaku/sisuu12k.html
季節調整用ARIMAモデル設定一覧(内閣府経済社会総合研究所):
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/021105/arimamodel2.pdf

【X-12-ARIMAに関する専門論文】
国友直人(東京大学教授)「季節調整法X-12-ARIMAの特長と問題点」(199
7年5月):
http://e-server.e.u-tokyo.ac.jp/cirje/research/dp/97/j5/contents.htm
国友直人「季節調整法X-12-ARIMA(2000)の利用:法人企業統計の事例」(
CIRJE-J-58,2001年6月):
http://e-server.e.u-tokyo.ac.jp/cirje/research/dp/2001/2001cj58.pdf
国友直人「解説X-12-ARIMA2000」(CIRJE-J-47,2001年3月):
http://e-server.e.u-tokyo.ac.jp/cirje/research/dp/2001/2001cj47.pdf
操作マニュアル.付録に季節調整の歴史についての解説があります.

■ウェブ上で季節調整が体験できる WebDecomp
基本的な季節調整は,表計算ソフトを使って行うこともできますが,とりあえ
ず季節調整を体験してみたいという方には,統計数理研究所の「WebDecomp」
サイトが便利です.Decompは同研究所の北川源四郎教授によって開発された季
節調整のソフトで,そのウェブ版がWebDecompです.

★WebDecomp(統計数理研究所 季節調整・時系列分析システム):
http://ssnt.ism.ac.jp/inets/inets.html

WebDecompの季節調整モデルは次のようなモデル式を前提としています.
y(t)=T(t)+S(t)+A(t)+TD(t)+e4(t)
y:観測値,T:トレンド成分,S:季節変動成分,A:AR成分(短期循環変動),
TD:曜日効果,e1,e2,e3,e4:互いに独立な正規ノイズ
AR(AutoRegressive)とは自己回帰のことで,過去のデータから自らの将来の
データを説明しようとする見方です.

上で紹介した月次経常収支の「原系列」データ(1998年1月から2001
年12月まで)を使って,WebDecompで季節調整してみましょう.エクセルで
整理した原系列データをコピーして,WebDecompのデータ入力欄にペーストし
ます.Select Methodの欄では「WebDecomp」を選びます.その他の設定は以下
のようにします.
For Graphic Formatでは,
 Output Format: GIF (出力はGIF画像)
For Decompでは
 Log Transformed: No (対数変換しない場合はNoを選びます)
 Seasonally Frequency: 12 (四半期データなら4,月次データなら1
2を選びます)
 Trend Order: 1 (1,2,3から選びます.大きい数値ほどなめらかな
トレンドに対応します)
 AR Order: 1 (ARの次数を設定します.0から6の中から選びます)
 Trading Day Effects: No (曜日効果の設定,Yesを選んだ場合は開始年
と月あるいは四半期を入力)
その他の設定は必要ありません.最後に,データ入力欄の下にある「Run」を
クリックします.

5つのグラフとAIC,それと季節調整した数値を表示してくれます.ORG.adjが
季節調整値です.上の設定の中で,Trend OrderとAR Orderの次数の設定につ
いてはどれがベストかは事前にはわかりません.出力されたAICの値が最も小
さくなる組み合わせが最適となります(AIC規準).AICはAkaike
Information Criteria(赤池情報量規準)であり,統計数理研究所の赤池弘次
博士によって開発された統計量です.

季節調整・時系列分析システムWebDecomp解説(統計数理研究所 佐藤整尚氏):
http://ssnt.ism.ac.jp/inets/wdman.pdf

赤池弘次博士のサイト:
http://www.ism.ac.jp/~kitagawa/akaike.html
北川源四郎教授のサイト:
http://tswww.ism.ac.jp/kitagawa/HomePage/index.html
モデル型季節調整法:
http://tswww.ism.ac.jp/kitagawa/Ohp/index.htm
時系列用語の解説:
http://www.ism.ac.jp/~kitagawa/yogo.html

【用語解説サイト】
用語辞典がわりに簡単な意味を知りたい場合は,日本経済新聞の「統計用語集
」や富山県統計協会の「経済指標かんどころ」が便利です.

日本経済新聞「やさしい経済用語の解説」: 季節調整
 http://www.nikkei.co.jp/keiki/words/20001117c93bh001_17.html

★経済指標のかんどころ(富山県統計協会)
季節調整:
http://www.cap.or.jp/~toukei/kandokoro/html/14/14_5.htm
これは同名の書籍のネット版です.良く整理されておりお勧めです.

■まとめ------------
・経済データには季節(月,四半期)ごとの”くせ”がある.
・経済データから季節要因を取り除いたデータを季節調整済データという.
・一般に経済データは季節要因,トレンド要因,循環要因,不規則要因からな
っている.その他,うるう年効果や曜日効果もある.
・経済の動きをみる場合は,原則として季節調整済データを使用する.
・季節調整の手法は,移動平均をとる方法や時系列分析を用いる方法などがあ
る.
・日銀や政府の統計は,米商務省センサス局が開発したX-12-ARIMAを使用して
季節調整を行っている.
-------------------------------------

ぜひ,みなさんも,実際にウェブサイトにアクセスして確認してください.

【課題】
内閣府,経済社会総合研究所のサイトから四半期実質GDPの「原系列」と「
季節調整系列」のデータをダウンロードし,両者の違いを比較してみましょう.

(注意)後日サイトにアクセスした場合,サイトの構成に違いがでてきたり,
URLが変更になっている場合がありますので,了解してください.
(アクセス日)2003年1月24日

------------------------------------------------------------
【Q & A】経済時系列データは,トレンド・循環要因と不規則要因ともう
1つは何要因からなっているでしょうか?
      → 季節要因

【今回のサイト】 米商務省センサス局,
         X-12-ARIMA Seasonal Adjustment Program:
          http://www.census.gov/srd/www/x12a/
         統計数理研究所,季節調整システムWebDecomp:
          http://ssnt.ism.ac.jp/inets/inets.html

【評価】★★★
    ★★★

私の評価の基準:最高が★★★,次が★★,最後が★です.
        ★1つは普通という評価です.
      データが十分提供されているかどうかが評価のポイントです.
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【発行】 熊本学園大学 経済学部 国際経済学科
【著者】 笹山 茂
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Copyright 2003

第54回 2002年の10大ニュース[top]

                         2003年1月13日補足
                         2003年1月10日発行
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国経館 経済学 メールマガジン                No.94
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あけまして,おめでとうございます.ことしもよろしくお願いします.

みなさん,こんにちは.笹山です.
このメールマガジンは国際経済学科のメールマガジン「国経館」の1つとして,
国際経済学科のすべての学生に配信されています.

今回は,2002年の出来事の回顧です.

マクロ経済学のメールマガジンとしてはNo.54です.

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【第94号】 2002年の10大ニュース

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年末になると,決まって新聞やテレビはその年の「10大ニュース」を発表し
ます.主なニュースサイトが選んだ2002年の10大ニュースは後で紹介す
ることにして,まずは私が整理した「2002年の経済20大ニュース」を披
露いたしましょう.後半では,代表的な年表サイトも紹介します.

わたしは,マクロ経済学の講義の初めに,みなさんに年表を作ることを勧めて
います.その日の新聞を読んで,できれば経済関係の記事から重要だと重う出
来事を1つ選んで,見出しをつくります.見出しは新聞がつけるものをそのま
ま利用していいでしょう.これを1年間365日実行すると立派な経済年表が
できあがります.このような年表を作ることにより,経済の動きにも関心が持
てるようになります.自分が選んだ出来事が重要なのかどうかも経験を積むこ
とにより分かってきます.新聞記者によるニュースの見出しの付け方を学ぶこ
ともできるでしょう.

みなさんに勧めるからには,わたし自身も年表を作らなければ示しがつかない
ので始めたのが,私のホームページにある「経済年表」のコーナーです.この
「経済年表」の特徴は,ニュースの元となったサイトのURL(http://で始
まるアドレスのこと)をできるだけ載せることです.新聞のニュースは記者が
独自に取材して集めたニュースの他に,役所や通信社が流したニュースをその
まま載せるだけの記事もあります.後者についてはそのニュースの出所のサイ
トを示しています.

sasayama seminar「2003年の経済年表」:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/macroecon/nenpyou.html

sasayama seminar「2002年の経済年表」:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/macroecon/nenpyou02.html

上の「2002年の経済年表」に基づいて,主な出来事をピックアップしたら
以下の経済20大ニュース(実際は22件ですが)ができあがりました.それ
ぞれの出来事がいつ起きたかを確認したい場合は,上の「「2002年の経済
年表」をクリックしてください.重要な出来事の見出しの頭には★がついてい
ます.

■2002年の経済20大ニュース
1.日銀による,銀行保有株直接買い取り
2.日銀マネタリーベース増加させるが,マネーサプライ増えず
3.ペイオフ解禁(定期性預金)とペイオフ全面解禁の延期(05年4月に全面解禁)
4.日本経済のデフレ悪化(完全失業率5.5%で過去最悪,消費者物価指数
3年連続の下落,銀行の普通預金金利0.001%,2001年度実質GDP
マイナス1.4%成長)
5.竹中経済財政大臣の金融相兼任と不良債権処理加速
6.日本国債の格付け引き下げ(G7で最低)
7.急成長企業の業績悪化(ユニクロ,スターバックス,マクドナルド)
8.日米企業倫理の堕落(雪印食品,日本ハム,エンロン,ワールドコム)
9.中国市場・企業の台頭と日本の競争力の低下
10.ウォルマートの進出とダイエーの国家的救済
11.みずほ銀行決済トラブル
12.ナスダック,日本から撤退
13.米大手航空の倒産(USエアーとユナイテッド)
14.欧州単一通貨ユーロ流通開始(2002.01.01)
15.シンガポールと初の自由貿易協定
16.米5年ぶりに財政赤字に転落
17.米財務長官と経済担当大統領補佐官を更迭
18.最高裁,中古ゲームソフトの販売認める
19.日本航空と日本エアシステムの統合
20.ビデオのベータVTRとワープロ専用機の生産打ち切り
21.道路関係四公団民営化推進委員会,最終報告提出
22.03年4月から郵政事業庁は郵政公社に

デフレの時代,経済関係ではあまり明るい出来事はありませんでした.明るい
ニュースといえば,ノーベル賞のダブル受賞でしょうか.日本の代表的なニュ
ースサイトではこのニュースがトップを飾っています.

(参考グラフ)
sasayama seminar 2002年の円レート:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/images/yen02.gif

sasayama seminar 2002年の日経平均株価:
http://www.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/images/nikkei02.gif

(注)日経平均株価の日次データはYahoo!ファイナンスからもとれます.
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=998407.o&d=1y

■2002年の10大ニュース
以下は代表的なニュースサイトの10大ニュース特集です.

アサヒ・コムの「2002年読者が選ぶ10大ニュース」:
http://www.asahi.com/02-03/top10/index.html
第1位は,田中耕一さんと小柴昌俊さんのノーベル賞ダブル受賞でした.

日本経済新聞,年表でたどる2002年のニュース:
http://www.nikkei.co.jp/topic6/02yend/news.html
日経は10大ニュースという形では発表していません.

共同通信,国内・国際10大ニュース:
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2002/top10/
国内ニュースの1位は,北朝鮮拉致被害者の帰国,国際の第1位は,イラクの
大量破壊兵器疑惑で国連査察開始,です.

熊本日日新聞,県内10大ニュース:
http://kumanichi.com/feature/02_03/10news/
熊本県内ニュースの第1位は,「くまもと阪神」誕生です.熊本岩田屋撤退後
2003年2月23日には「くまもと阪神」に引き継がれます.阪神百貨店が
一部出資しています.にわか阪神タイガースファンが増えるのでしょうか.

★東京新聞,こちら特報部,激動2002年 あの場面あの一言:
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20021230/mng_____tokuho__001.shtml
「こちら特報部」はユニークな切り口でニュースを掘り下げる東京新聞の名物
コーナーです.これはおもしろいのでぜひ読んでください.その「こちら特報
部」が整理した2002年版「名言集」です.宗男関係が話題を提供していま
す.

★ABC News, 2002 The Top Stories:
http://abcnews.go.com/onair/DailyNews/subindex_yearend2002.html
アメリカのABC放送による10大ニュース特集です.読者からの投票によっ
てランキングを作成しています.

CNN Special Report, Year in Review:
http://www.cnn.com/SPECIALS/2002/yir/
CNNが選んだ第1位はイラク危機(Crisis in Iraq)です.その横にはTI
MEが選んだ「Persons of the Year」のリンクもあるのでついでに見てくだ
さい.3名の女性が選ばれています.Cynthia Cooper(ワールドコム),
Sherron Watkins(エンロン), Coleen Rowley(FBI)です.3人に共通な
のは勇敢なる内部告発者(whistle-blowerといいます)です.

BBC, 2002 Review of the Year:
http://news.bbc.co.uk/1/hi/in_depth/world/2002/review_of_2002/
英のBBC放送による2002年回顧特集です.国際ニュース,国内ニュース,
王室関連などの項目ごとに整理してあります.

日本,アメリカ,イギリスのニュースサイトの2002年回顧特集を比較して
読むと,各国の特徴が現れておもしろいと思います.

■年表サイトの紹介
20世紀を中心に作成している主な年表サイトを紹介します.過去の出来事を
頻繁に調べることはないでしょうが,レポートなどで過去のニュースの正確な
日付を調べるときなどに活用してください.この中では「共同通信,ニュース
予定2003年版」(ただし有料)は毎日利用できる性質のものなので,ブック
マークに登録しておくといいでしょう.

ザ・20世紀(Fukushi):
http://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/year/index.html
15世紀からカバーしていますが,情報量が多いのは20世紀から.

★ついこの前のような平成の出来事:
http://www.geocities.co.jp/Milkyway/2493/index.html
平成元年(1989年)からの年表ですが,充実しています.

共同通信,最近の出来事:
http://news.kyodo.co.jp/kikaku/dekigoto/dekigoto.html
1996年から2002年まで.国内と国際に分けて整理してあります.検索
もできます.

共同通信,ニュース予定2003年版(有料):
http://kk.kyodo.co.jp/yotei2002/PR/index.html
http://www.kyodo.co.jp/yotei2003/ (有料コーナー)
上の「最近の出来事」は事後的なニュースを整理したものですが,「ニュース
予定」の方は事前に予定されている出来事をまとめたものです.2003年の
カレンダーをクリックすると,その日に予定されている政治経済の日程が現れ
ます.例えば,1月10日(金),110番の日には,総務省の家計調査11
月分の結果発表,日本カンボジア外交関係樹立50周年などの項目が列挙して
あります.いわゆるニュースの早読みあるいは予測ができます.
このサイトは,同名の『共同通信ニュース予定2003年版』(共同通信社,
2002年)に添付されているユーザ登録はがきを同社に送るとIDとパス
ワードが発行され利用することができます.

★電通,広告景気年表:
http://www.dentsu.co.jp/trendbox/adnenpyo/index.html
1945年からカバーしています.年度から検索するページとテーマから検索
するページの2つからなっています.テーマ別には,経済白書副題,10大
ニュース,話題の広告,世相・風俗,話題の広告,テレビCMなどがあります.
「広告の電通」らしさがでているサイトです.

★ルックバック20世紀(朝日新聞):
http://www.asahi.com/edu/lookback/
1901年から2000年までの「朝日新聞でたどる重大事件」です.例えば,
1949年「湯川博士にノーベル賞」の項目を読むと,「中間子論」は博士が
阪大の講師時代に初めて発表し,その後渡米し,プリンストン高等技術研究所
からコロンビア大学教授になった年にノーベル賞を受賞したことがわかります.
1953年に日本に帰国し京都大学基礎物理学研究所長になっています.

★データベース「世界と日本」(東京大学,田中明彦研究室):
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/
国際政治・外交関係の資料が充実しています.「データベース20世紀年表検
索ページ」ではキーワードと期間(あるいは年,日付)で検索ができるように
なっています.検索のコツは,短い単語で「AND(かつ)」検索をすること
です.例えば,「アジア通貨危機」で検索すると1件しかヒットしませんが,
「アジア」(かつ)「通貨危機」で検索すると15件ヒットします.

20世紀の発見・発明アンケート(日刊工業新聞社):
http://www.nikkan.co.jp/port/hatumeiank_new.html
アンケート画面の下の方が重要です.1900年代から1900年代までの「
科学の発見,出来事」と「技術の発明・発見」が整理してあります.どの年代
にどのような発明・発見がなされたがわかり,重宝します.江崎玲於奈博士が
電子の「トンネル効果」を発見したのは1950年代(1957年)であり,
ノーベル賞を受賞したのは1973年になってからです.正確な年は上の「デ
ータベース「世界と日本」」で検索できます.

Quixotic, A History of 20th Century:
http://plaza9.mbn.or.jp/~Nero/
日本語による歴史年表です.

以下は,英語情報による20世紀年表です.
★CNN Video Almanac:
http://www.cnn.com/resources/video.almanac/
1980年から1997年までの主なニュースをビデオ映像で見ることができ
ます.CNNは今では映像ニュースは有料になっているのですが,このコーナ
ーだけは無料で見ることができます.

★CNN, The 20th Century:
http://www.cnn.com/SPECIALS/1999/century/
20世紀を10年ごとに区切って紹介しています.検索機能も付いています.
タイタニック号の沈没事故は1912年です.

★Time 100(TIME誌):
http://www.time.com/time/time100/
20世紀で世界に大きなインパクトを与えた人物100人をとりあげて紹介し
ています.タイムが選んだPerson of the Centuryはアインシュタイン(
Albert Einstein)でした.日本からはソニーの盛田昭夫が選ばれています.

★History Channel Speeches:
http://www.historychannel.com/speeches/
これは厳密に言えば年表ではありませんが,歴史的なスピーチを集めたサイト
です.キング牧師(Martin Luther, King Jr.)の有名な演説「I have a
Dream」も聴くことができます.

Polling Report, The 20th Century:
http://www.pollingreport.com/20th.htm
ネット等での投票によって20世紀の偉大な人物や出来事を選ぶというサイト
です.その結果がジャンルごとに整理されています.最も尊敬されている人物
の項ではマザー・テレサ(Mother Teresa)が最も高い支持をえています.

ぜひ,みなさんも,実際にウェブサイトにアクセスして確認してください.

【課題】
上で紹介した10大ニュースや年表サイトを活用して,あなた自身の「200
2年の10大ニュース」を作成してみましょう.経済や政治だけでなく,地域
や身の回りの出来事から選んでもいいでしょう.

(注意)後日サイトにアクセスした場合,サイトの構成に違いがでてきたり,
URLが変更になっている場合がありますので,了解してください.
(アクセス日)2003年1月13日

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【Q & A】米TIME誌が選んだ2002年の「Persons of the Year」
は誰だったでしょうか?
      → Cynthia Cooper, Sherron Watkins, Coleen Rowleyの3名の
女性

【今回のサイト】
      データベース「世界と日本」(東京大学,田中明彦研究室):
      http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/
      電通,広告景気年表:
      http://www.dentsu.co.jp/trendbox/adnenpyo/index.html
      CNN, The 20th Century:
      http://www.cnn.com/SPECIALS/1999/century/

【評価】★★★
    ★★★
    ★★★

私の評価の基準:最高が★★★,次が★★,最後が★です.
        ★1つは普通という評価です.
      データが十分提供されているかどうかが評価のポイントです.
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【発行】 熊本学園大学 経済学部 国際経済学科
【著者】 笹山 茂
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright 2003

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