為替決定理論

円ドルレート=α(日米の物価の比)+β(日米金利差)+γ(日本の経常収支)

日本の物価上昇は円安要因(購買力平価,長期要因)
日本の金利の上昇は円高要因(円資産期待収益増加)
日本の経常収支黒字は円高要因

内外資産需要に影響を与えるのは,基本的には円資産(自国資産)あるいはドル資産(外国資産)を保有することによってえられることが予想される期待収益率の大きさである.

期待収益率は,円債券については債券の利子率,ドル債券については利子率のほかに為替レートの将来の予想減価率からなる.各経済主体は,各資産の期待収益率の大きさを判断して円資産を保有するか,ドル資産を保有するかを決める.従って,将来の為替レートについての予想が重要な要因となる.日本の金利が上昇すれば,日本の資産の期待収益率が上昇するので,円に対する需要が増加し,円高要因となる.逆に米国の金利が上昇すれば,ドル高要因となる(アセットアプローチの考え方).

日本の経常収支の黒字は,財・サービスの輸出超過でありドルの手取り増加.ドルを市場で売却して円に換えるのでドル安・円高要因.

日本の経常収支黒字が累積すると,ドル資産が累積する.ドル資産保有が増加するとドル資産保有のリスクも高まりドル資産保有に伴うリスクプレミアムも増加する.ドル保有のリスクプレミアムの高まりはドル安(円高)を引き起こす.

回帰分析の例:

(注)金利差は,米日名目長期金利差


熊本学園大学公開講座 2003年11月12日(水)


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