●GhostscriptでCanon製LIPS Vプリンタを利用する● |
現在、Canon製のレーザープリンタではLIPS VというPDLがもちいられているものが主流のようである。これはこれまでひろく普及してきたLIPS IVとLIPS LXとをくみあわせることで、プリントデータのレンダリング等をデータを送りだすコンピュータ側とプリンタ側とで分担処理する、というコンセプトのものである。先日、このLIPS Vを採用するLBP 3920というプリンタが、Leopardにアップデートしたら使えなくなったという同僚の環境にGhostscriptパッケージを導入することで、使用可能にすることに成功したが、その際若干の注意点に気付いたので、同様の問題に悩まされている方がいた場合のために記録しておく。その同僚によれば、Leopard導入後に製品添付のドライバを再インストールはしてみたが、使えないとのこと。たしかに、プリンタ設定時にはハードウェア的に認識されたうえ、ドライバは「LIPS V プリンタ」が自動選択されるが、プリンタの追加時にエラーとなる。ただし同僚の環境はネットワーク上のプリンタをプリンタ設定デフォルトのApple Talkで認識させた結果であり、USBによるローカル接続であれば結果はことなったのかもしれない。そこでひとまずESP Ghostscript 8.15.4パッケージを導入しLIPS IVのPPDをもちいてApple Talkで試してみたが、プリント時に「プリンタが予期せぬEOFを返してきました。」という旨のメッセージが返され、印刷は成功しなかった。そこで試行錯誤のすえ、Apple Talkでは〈双方向通信による分散処理〉が実行されて、その種の機能に対応していないGhostscriptでは失敗するものと推論し、TCP/IPによるLPD接続を試みたところ、ようやく成功にこぎ着けた。LIPS VがLIPS IVをそのまま包含するPDLである以上、GhostscriptからLIPS IVとしてドライブすることは可能だろうと考えてはいたが、今回の経験ではそれが実際に可能であること、そのためには、〈双方向通信〉的機能を利用させない環境にする必要があることを確認できた。また、LBP 3920にかんしては、プリンタ・エンジンの解像度は600dpiであり、それをいわば「ゴマカシ処理」によって「2400dpi相当」とする機種であることから、True dpiのみをサポートするGhostscriptでの印刷においては1200x1200dpiではなく600x600dpiを選択する必要があったこともくわえておく。Mac OS X登場まもないころにくらべると、Canonをはじめとして各社とも、純正プリンタドライバをそれなりに準備するようになったいまや、Ghostscriptの必要性もかつてよりは低下した。それはよろこばしいことではあるが、OSのメジャーアップデート直後にかぎっては、対応ドライバが出揃わないということもありうるし、そこにまだ、Ghostscriptが必要となる局面もありうるということだろう。もちろん出自の旧いGhostscriptでは、LIPS Vのウリの〈分散処理〉や、「2400dpi相当」といった、最新プリンタのもつ機能のすべてを引きだせるわけではないが、純正ドライバが出揃うまでの「つなぎ」としては、十分な役割をはたせるものと思う。