●GNU ghostscript 7.05 パッケージの不具合について |
概要
本パッケージのGSによりPSファイル・EPSファイルから変換した日本語フォントを含むPDFを、OSX付属のpreviewおよび、そのルーチンを用いているTeXShopで表示させようとすると正常に表示させることができず、場合によってはあらゆる処理を受け付けなくなり、強制終了が必要となる。
具体的には
- GSFontChangerでCIDフォントを選択した状態でTeXShopからEPSファイル・PSファイルをファイル・メニュー選択やドラッグ&ドロップにより直接開こうとすると、固まってしまう。この問題はTTFの場合には、変換・表示までに時間を要するものの、発生はしない。
- GSのフォント設定がCIDの際、TeXShopからEPSを差し込んだTeXファイルをコンパイル・PDF変換・プレビューしようとすると、プレビューの段階で上記と同様の問題が発生する。なお、この現象はTTFの場合にはおこらない。
- コマンド・ラインから“epstopdf foo.eps -o=foo.pdf”コマンドで生成したPDFファイルの場合、東風フォントがTTFの場合にはTeXShop・previewともに問題なく表示できる。しかしCIDの場合には固まってしまう。
- 日本語PSファイルをCIDフォントを用いる設定時に“ps2pdf foo.ps foo.pdf”コマンドで変換したPDFファイルの場合、TeXShop・previewで開くことは可能であるものの、正常に表示されない。
- CIDフォントを用いる設定でPSからPDFに変換したファイルを、Finderのカラム表示で選択すると、プレビューの取得に失敗し固まってしまう。
- 上記の問題のあるPDFファイルはいずれも、AcrobatReaderでは正常に表示される。
暫定的対処法
- 基本的に、トラブルの発生しやすいCIDフォントは用いない。
- EPSの内容確認表示に直接TeXShopは用いず、“epstopdf”コマンドで変換の後、AcrobatReader・preview・TeXShop等で開く。
- 日本語縦組を含むEPSを作成しなければならない場合には、乱れを防ぐためGSでCIDフォントを選択せねばならないが、その際にはTeXShopでのコンパイル・変換・プレビューを避け、コマンド・ラインやmi tools を用いる。また、このようにして得たPDFはAcrobatReaderでのみ開き、Finderで選択する際にもカラム表示を用いない。
原因の推定
いずれもOSXのpreview回りに起因する問題であるため、これまでにも日本語明朝フォントがOsakaに置き換えられてしまう問題や、欧文フォントが正しく表示できない問題を抱えていたことを鑑みると、previewの仕様なりバグなりが絡んでいることは間違いない。ただし、井上浩一氏のパッケージでは、上記の各ケースについて処理にそれなりの時間がかかるものの、失敗しないというご連絡をいただいた(井上氏のパッケージは、現状ではX-Darwin環境に依存するものとなっているため、私自身の環境で比較ができないでいる。)ことから考えると、私のパッケージング・ミスである可能性は捨てきれない。なお、私のパッケージについては、G4 x 2 (1GHz) + 1GB という環境でも上記問題が発生するという報告をいただいているが、これが環境依存の問題なのか、やはりパッケージング・ミスによるのか、完全な特定ができていない。いずれにせよ、問題を抱えたパッケージであることは間違いないので、当面はパッケージの配布を中止する。
私の到らぬ知識・技術により、このトラブルに遭遇された方には、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。また、完全な原因特定には情報が不足しているので、トラブルの有無と使用されているご環境について、情報を頂ければ幸いに存じます。
●補足ここ数日書き込み不能だった桐木さんのBBSが復活したので、情報の集約のため、お手数ですがそちらでのご報告をお願いします。
続報
2002年5月7日16時25分CIDフォントとpreviewとの間で生じる問題は、井上浩一氏のパッケージや、内山孝憲氏がmakeされたものでも発生する、一般的問題であることが確認された。ただし、TTFを用いたEPSをTeXShopにドロップした際の問題が、単に処理能力に依存するものか、私のパッケージ固有の問題であるのかは、十分な確認がとれていない。
2002年5月7日16時40分TTFを用いたEPSのTeXShopへのドロップに関しては、再度検証したところ、私の環境(iBOOK DualUSB 500MHZ 640MB)では時間を要するものの、基本的に成功することを確認した。よって問題はCIDフォント関連に絞られることになる。
2002年5月7日18時40分以上より、当該問題はmake・パッケージング・ミスによるものではないと判断し、Readmeファイルにトラブルについての追記を行ったうえで、パッケージの配布を再開した。
2002年5月7日23時30分TTF使用の設定で“ps2pdf”コマンドにより生成したPDFがAcrobatReaderでのオープン時に「無効なフォント削除」警告をうける問題は、“ps2pdf”コマンドがデフォルトでは、2バイトTTFの埋込に対応していないPDF1.2(AcrobatReader3.x相当)の“ps2pdf12”コマンドとして振る舞うために生じる。よって“ps2pdf”のかわりに“ps2pdf13”(PDF1.3、AB4.x相当)あるいは“ps2pdf14”(PDF1.4、AB5.x相当)コマンドを用いることで回避できる。ただしその場合にも、縦組時の「乱れ」問題は回避できない。CIDフォントでこれらの問題が発生しないのは、欧文フォントとして扱われるからであろう。
2002年8月24日PreviewおよびTeXshopで発生していた、CIDフォントを含むPDFを開くとフリーズするという不具合は、MacOSX 10.2環境では解消した。ただし、Preview(およびTeXshop)での、PDFファイル側でRyumin-lightに設定されている明朝非埋込フォントが、ゴシックで表示されてしまう問題は解決していない。