1993年6月2日の朝日新聞(東京)

銃規制運動は日米理解開く
熊本市 カーク・マスデン(大学教員 34歳)

 服部剛丈君を射殺したピアーズ被告が無罪となったことに関する記事や社説を読み、非常に気が重くなりました。

 ちょっとしたことで命を奪われた服部君のことや、ご両親の悲しみを想像しただけで胸が痛みます。また、アメリカ人である私も、短時間で全員一致の評決を下した陪審員のことを疑わざるを得ません。これでは、日本の「嫌米」感情に拍車をかけることになりかねないと心配します。

 しかし、この事件は日米関係を今までにないほど充実したものへと導く可能性もはらんでいると思います。服部ご夫妻が銃規制を求める署名運動を積極的に進められていることです。これは「内政干渉」ではなく、この問題に関してかねてからアメリカで行われてきた議論に、同じ人間として真剣に参加することなのです。これを歓迎し支持するアメリカ人も少なくないはずです。

 経済はボーダーレス時代が来たと言われますが、社会問題もボーダーレスな側面を持っています。服部ご夫妻の運動が日米間の相互理解を深め、密接な関係を確認し合うきっかけとなることを祈ります。

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