I. はじめに
自己紹介
「比較文化論」担当
「一緒企画」や「熊本県立大学外国人教員を守る会」のメンバー
「Kumamoto International」創設者(問い合わせはmasden@kumagaku.ac.jpへ)
日常生活において十分に地域社会の一員と見なしていただいている。
用語の説明
「地域社会」:「近所」から「地方」まで
「外国人」:「ニューカマー」も「在日」も「元外国人」も
「共生」:アメリカでは「symbiosis」をこの意味で使わず、「multiculturalism」(多文化主義)が普通。「多文化主義」は「人類のるつぼ」(つまり、「同化」)の思想への反省から生まれた。
本テーマと少子化の関係
日本が1995年の労働力人口を維持するには、今後50年間にわたって毎年60万人の移民の受け入れが必要と言われている。つまり、95年の労働力人口8700万人が、2050年には5700万人まで低下すると推計されているので、減少する3000万人をそのペースで外国人で補充する必要が生じるだろう。
受け入れるか受け入れないかではなく、どう受け入れるかが問題。
特徴
共に利益を得る(搾取を意図しない)
「外国人」としての役割を前提に
定住化・帰化を奨励しない
「単一民族」堅持
例
明治以来の「お雇い外国人」
1990年の出入国管理及び難民認定法改正
研修生・技能実習生
滞在期間は研修期間と技能実習期間とを合わせて最長3年(職業・作業によっては最長2年)まで滞在が可能
定住ビザ 日系人にのみ
難民が少ない
2000年の第2次出入国管理基本計画案(法務省入国管理局)
研修・技能実習制度を介護などへ拡張
「わが国社会が必要とする外国人労働者の円滑な受入れ - 短絡的な移民の受入れや広範囲にわたる多数の外国人の受入れを意味するものではない」(一人の行政書士のHPから)
国籍条項をつけて参政権を認めない
住民票などを通して送られるメッセージ
メリット
デメリット
貢献の可能性を限定
犯罪(米軍基地が良い例)
抗議(県大の例など)
III. 多文化主義型「共生」
特徴
共に利益を得る(搾取を意図しない)
役割は本人次第
定住化・帰化を奨励する
メリット
「外国人」でも思わぬ能力を示す場合がある
ショージ・タブチ
大学時代からカントリーミュージックに興味を持ち、卒業まえに渡米。現在、アメリカミズリー州にあるカントリーエンターテイメントが集まる町ブランソンにショージ・タブチ劇場を主催。
ヘンリー・キッシンジャー
15才でドイツから渡米。米国務長官となり、1973年にノーベル平和賞。
ハ・ジン
14才から20才まで、独学を進めながら人民軍に所属。29才で中国から渡米。43才になった1999年に『待つ』で全米図書賞受賞。
アンディ・グローブ
お金もなく、英語も知らないまま、18才でハンガリーから渡米。現在は、世界最大の半導体メーカー、米インテル社のCEO。
ジブラン・カリール
13才でレバノンから渡米。アラビア語文学の大家となる他、英語でも文豪と言える。英語の『預言者』は世界的に有名。ケネディーの有名な言葉「わが同胞米国人諸君よ、諸君の国が諸君のために何をしてくれるだろうかなどとは言わず、国のために何ができるかを自問してほしい。」の元となる文を書いた。
デビット・ゾペティ
1983年(ほぼ21歳)に初来日。いったん故郷のスイスに帰ってジュネーブ大学日本語科で日本語に磨きをかけた後、'88年、同志社大学文学部の3年に編入した。報道局記者として活躍する傍ら執筆した『いちげんさん』が第20回すばる文学賞を受賞。芥川賞候補にもなる。
アーサー・ビナード
23歳ごろ、日本語の勉強をはじめるためにアメリカから初来日。ほぼ10年後(2001年に)『釣り上げては』で日本語現代詩の賞である中原中也賞受賞。
外国人の「違い」(個性)は予期できなかったりするが、異なる体験が違って発想につながるケースが多い。
犯罪低下
日本の暴力団はその例外ではない。
「暴力団は、近年外国の犯罪組織との連携を図るなど、その活動の場を海外に広げる傾向がみられる一方、海外の犯罪組織が、日本への進出を図る動向がみられるなど、組織犯罪の国際化が進展している。このため、外国の日本大使館、日本企業の海外拠点と緊密な連絡を保つとともに、外国の捜査機関と十分に連携して、暴力団の海外での活動を封じるとともに、海外の犯罪組織の進出実態を解明してこれを取り締まっていく必要がある。」警察庁ホームページから
犯罪統計に注意
「来日外国人による犯罪」
来日外国人とは、警察庁の概念で、日本に滞在する定着居住者、在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の外国人の意味である。
2000年の警察庁のまとめによると
外国人の人口構成比=1%刑法犯検挙人員構成比=1.7%
しかし、短期滞在者は刑法犯検挙人員構成比に含まれているのに、人口構成比に含まれていない。含めると次のようになる。
外国人の人口構成比=4.3%刑法犯検挙人員構成比=1.7%
ダブルスタンダード
「不法就労外国人 . . . を雇用した場合は、外国人に不法就労をさせた者として、不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項第1号)により処罰され、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科せられます。」(岡山県警HPより)
にもかかわらず「外国人=犯罪者」の短絡的な発想が根強い。
2001年の長野県警のポスター
2000年の神奈川県警察署の「地域安全ニュース」
アメリカでも同じ間違いを犯す人が多い。(racial profiling)
国際的評価
IV. 帰化について
地方参政権について
1995年に最高裁が「定住外国人に地方レベルの選挙権を付与することを憲法は禁じていない」とする画期的な判断を示した。
しかし、櫻井よしこ氏などのように「在日外国人には参政権より国籍を!」。その場合にこれまで日本で帰化することは何を意味するのかについて考えなければならない。それは同化であった。「***系日本人」という表現が定着してくれば「同化」を意味しなくなったと言えるだろう。
いずれにしても「単一民族」の崩壊は避けられないだろう。
国籍条項について
日本政府が国籍条項を「法律に明文規定がないが、当然の法理」とする根拠は「公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員には日本国籍が必要」という1953年の内閣法制局見解にある。
しかし、各々のケースを見てみると、この「当然の法理」は不思議に思えてくる。
この場合も帰化すれば良いかも知れないが、「・・系日本人」として認められるのか。
V. 結論
グローバル化は避けられない。
トーマス フリードマン氏が『レクサスとオリーブの木』でいうようにグローバリゼーションは「金の拘束衣」を各国に着せていて、国際社会から脱落しないかぎり、その波に必ず乗らなければならない。
「単一民族」は過去の概念
20世紀において「単一民族」が大きな力になったが、「多文化主義」にも大きな力がある。日本の多民族化が「日本文化の崩壊」を意味するのではなく「異文化吸収」の伝統の延長線にある、日本文化や日本社会のさらなる発展を意味すると考えることができるのではないか。
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