熊本県立大学外国人教員を守る会ニュース  

(題名募集中)

第 0 号 1998年12月23日発行   編集・発行 熊本県立大学外国人教員を守る会


 熊本県立大学の外国人教員が外国人にのみ任期があるのは差別じゃないかと声をあげ、雇用の安定を求めてがんばっています。県立大学は10月1日に1年任期の6人の外国人教員全員にたいして来年度「任用更新拒否」という解雇通告を出しました。そのうちの3人の外国人は、それに対して抗議するとともに、労働委員会に訴えています。また、「熊本県立大学の外国人教員を守る会」では、全国的に署名活動を行うとともに、12月7日、原田正純熊大助教授、松野信夫弁護士などの代表が、熊本県知事ならびに熊本県立大学学長に対して、外国人差別をなくし、雇用の保証をするよう申し入れました。また、署名は全国に広がりつつあり、また、アメリカ、オーストラリア、スウェーデンなどの外国の大学人からも支援アピールが届き始めています。(詳細は次のニュースにて)

 ぜひとも、県立大学外国人教員へのご支援をお願いいたします。


目次

12月27日(日)
街頭署名活動にご協力を

 急な話で恐縮ですが、県立大学外国人教員でつくるゼネラルユニオンの外国人教員と熊本県立大学外国人教員を守る会では、12月27日、日曜日、熊本市内下通アーケード内にて、広く熊本県民に訴えるべく、街頭署名カンパ活動をします。

 この問題は新聞やテレビなどで好意的な報道がなされていますが、熊本の市民への訴えかけは、まだまだ不十分です。さらにいうと、支援の運動もまた十分とはいえません。ぜひとも、外国人教員差別をやめさせ、彼らを守る活動へのご参加をお願いいたします。

12月27日(日)12時から3時まで
下通アーケード内

 なお、電子メールによる署名も集めております。詳しくはここをクリックしてください。


感動と怒りをまじえ
「大学開国を問う」集会開かれる

 さる12月12日(土)、熊本市青年会館ホールにて、「熊本県立大学外国人教員を守る会主催、熊本学校事務労組、大韓民国居留民団などの後援を得て、大学開国を問う」と題して、講演とシンポジウムの集会を開催し、100名余りの参加者がありました。

徐龍達氏の講演

 第一部の講演では、桃山学院大学の徐龍達氏が自らの差別体験を交えながら、1982年の「外国人教員任用法」成立までのいきさつを話した。国公立大学の教員任用に関しては、法律に国籍条項がないにも関わらず、全国で、国立で約8割、公立で3割の外国人教員に任期が定められていることを指摘し、「任期を付けることが基本的人権の侵害」と訴えた。さらに、税金は日本人と同じように納めなさい、でも(福利厚生などの)権利はだめと、日本の法律はご都合主義だと批判し、「同じ仕事をさせる以上は、同じ処遇であって欲しい」と大学側の対応の改善を要求した。

パネル・ディスカッション

 第二部のパネルディスカッションが、熊本学園大学の花田昌宣氏の司会で、県立大学外国人教員のファレル・クリアリさんのほか、旭川大学から二度も解雇されて裁判を起こしているグウェンドリン・ギャラガーさん、県立大学外国人教員の守る会の松野信夫弁護士、熊本大学文学部の小松裕氏ら5人で行われた。 まず、松野弁護士から県立大学外国人教員の雇用問題について、その発端から現在に至るまでを、大学側の主張もまじえながら報告がなされた。

 ついで、ギャラガーさんは12年間勤務していた大学から、突然、契約満了といわれ解雇された。その理由を大学側に問うたところ、「少し待って考えます」との返事、その後、「ネイティブスピーカーの外国人教員は、数年経つと日本ナイズしてしまう。大学にとってフレッシュな外人が必要」という回答があった。「障子の紙を張り替えるように、外国人を扱う社会なのでしょうか」という彼女の訴えに憤りを感じ、また恥ずかしさを感じた参加者も多かったのではないだろうか。

 当事者であるクリアリ氏は「就任承諾書」に書かれていたのとは違う扱いであることを大学側に強く主張し、その後数年にわたる交渉のやり取りを彼独特の優しい口調で話した。かれは、「僕に勇気があったから立ち上がったわけじゃない、でも差別はおかしいといっていたらこうなっていた」と激白。何でこんなにいい人が解雇されるんだろうと思ったのは私だけだろうか。

 熊本大学文学部の小松裕氏は、熊本における在日の人々の運動をしてきたことを報告した後、日本の行政の事なかれ主義を強く批判した。何か困っている人がいる、けれどもそのために働くと自分の身が危うくなる、波風立てず、見て見ぬふりするのが日本社会の自治なのであろうか、と訴えた。また、小松氏から熊本大学で外国人教員の任期なしの採用が今進められていることが報告された。

フロアから県立大学生の声

 その後の、フロアとの質疑応答では、会場から活発な意見や質問が相次いだ。なかでも、県立大学の学生が挙手して、来年度から英語授業カリキュラムが改悪されることや、学生の多くが、会場にいたクリアリ先生、ワージントン先生、ミッチェル先生の名前をあげながら、今の先生達の授業が楽しくて大好きであるのに、その意志に反して、大学が勝手に解雇するのはおかしいとの発言が相次いだ。

 「国際化をめざし、差別のないまちづくり」と掲げていながらも、外国人の参政権はいまだ認められておらず、教育機関でも閉鎖性が色濃い。このような矛盾を追求し、国際社会の中で恥ずかしくない時代を私達は築いていきたい。

(中本幸子)


カンパのお願い

 県立大学と熊本県とが改心しなければ、県立大学外国人教員の職と雇用を守る闘いはまだまだこれから長く続きそうです。浄財のカンパをよろしくお願いいたします。

 守る会にはまだ口座がありませんので、さしあたり、ゼネラルユニオンの口座を使います。郵便振替の際には、守る会カンパと明記してください。

  郵便振替
   01750-1-62687
   くまもとゼネラルユニオン


熊本県立大学外国人教員の雇用に関するQ & A

 熊本県立大学の在学生より、この問題をめぐって質問が寄せられました。全て問題を網羅しているわけではありませんが、その質問に一つ一つ答えることであらためて、何が問題なのかを明らかにしてみようと思います。

1. 「非常勤特別職」としての外国人教員について

 Q. 非常勤特別職であれなんであれ大学の教員になるには何か試験のようなものがあるのではないか。この人たちはそれに受かっているのだろうか。
 
 A. 県立大学は94年4月に女子大を改組して設置されたものだが、その前年、外国人教員は、日本人教員と同様、文部省の資格審査を受けている。これは、教育歴、研究業績などに基づいて文部省が書類審査を行うもので、外国人全員、大学教員として資格ありと認められている。
 
 Q. 「非常勤特別職」としての外国人教員は任期一年であるという契約内容は最初に提示されていたのではないか。
 
 A. かれらは、93年6月就任承諾書に署名しているが、それには「専任の教員」と記されていた。これは日本人と同じ専任教員であるとの説明を受けている。ところが、後になって、1年任期の「非常勤特別職」という身分であることが明らかになった。外国人達は、これに納得せず、合意のないまま、94年4月からの講義を始めた。したがって、公務員の採用条件を記した「任用条件確認書」は採用前には署名されず、翌95年になって、両論併記で署名している。つまり、大学側はセクションIにおいて1年任期で任用するとし、外国人教員はセクションIIで、任期をつけるべきではない、と主張した内容を記し、それに学長と外国人教員の両者が署名しているのである。97年にはいかなる文書にも署名がなされず「黙示の更新」が行われた。98年には、提出期限を区切ったうえで、いかなる修正意見の添付も禁じ、これを認めない場合には来年度以降の任用更新をしないという一方的通知があった。外国人教員達はやむなく従うほかなかった。以上のことから、双方の合意の上に正当な手続きが踏まれているとはとても言えないのである。外国人教員達は、一貫して、日本人にはなく外国人だけに課せられている任期に反対し、安定的な雇用条件にするよう求め続けていることが分かっていただけるであろうか。

2. ゼネラルユニオンのストライキについて

 Q. 98年6月24日、外国人教員達が結成した労働組合ゼネラルユニオンがストライキをしたが、彼らが公務員であるなら、ストライキは禁止されているのではないか。
 
 A. 外国人教員のうち1年任期の教員達は、地方公務員法第3条第3項に基づく「特別職」とされている。これには、任用以外の条件は労働基準法などの労働法が適用される。したがって、ストライキは違法ではない。
 
 Q. ストライキという以外に手段はなかったのか。
 
 A. 97年7月11日、組合が結成され、同24日、25日二つの要求書を大学側に提出、任用形態(任期などの採用の形態)についての団体交渉を求めていた。しかし、大学側は、任用条件については団交応諾の義務はないとし、この件についての交渉を拒否し、再三の申し入れもうけいれられず、98年6月24日のストライキをやむなくされたのである。

3. 外国人教員の県立大における扱いについて

 Q. 任期つき契約(任用)が県立大学特有のものだと言われるが、その信頼性はどの程度のものか。
 
 A. 県立大学では全ての外国人教員が3年か1年の任期つきである。ところが、文部省の調べによると、1997年、全国の公立大学には186人の外国人教員がいるが、そのうち任期つきは61人に過ぎず、67%の外国人教員は無任期である。県立大学と同時期に改組を行った公立大学である山口県立大学や会津大学では外国人教員は全て任期なしの無期限の任用である。九州でいえば、福岡県立大学においても外国人教員は任期なしである。国立大学は、遅れており無任期の採用はまだ、全体の二割程度であるが、筑波大学や東大をはじめとして、無任期の任用が増加しつつあり、熊本大学でも任期つき任用の現在見直しが進んでいる。
 
 Q. 任用更新を拒否され(つまり解雇され)職を失う外国人に対して、県の側から新たな職の斡旋などはないのか。
 
 A. この質問の趣旨はよく理解できないが、もし斡旋があるとすれば、解雇を受入れて、県立大学での仕事はあきらめて、外国人差別を受諾しなさいということなのだろうか。

4. 県政による影響について

 Q. 地方自治体の財政赤字の解消を目的とした解雇措置であるのか。
 
 A. 県財政赤字解消のために外国人教員の首が切られるのであれば、しかたのないことなのだろうか。また、財政赤字解消のためでないとしたら、県立大学の自治が問題の焦点となるであろう。いずれにしろ、外国人差別になるということが分かっていただけるだろうか。

5. 大学側の今後の対応について

 Q. 来年度の英語カリキュラムについて。
 
 A. 98年12月15日発行の「県立大学学生新聞」の記事「外国語教育カリキュラム見直しへ」から引用する。
「現在、総合管理学部の英語の授業は、25名という少人数クラスで外国人教師による会話中心、コミュニケーション能力を育成することに重点が置かれている。これが来年度からは1クラスの人数が増え、かつ授業内容も文法や読解力を育てるように変わる。カリキュラム変更は学生側から必要との声があったわけでもなければ、逆に現行の授業形態に満足している学生が多い。(さらに)......一部の教授からも変更を疑問視する意見が出ている。(.....)最終決定は来年1月か2月に公表される。」
以上、この記事は新聞部の学生が綿密な取材を行ったうえで書かれた記事なので信憑性は高いものといえる。


POSTFACE

 とりあえず、おおあわてで作ったニュースです。署名運動の全国への広がり、労働委員会への救済申し立て、県立大学や県の様子など、お伝えしなければならないことが沢山あります。それらは、来年初頭に発行されるはずの次号でお知らせすることにいたします。

 守る会では、毎週月曜日夜7時から9時まで、九品寺の労働会館2階にある熊本学校事務労働組合の事務所をお借りして例会を開いています。気軽に一度のぞいてみて下さい。

編集発行
 熊本県立大学の外国人教員を守る会
 連絡先
 ・096-325-9911 (くまもと法律事務所)
 ・花田昌宣 熊本市大江2-5-1 熊本学園大学
      096-364-5161
 ・ファレル・クリアリ
      096-364-8694

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1998年12月28日更新