第3講 3面等価とGDPの定義

[講義ノートに戻る]


2010年5月5日更新

GDPの3面等価[top] 

GDPは3つの側面からとらえることができます.3つの側面とは,(1)生産(2)分配(3)支出.
GDPを,生産,分配,支出の3つの側面からとらえることができますが,それらは互いに等しくなることを,GDP(あるいは国民所得)の3面等価といいます.

生産は付加価値の合計=賃金など生産要素の投入に対する報酬として分配されます. → 総生産=総分配
分配を受けた所得は,財やサービス等への支出に向かいます.

生産=分配=支出

が成立します.この関係を以下の産業連関表で確認することができます.

産業連関表[top]

経済の中間財と最終財の取引をすべて包括的に記録した表があります.それがレオンチェフによる産業連関表(Input-Output table,簡単に I - O表)です.この表からも3面等価を確認することができます.

  産業連関表の概念図

            産業連関表の仮設例

(注)「雇用者報酬」は以前は雇用者所得と呼んでいました.

テキスト表3-4(P.46)も参照.

産業連関表の見方(国内概念)GDE(Gross Domestic Expenditure)=国内総支出
(1)ヨコに見る.販売先別
1産業の販売額=(2+10+1)+(7+2+0+1- 6)
       = 中間需要 + 最終需要 =17

(2)タテに見る.費用の構成別 GDP(Gross Domestic Product)=国内総生産
1産業の生産額=(2+3+2)+(2+6+2+0)
       = 中間投入(原材料費用)+ 粗付加価値 =17
 ここで,粗付加価値=売上額 - 原材料費用
       =固定資本減耗+雇用者報酬+営業余剰+間接税- 補助金
売上額から原材料費用を差し引いた付加価値は,労働者に対する賃金の支払や,資本提供者への報酬として分配されます.営業余剰の内容は,営業利潤,支払利子,動産や不動産の純賃貸料,のれん代,個人業主所得などです.

GDP=GDE

ケータイマクロ問題[top]

【ケータイマクロ問題】======================================

上の産業連関表からGDPとGDE(GDP=GDE)を計算してみなさい(単位は兆円).
答えは以下の選択肢のどれでしょう.
===============================================

【ケータイマクロ,三者択一問題】

上の【問題】の答えは以下のどれでしょう(単位は兆円).
1 239
2 313
3 506

クイズの答え

GDPの正確な統計上の定義と関連概念[top]

GDP=GDE
○国内総生産(GDP)=雇用者報酬+営業余剰+固定資本減耗+間接税- 補助金
   GDPは粗付加価値の合計額

○国内総支出(GDE)=民間最終消費支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+政府最終消費支出+財サービスの輸出 - 財サービスの輸入
   GDEは最終財への支出の合計

GDEは内容を組み替えて次のようにも表現されます.新聞の速報値ではこちらが使われます.

国内総支出(GDE)=民間最終消費支出+(民間住宅+民間企業設備+民間在庫品増加)+(政府最終消費支出+公的固定資本形成+公的在庫品増加)+財サービスの輸出 - 財サービスの輸入

実際に発表される表は以下のサイトを参照してください.

(関連サイト)内閣府,経済社会総合研究所による最近の四半期別GDP速報:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe

簡単に表す場合は,次のように書きます.

 GDE = 民間消費+民間投資+政府支出+輸出−輸入

記号では,次のように書きます.

 Y = C + I + G + EX - IM

○国民総生産(GNP)=国内総生産(GDP)+海外からの要素所得-海外への要素所得+交易利得(損失)
   国内概念と国民概念(国内総生産と国民総生産の違い)

○NNP(Net National Product:国民純生産)= GNP - 固定資本減耗
   NNPは市場価格表示の国民所得ともいわれる.

○NI(National Income:要素費用表示の国民所得)= NNP - 間接税 + 補助金
=雇用者報酬+営業余剰+海外からの純雇用者所得+海外からの純財産所得
   狭義の国民所得がこれ.市場価格と要素費用(価格)

○財サービスの輸出 - 財サービスの輸入+(海外からの要素所得 - 海外への要素所得)= 経常海外余剰

注意:経常海外余剰は国民所得の概念になります.

テキストP.21の図2-1を参照のこと.


GDPの公式統計は,内閣府(旧経済企画庁)『国民経済計算年報』
CD-ROMが付録でついています.

メールマガジン[top]

政府(内閣府)は,2000年10月,GDP統計の集計方法を一部修正すると発表しました.新GDPでは,以下の点が変更になりました.
1)受注ソフトウェアを投資項へ計上
2)一般政府の所有する社会資本の固定資本減耗を計上
3)医療費(保険負担分)を民間最終消費支出から政府最終消費支出(直接
の負担者)に移行計上
この結果,新GDPは旧GDPに比べて約40兆円増加しました.
詳しくは,私のメールマガジンを参照してください.

第22回 新GDP統計

関連サイトの紹介[top]

GDP関連データは,ネット上では,内閣府内の経済社会総合研究所のSNAコーナーにあります.

内閣府 SNA関連ページ: http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html

最近のデータは特に以下を参照してください.
★平成17年度国民経済計算(93SNA)確報(2007年(平成19年)2月23日)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h17-kaku/19annual-report-j.html

国民経済計算の説明・解説
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kouhyo.html

★国民経済計算年報(平成16年版)参考資料:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h16-nenpou/materials_j.html
★平成14年度国民経済計算のポイント(2004年4月19日公表)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h16-nenpou/point.pdf
2002年度のGDPの概説があります.その他経済循環の図解等があります.

経済社会総合研究所:平成15年版国民経済計算年報(2003,4.1)
 1990年から最近までのデータがエクセルのファイルで提供されています.
 「資料編」にはGDP関連の用語解説もあります.
★用語解説:
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h16-nenpou/term.pdf (平成16年版の用語解説)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h15-nenpou/materials/4term/4term.html
内閣府によるGDP関連の詳細な用語解説(平成15年版)です.

経済社会総合研究所:平成7暦年(95年)基準GDE(GDP)需要項目別時系列表(2003,3.11)

産業連関表についても,同じく内閣府内の以下を参考にしてください.

内閣府 平成7年(1995年)基準改定SNA産業連関表(93SNA)

総務省 産業連関表

内需と外需[top]

GDP を支出面からとらえて,記号でかけば,次のようになります.

 Y = C + I + G + EX - IM

左辺が供給,右辺が需要になりますが,正確にかけば,

 Y + IM = C + I + G + EX

となります.輸入(IM)は海外からの供給です.輸出は海外からの需要です.

内需 = C + I + G
外需 = EX - IM

と呼ぶことがありますが,上でみたように, EX - IMを外需とみるには問題があります.
また,内需には輸入分も含まれているということにも注意をする必要があります.

 Y(GDP)= 国内需要+海外需要
   C + I + G には輸入も含まれているので IM を引くことで国内需要だけを取り出すことができます.国内で生産された財サービスは国内で需要されるか,海外で需要されるかに分けられるのです.
従って,内需=C + I + G - IM ,外需= EX ととらえるのが的確です.

以下の日経新聞に掲載されたコラムは,そのあたりを的確に指摘したものです.

 日経新聞コラム「大機小機」1998年9月19日 「外需とは何か」

GDPやGDPの成長率のグラフを見てみよう[top]

講義ノートの「付録B 経済データ」に主な経済データのグラフがあります.参照してください.
上記の統計集からデータをひろって,エクセルなどの表計算ソフトを使って,自分でグラフを作成してみましょう.

インターネットでデータを探そう[top]

日本のGDP関連のデータをインターネットから探してみましょう.どこのサイトにどのデータが掲載されているかを見つけることが重要です.データを集めたら,表計算ソフトを活用してグラフに作成しよう.

[top] [講義ノートに戻る]


(c) Shigeru Sasayama, Kumamoto Gakuen University