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2020.09.08
合志市地域公共交通計画の変更に関する熊日の記事に,溝上教授がコメントしています.

 溝上教授は合志市地域公共交通協議会に2009年のスタート当時から係わっています.西合志町のMM,レターバス運行によるQoM評価,レターバスの乗り込み調査,バスロケいまココのデータ分析と運行ダイヤの再設計に関する修論や卒研を行った卒業生も多いはずです.
 この合志市のコミュニティバス「レターバス」のルートとダイヤを大幅に変更し,10月1日から運行を開始します.熊日が大きな紙面を割いて,その経緯や理由を紹介しています.熊日の記者からの電話での取材の時は,協議会での議論内容を踏まえたレターバスの役割とその支え方について,30分ほど説明したにもかかわらず,掲載されたのは,「収支率は30%程度が望ましく」という本意でない内容を含む,わずか6行のコメントでした.

2020.08.18
毎日新聞九州版にJR肥薩線復旧に対する溝上教授のコメントが掲載されました.

 7月4日に発生した九州南部豪雨は,人吉・球磨地域に甚大な被害を与えました.家屋の浸水被害は大規模,かつ甚大であったのに加え,この地域の幹線交通であるJR肥薩線とくま川鉄道は鉄橋の崩落や線路・路盤の流出などの大きな被害を受け,今も不通です.
 これに対して,毎日新聞から「今後の肥薩線の復旧・復興はどうあるべきと思うか」という取材の依頼があったので,事前の質問メールに対して可能な限り回答したのですが,紙面に載ったのは添付の通り,私がコメントしなくても,誰でも語れるような,えらく簡素で短いものになりました.新聞記者は本気で事態の背景と現実を理解・直視し,今後の対策のための理念や方策を理解しようとしているのか,はなはだ疑問です.
 下記は,記者からの質問に対して私が送った記事の元になる意見です.

<地域公共交通>
自治体は公共交通の維持にどのように向き合うべきでしょうか。
人口減少のなかで鉄道は維持しつづけるべきなのか。それとも地域の実情に応じてバスなどに転換、あるいは廃止しても仕方ないのでしょうか。その判断基準は何とすべきなのでしょうか。
->国や自治体の公共交通サービスに対する考え方と仕組み,その中でも赤字を抱えながらも自主的に続けている地方の公共交通事業者にサービスの計画,運行,運営のすべてを任せ,赤字だったらその分はどうにか補填するという仕組みが変わらない限り,公共交通の維持・再生には限界があります.計画,運行,運営を担当する主体を,計画には自治体,運営には事業者と自治体に学術や経営者を含むような第三者機関が責任を持ち,事業者は安心して運行に徹してもらうような環境にならないと,市民のモビリティだけでなく,事業者の経営も維持できないと思っています.このような仕組みは欧州では当然のことで,公共交通を上下水道サービスのような赤字でも支えるべき公共サービスと見なし,採算性よりも効率的な運営による持続可能性を優先した仕組みを確立しています.コロナ禍や大規模災害が頻発する時代に地域公共交通の弱体化が加速しているときにこそ,本気で考え直す時期です.
災害で存続の危機に瀕したとき、事業者と自治体は何を重視して判断すべきでしょうか。
->災害時には原状復旧や現況を代替する手段によるサービス復旧が目的になりがちですが,復旧時も創造的な復興を目指した復旧を指向して欲しいと思っています.公共交通を支えてきたバスやタクシーの多くが浸水して使えなくなっており,多くの被災者がこれまで住んでいたところとは異なる避難所で生活をせざるを得なくなっている,それでも被災した家の片付けや日常品の買物には行かなければならないのに,地域公共交通までも従前の定時定路線型の復旧を目指すのは本当に良いのか,甚だ疑問です.カーシェアリング協会が提供した寄付車は非常に有用でしたが,それでも自ら運転できない方もおられるので,その方々のモビリティを確保するオンデマンドの相乗りタクシーのような,需要の規模やパターンにフレキシブルに対応でき,機動性と効率性が高い公共交通サービスを,緊急時だからこそ試行するのが良いと思っています.肥薩線が対象の場合は上記は該当しませんが.
 
<ハード面>
災害に対する予防、対策や復旧はどうあるべきでしょうか。あるいは復旧しない判断はありえるのでしょうか。
->くま川鉄道のような第三セクター鉄道,特に上下分離など,路線維持のための地元の協力が熱心な場合は国や県の補助率は高くなっていますが,JRの場合は今回もそのようなスキームの適用は難しいでしょう.肥薩線の場合は八代ー人吉間が寸断されると九州内の都市間鉄道ネットワーク,鉄道観光ネットワークが形成できなくなりますし,肥薩線も赤字とは言え,その比率は全体の赤字額に対してそれほど大きくないようなので,JR九州は復旧しないという判断はないと思われます.しかし,国はコロナ禍や頻発する大規模災害の時代の地域公共交通運営事業者への支援スキームを早急に確立させることが望まれます.
談話のなかで「道路や河川の復旧事業と連携すれば効率化できる」と表記させていただきましたが、阿蘇の豊肥線もそうでしたが、適した条件やその意義、クリアすべき課題があれば教えてください。
->道路と鉄道が併走しており,道路と線路の盛土や路盤部分の一体整備ができると効率的です.R219は国道とは言っても県管理のはずです.葉木ー鎌瀬間は肥薩線に併走しているのは県道17や158のようです.また,流出した2つの橋梁については多額の費用が必要となるので,国に対する県からの強い支援要請が必要と思われます.鉄道と道路・河川の整備との連携は理想ですが,今のところ適切なスキームは無いのではと思います.また,連携の条件なども含めて,この辺は国交省九地整に聞いて下さい.

2020.07.07
県下,および九州全域で豪雨災害が発生しています.

「2020.07.05 県南豪雨で18人死亡|熊本のニュース|RKK熊本放送rkk.jp」より

 今日は,本来ならば,天の川を渡って織姫と彦星が年に一度再会して愛を育む日、短冊に願いを書いて星に願う七夕なのですが,九州は豪雨に見舞われ,多くの地域で洪水や土砂崩れで甚大な被害が生じています.
 清流球磨川では,10箇所で洪水が発生し,49名もの被害者が出ています.美しく,素朴な街の人吉も,一面が泥だらけになり,クルマが逆立ちしている画像もあります.急流球磨川で人気のラフティングを主催する会社がゴムボートで孤立した市民を救助しているのも皮肉です.九州産交バスの人吉営業所下の路線バスと観光バス車両は旅客シートの上まで浸水し,全滅のようですし,お付き合いのある市内で最大手のつばめタクシーの全車両と営業所も水没してしまったようです.
 市内でも,恐怖を覚えるような豪雨となる時間帯もあります.7月4日に実施された大学院推薦入試では,豪雨と洪水被害のため,学外からの受験者が避難所に避難していたために,彼らだけは後日,リモートによる面接を行うことになりました.梅雨明け直前の今頃は九州だけでなく,全国各地で豪雨となりそうです.皆さん,今後数日は十分に気を付けてください.

2020.06.20
溝上教授が応用経済学会で招待講演をしました.

 6/20(土)の16:20~17:10,溝上教授が日本応用経済学会春季大会で招待講演をしました.本来は6/20(土),21(日)の両日に熊本大学で開催予定だったのですが,新型コロナウィルス禍でZoom会議による開催になりました.
 経済学はその応用分野として従来の財政・金融・国際貿易・国際金融・開発・労働・産業に加え,近年は医療や環境,法と経済という新分野を切り拓いてきた.また,これらの分野は地域科学や政策科学などの隣接領域との積極的な交流のなかで進められている.日本応用経済学会は,このような現代の学問的潮流を踏まえて,経済学の様々な応用分野の研究を促進し,応用経済学の研究の促進を図るとともに,現実の経済社会の課題の解決に寄与することを目指すという学会です(学会HPの文章を溝上が要約).
 今回は,これまでに各所で講演してきた熊本市の公共交通政策に関する内容を集約し,「熊本市の先進的な公共交通戦略とその成果-バス事業再編に対する学術面からの視座-」と題して,インセンティブ補助や繰り返しゲーム,ケイパビリティアプローチなどの経済学の理論の援用により分析・解決してきた熊本市の公共交通に関する課題と政策についてお話し,応用経済学会の会員の方々の積極的な政策立案への関与をお願いしました.
 会員には,以前熊大にもおられた学会長の田中廣滋中央大学教授,途中で読むのをギブアップした「ゲームと情報の経済学」の著者の細江守紀九大名誉教授など,蒼々たるメンバーがおられ,Zoomに参加されたメンバーには公正取引委員会の青木玲子一橋大学教授などの重鎮も見受けられました.そのせいもあってか,我ながらかなり緊張し,講演の終盤はかなり早口になってしまいましたが,聴講者からは,応用経済学の研究者も現実の問題に関心を持ち,専門の知識や経験を問題の解釈や解決に使って行く必要を強く感じたという感想も頂きました.その意味では私の思いは届いたかもしれません.

2020.06.08
Zoomを使って遠隔講義を行っています.

 皆さん,本当に久しぶりです.コロナウィルス感染拡大のため,大学は6月1日までは対面講義は禁じられ,遠隔で行われていました.工学部としては対面で行わないといけない実験や演習を除いて,第1タームは基本的には遠隔授業を続けます.
 私もeラーニングシステム・学習管理システム(LMS)であるMoodleや遠隔会議システムZoomを使った講義を始めています.これまでは全ての講義を対面でノート・板書講義で行っていましたが,定年まであと1年という年に遠隔講義用の資料づくり,Moodleの湯効果的な利用方法の手習いをしています.大学院の「交通システムデザイン」の講義は残すところ3回となりました.Zoomでも受講者の顔は見られますが,対面でないので,受講者の興味と理解は進んだのかなどは不明です.
 今週から土木系・建築系の区別がない土木建築学科1年生の「空間デザイン演習II」を3回,担当します.これまでは1)キャンパス内の移動環境上の課題を発見し,2)それを客観的に示すデータを取得し,3)基本統計技術を使って説得力を持って説明するという演習を行ってきました.しかし,減1年生は入学式も経験せずに5月末まで在宅で遠隔授業を受けているので,キャンパス内の移動環境なんて,全く経験がないのです.そんな中,さてさて,どんな演習をしようか,悩みに悩んでいます.

2020.06.07
溝上教授がJCOMM緊急会議のパネルディスカッションに参加しました.

 JCOMMが6月7日(日)15:00からYouTubeを使ってライブで開催した「JCOMM緊急会議 交通崩壊を防げ!~新型コロナから暮らしと街を守るには?~」で,溝上教授がパネルディスカッションのパネリストの一人として参加しました.
 ライブを見た方はいますか?もし見ておられないようでしたら下記をご覧下さい.

YouTube JCOMM緊急会議『交通崩壊を防げ!~新型コロナから暮らしと街を守るには?~』

 皆様が考える公共交通機関の崩壊を防ぐ方策をお寄せ下さい.できればZoom会議を設定して参加者で議論をしたいと思っています.準備が整うまで,しばらくお待ち下さい.

2020.04.28
村上さん,学部長表彰,おめでとう!

 大学院に進学した村上麻紀さんが令和元年度卒業生学部長賞を受賞しました.この賞は学業成績が特に優秀な卒業生に学科から一人だけ授与される賞で,主席を意味しています.おめでとう!それに研究室としても大変誇らしいです.本来なら卒科式で受賞のお披露目があり,同級生や先生方に祝ってもらえるところでしたが,昨年度の卒業式は中止になったので,ここでお祝いしましょう.村上さんには大学院での更なる活躍を期待しています.
 これまでに研究室からは確か2人ほど,学部長賞の受賞者がいたように記憶しています.確かに学部長賞を受賞した学生は大学院での修論,それに就職してからの活躍は目覚ましいものがあります.しかし,学部長賞に届かなかった,あるいは大学院推薦枠にも入らなかった卒業生も素晴らしい修論を書いたり,就職先で活躍したりしています.勉強は学部で終わりではありません.これからです.コロナウィルス感染拡大で暗い環境ですが,罹患しないようにして勉強に,研究に,仕事に頑張りましょう.

 村上さん談:4年間の頑張りがこのような形になりとても嬉しいです。日頃助けてくれた周りの友達に感謝しています。これからも学部長賞に恥じないように頑張っていきたいと思います。

2020.04.18
卒業生諸君,SHしてますか?

 

 COVID-19感染の拡大で,全国の都道府県に緊急事態宣言が発令され,7割,できれば8割の外出自粛を求められていますが,元気でSH(Stay Home)していますか.特に首都圏にいる卒業生諸君は十分に気を付けてください.
 こ  れ  く  ら  い  の  社  会  的  距  離  を  保  っ  て  !
 卒業式が無くなった卒業生,入学式が中止になった新入生は,人生の重要なターニングイベント無しに新しい環境に入ってしまうことになりました.
 2年前からセメスター(2学期)制からクォーター(4学期)制に移行したのですが,今年度の第1クォーターの授業は対面はやめて遠隔で行うことに決まりました.遠隔授業にはe-Learning SystemのMoodleと遠隔会議システムZoomを使います.MoodleはLearning Management Systemの一つで,授業資料の配布やレポート提出,試験や評価をオンラインで行うシステムです.Zoomはご存じのように,オンライン会議システムです.
 熊大では遠隔授業システムやe-Learning教材の準備が非常に遅れており,私自身もこれらの使用には全く消極的でした.それなのに急に「遠隔授業しかダメ!」といわれても・・・・!?
 MoodleもZoomもやったことがなかったし,退職まであと1年なのに・・・・.今,慌てて練習をしています.写真は研究室の学生諸君とのZoom会議の練習です.コロナ収束後の新社会には必須となるかもしれませんので,使えるようになって損はないかな.

2020.04.07
新型コロナウィルス(COVID-19)感染とSIRモデルによる拡大予測

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 私は一方的に読むだけですが,FBでいつも見ている東北大学の長江剛志先生のSIRモデルによる感染者数の予測と感染対策の試案を見てください.本人も書いていますが,「素人である僕が」「私よりも素人である方々」に向けて計算し,考察しているものです.簡単なのですが,その結果はかなりシビアで,ボーッとしているととんでもないことになりかねないことがよく分かります.ご一読ください.

2020.04.04
新年度の始まり・・・・

 2020(令和2)年度が始まりしました.例年なら,研究室の新メンバーと一緒に桜の下で花見を写真と共にこのHPを始めたかったのですが,今年度は残念ながら桜の花だけとなってしまいました.iPS細胞の山中先生も発信されていますように,桜は来年でも見ることができるけど,命を落としたらもう見ることができないので,今は重苦しくても不要不急の用がない限り,他との接触を避けるために部屋でジッとしていましょう.
 乗り越えられない苦難はないはずです.とにかく,ワクチンも特効薬もない今,感染拡大を押さえ込む唯一の方法は他者との接触を避けることです.落ち着いたらみんなで一献,語らいましょう.