山鹿市は熊本県の北部に位置し、市の北部は清らかな渓谷と森林に覆われ、菊池川流域の中央平野部には、美しい田園地帯が広がっています。このような環境の中で、様々な農産物や山鹿温泉をはじめとする良質な温泉群、岳間・矢谷両渓谷など、豊かな自然に恵まれています。また、浪漫あふれる装飾古墳群や古代山城「鞠智城」、江戸時代の情緒を残す豊前街道、明治の芝居小屋「八千代座」(国指定重要文化財)、そして、灯籠の灯りが見るものを幻想的な世界に誘う「山鹿灯籠まつり」など、数々の歴史・伝統に恵まれた文化の薫り高い地域です。山鹿は、自然・歴史・観光などたくさんの魅力にあふれています。

 八千代座は、明治43年に建築の江戸時代の伝統的な芝居小屋の様式を今に伝える芝居小屋です。山鹿の商工会が劇場組合を作り、1株30円の株を募って建てたものです。 八千代座を設計し、工事監督をしたのは、回船問屋の主人で灯籠師でもあった木村亀太郎です。 建築には素人でしたが、研究熱心で東京の歌舞伎座や各地を見学、さらには上海に渡り洋式工法の長所も取り入れました。 昭和40年代になると庶民の娯楽が多様化し、八千代座は時の流れの中に取り残されていきます。閉鎖状態が続き老朽化が進む芝居小屋。朽ちかけていく八千代座に一番心を痛めたのは、華やかだった頃を知るお年寄りでした。老人会は、「瓦一枚運動」で募金を募り、屋根瓦を修復。この運動に刺激を受けた若者も、復興へ向けての様々な活動を始めました。その後昭和63年国重要文化財に指定されました。 平成2年から市民の手づくりで行われた「坂東玉三郎舞踊公演」では、明治の芝居小屋:八千代座が創り出す空間のなかで、華麗に舞う玉三郎丈の舞台のすばらしさに観客は魅せられ、この公演が復興への大きな追い風となり、八千代座の名前を全国に広めることになりました。平成8年より平成の大修復・復原が始まり平成13年完了。