熊日は毎月17日に特集・連載している「くまにちSDGsアクションプロジェクト」の3回目の「公共交通機関」に,「ココがポイント!」欄に溝上教授のコメントが掲載されました.
この企画はSDGsの視点で熊本の歴史や自然,暮らしを見つめ直し,良いところを紹介,課題は再確認しようという趣旨で,SDGsのゴール数17に合わせて毎月17日に掲載,全12回ものです.
熊日から本文をもらってそれに対するコメントや意見が欲しいという依頼でした.最初にもらった原稿は大半が市電と熊電の歴史,車両やシステムの紹介であり,市電や熊電の「魅力案内」のような記事になっており,SDGsにはあまり繋がらない内容になっていました.EV通学バスや,熊本市シェアサイクル(チャリチャリ)の紹介が加筆されるということでしたが,市電や熊電だけでなく,多くの地域で廃止や減便が続いている地方鉄道やバスといった,地方都市で市民の移動と暮らしを支援している地域公共交通の存在そのものがSDGs(主に3,11,13ですが,突き詰めればもっと多くのゴール)に貢献することを紹介するような内容にして欲しいと依頼しました.
市民向けの特集記事なので,話題は平易に,絵柄にはインパクトが求められるので,この内容で了解しましが,とても短いですが,私のコメントは地域公共交通をSDGsの視点からどう評価するかを書いたつもりです.
記事の全体は「くまにちSDGsアクションプロジェクト」のHPにも掲載されているので,下記にアクセスしてご覧下さい.
6/24(金),25(土)に熊大まちなか工房主催,すきたい熊本協議会協賛で「金沢,熊本,岡山 三都市シンポジウムin熊本2021」が開催されます.建築の両角先生(工学部長,副学長)が初代,私が2代目,そして今は田中尚人先生が3代目代表で,並木坂の太陽堂薬局にサテライトオフィスを持って,主に中心市街地の活性化のための調査・研究,学生のフィールドスタディ,まちづくり組織との連携を目的として設置された工学部の組織でした.卒業生の多くがまちづくり学習会への参加,工房をベースキャンプとした回遊行動調査などに携わった経験があるのではないかと思います.大学からの財政支援が停止したため,2019年9月にはオフィスを閉所し,公式には工学部組織としては消滅しましたが,任意の組織として今も活動を続けており,上記の三都市シンポジウムは三都市が順番に開催してきていました.まちなか工房については私の研究室のHPのバナーからアクセスして下さい.
コロナ禍で昨年は熊本開催が延期になったので,「in熊本2021」として開催します.今年のテーマは「まちなかの居場所づくりと新しいライフスタイル」です.シンポジウムの内容を書いたチラシを添付します.6/24(金)の本シンポはコロナ感染対策のため,現地参加者を制限しますが,オンラインでの参加は出来ます.オンライン参加を希望される方は
熊本大学 熊本創生推進機構 地域連携部門 coc-plus@jimu.kumamoto-u.ac.jp
へ「三都市シンポジウムオンライン参加希望」のタイトルでお申し込み下さい.URLが配信されます.
また,6/25(土)は下通アーケードにおいてオープンで車座ディスカッションを行います.これはどなたでも参加可能です.久しぶりにまちなかを散策に来たついでにひょいと寄って,一言,ご意見を頂けると有り難いです.
熊大を退職し,熊本学園大学に再就職してから,早,1年2ヶ月が過ぎました.この間,担当授業数の多さ(公平性を保つために春・秋学期計で10科目必須!),論文掲載費や投稿料を支払えない研究費(研究はするなってこと?),なかなか進まない変革(10年先,この大学はどうなっているのだろう)など,多々の苦難に直面して困惑してはいますが,元気に,ボチボチ,頑張っています.
これまで務めてきた熊本市都市計画審議会会長と熊本市公共交通協議会副会長は共に再任の任期も終えたので今年度中に離任です.また,来年度実施計画中の第5回熊本都市圏パーソントリップ調査では顧問を依頼されました.確実に歳をとってきて現役のステージからは退出です.
一方で,なぜか最近はNHK,NHK熊本放送局,熊日などからの取材や収録が度々あります.大学の宣伝になればと,できるだけこれらには応じようと思っています.大学でも宣伝塔の一人として,広報誌などに使ってもらっています.写真は「KUMAMOTO GAKUEN UNIV. 2023 熊本学園大学大学案内」の「経済学部リーガルエコノミクス学科」の先頭ページです.学生達(数人のサクラですが)の前で交通流シミュレーションの動画を見せているところです.まさかこんなに大画面で掲載されるとは思っていなかったので全くの普段着でした.シャツの皺くらいは伸ばしてくれば良かったと反省しています.また,Surfaceのログマークの横に冗談で張っていたAppleシールまで映り込んでしまったのはまずかったかも?
コロナ感染も徐々に収まってきており,感染対策も合理的になってきました.近いうちに皆さんと対面で語り合えることが出来るようになるのを楽しみにしています.
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多くの都市ではかなり前から導入されているシェアサイクルですが,熊本市でもようやく4月28日正午から運用が開始されました.その名は「ChariChari(チャリチャリ)」で,当面は42ポート,110台でサービスが提供されます.
今日は天気も良く,爽やかな日だったので,卒業生の竹熊君(復建調査設計)が熊本市から受注して実施している「熊本市グリーンスローモビリティ社会実験」を見に花畑広場・城彩園に行ったところ,市民会館前に4台の赤いChariChariを見つけました.早速,アプリのダウンロードを試みましたが,ダウンロードのためのQRコードがうまく読み込めませんでした.仕方なく城彩園に行ったところ,竹熊君がグリスロ(ゴルフカートですが,YAMAHAのモノよりはかなり良い)車両への客の案内・乗降係をしていました.実施主体が市街地整備課だからでしょうか,その実証実験の目的や仮説が何なのか,よく分かりません.どうせやるなら,少なくとも熊本城エリアでのゴルフカートのL4の可能性くらい実証しているのであれば良いのですが,自動運転は全く頭にないようで,動物園のお猿の電車と同じでした.
竹熊君にChariChariアプリのダウンロードとユーザー登録を手伝ってもらい,登録終了後,早速,水道町まで利用してみました.ミニサイクルですが,車体はガッチリしています.内装3段変速機付きですが,電動アシスト機能はついていません.熊本市内は平坦なので電動アシストは不要かもしれませんが,今は標準装備です.目的地を指定すると最短経路を教えてくれるし,返却可能ポートも残り返却可能台数と共にアプリ画面から見ることができ,アプリの機能としては十分です.ただし,今回はパーク24ビル周辺のポートに返却しようとしたのですが,ポートの写真も画面に表示されるものの,それがビルの側面にあるのかが分からず,結構,迷いました.
なぜ,水道町を目的地としたかというと,ご存じのように水道町交差点の国道3号浄行寺方面から熊本高森線鶴屋方面への右折が,バスは第1車線から,車は第4車線からという,極めて変則的な車線配分になっているのはなぜか?とある方から質問されたため,現示ごとの青時間を計測するのが目的でした.昭和44年に整備されたようですが,どの機関にも設計に関する資料が残っていないそうです.私も初めて見たときは,どの教科書にも載っていない車線の配分方法だったので驚いた記憶がありますが,慣れてくるとうまく右折を処理しており安全性も高いように思われてきました.誰か理由を知りませんか.また,設計時の資料などをお持ちの方はいませんか.
4月20日付けで新着研究室情報で紹介した「九州MaaSマッチング交流会オープニングイベント」の記事が電波新聞に掲載されました.その中で溝上教授による基調講演の要点も書かれています.
「電波新聞」とは聞いたことがなかったのですが,1950年5月に創業した電波新聞社が発行する業界新聞で,創刊電子工業の発展をビジネスと技術の両面から報道して70年、電波新聞は電機業界唯一の日刊紙ということです.
溝上教授の講演の内容はともかく,九州MaaSマッチング交流会の意義とそのオープニングイベントの様子を,紙面よりご覧下さい.
←九州MaaSマッチング交流会オープニングイベント ポスター クリックするとPDFが開きます |
2022年4月20日(水)に福岡システムLSI総合開発センターにおいて,一般社団法人の九州経済連合会とEMoBIAとの共催で開催された「九州MaaSマッチング交流会オープニングイベント」において,「○○産MaaSの創り方 ~モビリティは勿論,社会・都市・生活も変容~」と題した基調講演を行いました.
このセミナーは,上記の2つの一般社団法人が,九州各地において新たなモビリティやMaaSを通じて移動に関する課題の解決や地域活性化を図るために,先進的な取り組みの情報発信や官民交流の促進を目的として,今後展開する「九州MaaSマッチング交流会」のスタートアップイベントとして開催されたものです.
コロナ禍と言うこともあり,当時は2月の開催だったものが延期されて今回の開催となりました.50名の定員でしたが,福岡県内の中・小地方自治体の他,交通事業者やシステム開発,モビリティベンチャーなどの民間企業などから,定員を上回る数の参加があり,本テーマに対する関心が高いことが示されました.
溝上教授の講演では,1.改めて狭義・講義のMaaSの定義と概要,2.そのかなで熊本で進めてきたMaaS勉強会の意義と取り組み内容,3.種々の新たなモビリティの中でも,リアルタイム・オンデマンドサービスの有用性,4.熊本において溝上教授が先導してきた3つの異なる性格のリアルタイム・オンデマンドサービスの事例紹介,そして,5.○○産MaaSの創り方についての提案がありました.講演後には多くの聴講者から挨拶と質問があったことから,参加者にとって有意義な内容だったのではないかと思われます.
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熊本学園大学に移動して1年が過ぎました.熊大を退職する前の数年間の経過の早さにも増して,この1年はあっという間の1年でした.
熊日新聞でも大きく報じられたこともあって,本学の学報「銀杏並木(いちょうなみき)」の「特集1 地域×大学=未来をつくる 課題解決 地域が抱える課題に,「クマガクの知」で立ち向かう」という特集に,溝上教授が昨秋に国交省の新道路技術研究の支援を受けて実施した「ピアクレスAIデマンドタクシー」が紹介されました.
非常に寒い中,こんなに大きな記事になるとは思っていなかったので,写真撮影の日にはとっくりセータの上からベスト,それにジャケットを着込んで行ったのですが,まるでダルマさんのようになっています.また,タブレットを持たされて半身でこちらを見ているポーズもわざとらしい.しかし,さすがは制作・編集のプロの本学広報室,写真の見栄えも全体構成も良いだけでなく,インタビューから作成したタイトルや文章も非常に簡潔,かつ的確です.
これからは「次世代地域モビリティ社会研究センター」のようなものをつくって,学内は勿論,他大学・高専,官,民と実践的な研究と教育を始めようと考えています.興味がある方は連絡を下さい.
※「銀杏並木」は熊本学園大学のホームページからも閲覧できます.
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コロナ感染が拡大した昨年度は,演習科目などを除いて全ての座学科目がリモート授業になりました.専門ではないけれど,教科書をしっかり読めばどうにか教えることができる「ミクロ経済学入門I(完全競争市場での経済)」は,本来なら15回を全て1人で教えなければならなかったのですが,リモートだったので,「第4章 生産者の理論」だけを3回にわたって授業すればすみました.しかし,今年度も感染者数は決して少なくなっていないのですが,基本的には全ての科目が対面授業です.
今日の5限目に,新たな職場に赴任して始めて,400人は入る大・大・大教室で,100名ほどの経済学部経済学科現代経済学専攻の2年生を対象に,「ミクロ経済学入門II(主に不完全競争市場での経済,および労働市場,国際貿易)」の講義を行いました.今日は「不完全競争と独占」の1回目でした.久しぶりに緊張しました!!その時に使ったPPTです.福岡市におけるバス輸送サービスの市場は独占市場です.この理論を使って分析できると面白いですね.ただし,交通研究が取り扱うサービスはポイントエコノミーでなく,空間やネットワークを取り扱わなければならないから難しい.
交通政策に関する研究にはピュア科学である経済学を基礎理論として使うことが多いですが,理解していたつもりの競争的市場均衡も,経済学部の1,2年生に教える基礎的な内容から勉強し直してみると,「なるほど,そうだったのか!!」と思えるところが多くあります.また,これから教えようとしている不完全競争市場の問題は,「現実の交通サービスが直面している市場そのものだなあ!」と感じ入るところが多く,今更になって,「我々交通政策研究者はこれらの理論をベースに,何らかの介入によって社会的厚生を改善する科学的な方法を考えていかなきゃ!」と思うこの頃です.
昨年度の2021.12.13以降,更新しておらず,陳腐なものになっていました本HPも,今年度からは少なくとも月に1回,いや2回以上は,大して価値が有る訳がないニュースでも,どんどん更新して,主に卒業生を対象に,私の活動を報告します.
熊大を定年退職し,熊本学園大学に移動してから,早1年がたちました.恵まれた教育・研究と優秀な学生諸君がいた熊大と比べて,熊本県では老舗とは言え,私立文系大学である熊本学園大学はいろいろな面で違いがあります.
その1:教員には10科目ルールが課されています.これは,教員間の公平性(?)を保つという観点から,前・後期(本学では春・秋学期といい,これは本学の方が良いかも)合わせて最低10科目の授業を持つことが課されています.1年間で10科目ということは,春,秋学期に5科目ずつ,月曜から金曜まで毎日平均1科目の授業があるということです.これは辛い.国内出張もなかなかできないし,ましてや長期の海外出張などは言わずもがな.
その2:1年春学期に「導入演習」という,概論や「空間デザイン演習」のような科目があります. 20人が2人の先生に10人ずつ,ローテーションで指導を受けるのですが,たとえば本学科の特徴や教育プログラムの紹介,カリキュラムマップなどの説明など全く無く,初めから担当する先生が設定した演習課題を受けることになっています.「リーガルエコノミクス学科概論」のようなものが必要ではないかと思っています.
その3:昨年度1年間で学科会議は2回しか開かれませんでした.学科内に解決したり改善したりすべき課題がない訳では決してありません.考える課題を提案し,構成員で考え,改善していこうという機運をあまり感じませんし,学生の自主的な活動を支援しようという動きもないので,学生諸君も学科への帰属意識が薄いように思われます.私もですが.
その4:1年春学期の「導入演習」の後,2年秋学期に「演習II」,3年春・秋学期通年で「演習III」,4年春学期に「演習IV」が連続であり,秋学期に「卒論」が開講されています.基本的には「演習II」から「卒論」まで,同じ先生につくことになっています.途中で離脱することもできますが,一端離脱するとその後はその演習にも加われません.なんだか徒弟制度のようです.私のもとで卒論を行いたければ,2年秋学期から私の演習IIを選んでおく必要がありますが,生理的に合わないかもしれないし,テーマが面白くないかもしれないのでリスキーです.逆に,途中で私の研究が面白いので卒論を一緒にやりたいと思ったとしても,卒論だけをとることはできませんし,私もやる気のある学生と一緒に卒論をやることができません.
その5:経済学部の定員は350人くらいですが,大学院生は経済学部全体で1学年2,3人です.大学院進学のプロモーションを積極的に行っている先生はあまり見かけません.逆に院生を指導するのを嫌がる方もおられます.従って,先生方は研究を(している方でも)自分一人で黙々とされているようです.多様な意見の交換や知識の共有が独創的なアイデアを生み出すのに,なんともったいないし非効率なのでしょう.
これらは本学に固有のことでなく,基本的には文系に共通のようです.教育と研究,管理・運営,地域連携といった大学に課されたこれらの使命に対する考え方が,これまでとはかなり異なっています.慣れるのには非常に時間がかかりそうなので,そろそろ自分が動きやすいように変えていこうかなとも思っています.
遅くなってしまいましたが,村上麻紀さん,古賀逸人君,宮﨑一貴君,博士前期課程修了,おめでとう.宮﨑君は圓山研で博士後期課程に進学します.村上さんは大日本コンサルタント,古賀君は長大で,共に大阪支店に配属です.関西支部支部長?の橋内君(パシコン),幹事長?の穴井さん(パシコン),長老の八木君(泉佐野市),外部監査役の前川君(地域未来)温かく迎えてあげてください.
1995年(平成7年)の卒論1期生6人から始めて,これまでに卒研生108人,博士前期63名,博士後期8名(現在も3名在籍中)の学生諸君と一緒に研究をしてきましたが,残念なことに,ついにこの3人を最後にいなくなってしまいました.
最終講義でも述べたように,私の大学教員としての最大の自慢は,多くの卒業生が社会で活躍していることです.これからも健康に気をつけて活躍してください.