ここで講義内容を簡単に記録していきたいと思います。「簡単」な記録ですので、もちろん出席する代わりにはなりませんが、欠席しなければならない場合には、ここを見れば授業の流れなどが大体わかると思います。
私が書く「講義ノート」は皆さんのためにはなると思いますが、自分たちのノートの代わりにはなりません。講義に出席し、その内容を自分なりに理解し、ノートにまとめることはたいへん重要なことだと思います。この作業を通して講義内容が自分自身のものになっていきます。私が書く「講義ノート」と皆さんのノートを比較しながら更に考えを深めていってほしいと思います。逆に、私の「講義ノート」を暗記するだけなら皆さんのためにはならないと思います。試験について言えば、「講義ノート」の内容をよく理解していればいい点がとれると思いますが、「講義ノート」の単純な暗記だけで点がとれるような問題をできるだけ出さないようにします。
なお、このページの更新をできるだけマメにしていきたいと思いますが、毎年更新がかなり遅れてしまうことがあります。そこで皆さんに対するサービスを向上するために今年からは「更新の知らせ」を皆さんのメールアドレスに送りたいと思います。メールアドレス(携帯でも良い)を知らせてくれれば、更新する際に簡単なお知らせを送ります。中間試験や期末試験の時期が近くなってくると、この知らせは皆さんにとって特に有益だろうと思います。メールアドレスが外部に漏れないように注意しますので、気軽にmasden@kumagaku.ac.jp宛に「更新の知らせを受信したい」と書いたメールを送ったください。
9月27日、第1回
はじめに、「続く紛争と私たち」という講演会や10月9日から11日まで行われるEnglish Camp、留学制度などについて説明した。 次に本講義における「成績評定」を説明した上で、「『文化』の定義」に関する講義をした。「必然性のない当たり前」の例として、日本と外国の証明写真を比較したビデオ(「日本の証明写真で笑っちゃいけないのは何でやねん?」、ニュース・ステーション)を見せた。その後、ビデオを見せている間に配った出席カードの役割を理解してもらうために、2名の受講者に協力していただき、ドミノを使ったゲームをした。受講生同士のコミュニケーションを促進するための大事に掲示板を設けていることも説明した。最後に「必然性のない当たり前」に関するもう一つの例として『パパラギ』という絵本の一部を朗読した。先進国の常識は必然性のない当たり前であることをよく示してくれる本だと思う。この本の関連で「『はだか』の日米比較文化論」というレジメを使って補足した。
9月30日、第2回
「靖国を考える」(当日の4限目)という講演会を紹介した。講義で紹介した講演会に関する感想文をこの講義の課題の代わりに提出することができることを説明した。また、講義で紹介したイベントでなくても、前もって私の了解があれば、その他のイベントに出席して感想文を課題として提出することができる。講義の紹介の続きとして「『論』について」や「私の目標」「自己紹介」を説明してから「『文化』の定義」に関する説明を続けた。ビデオはMichael Breckerのジャズ演奏であった。最後に、「必然性のない当たり前」のもう一つの例として、アメリカの食文化に関する講義を始めた。この話はパワーポイントのみで、現時点ではこのホームページで発表できるレジメがない。このパワーポイントのプレゼンテーションを最後まで見せることができなく、肥満と所得の関する説明で中断した。
10月4日、第3回
前回の途中までしかできなかったアメリカの食文化に関するプレゼンテーションを終えた。その後、「肥満の増加に関するブレゼンテーションと『文化』」というレジメを使って、プレゼンテーションを通して伝えようとしていたことを総括した。次に、これまでの講義に関する勝ち抜きクイズを行って、優勝者にプレゼントを上げた。ビデオは「思い込み」の恐ろしさの例として選んだもので、罪のない黒人が黒人であるというだけで犯罪者扱いされる内容であった。最後に、数名からのコメントを紹介した。
10月7日、第4回
「思い込むこと」 について講義した。ビデオはAna Bortzさんが起こした裁判にに関するものであった。講義では紹介しなかったが、この裁判について詳しく知りたい人は「Ana Bortzさんが起こした裁判について」を見てください。また、ビデオなどの関係で『ダーリンは外国人』やISSHO Kikakuを紹介した。
10月14日、第5回
「思い込むこと」 に関する説明の続きをした後に、北海道の小樽にある「湯の花温泉」による外国人排除と同温泉を訴えている有道出人氏に関するビデオを見せた。「温泉問題について」を見てください。『We're Different, We're the Same』という絵本を紹介した。他人と自分との違いと共通点を同時に認識させる、大切なメッセージを持った本だと思う。
10月18日、第6回
先週の続きとして、温泉からの外国人排除問題に関するビデオを見せて、差別の本質についてカードで意見交換をした。
10月21日、第7回
「温泉問題について」話した後、二通りの見方のでぎる「だまし絵」を例に見方の重要性について話した。
10月25日、第8回
マクドナルドのインドへの出店に関するテレビ朝日のニュースステーションの特集であった。特集の後に久米宏キャスターの「外人は片言であってほしい」というコメントに対する抗議がきっかけとなり、ニュースステーションは「外人」という言葉に関する新たな特集を組んだ。ビデオの後は 「アイデンティティーについて」講義した。
10月28日、第9回
「アイデンティティーについて」講義をした。また、前回のビデオに対する講義を受けて、政策された「外人」という語に関するビデオを見せた。
11月1日、第10回
パワーポイントでアメリカの選挙制度を説明した。また、ビデオは
仏教とキリスト教との間の対話に関するものであった。「違い」を超えて良い関係を築くことは十分可能であることを教えてくれるビデオだと思う。ビデオの中でチベットのダライラマの思想がクローズ・アップされた。
11月11日、第11回
中間テスト
11月15日、第12回
「アイデンティティーについて」講義を続けた。ビデオは熊本在住の浜田知明先生の反戦作品に関するビデオを見せた。浜田先生のように活動こそが日本人として誇りに思うべきもので、けっして「自虐史観」や「恥さらし」ではないという意見を述べた。
11月18日、第13回
「アイデンティティーについて」の講義の続きとして、「Faces of the Enemy」というビデオを見せ、戦争と文化論の関係について解説した。ビデオと同じ主旨の本としてFaces of the Enemyがあり、『敵の顔』という題の日本語訳が図書館にあるので、関心のある方に見ていただきたい。また、ビデオで登場したJohn Dower教授のWar Without Mercyの日本語訳である『人種偏見』も図書館にある。
11月22日、第14回
「アイデンティティーについて」の講義の関連で、「人種」という概念関連のパワーポイントプレゼンテーション。「人種」という概念は「自然」ではなく、人間によって作られたものであることを強調した。ビデオは戸田奈津子の字幕翻訳に関するものでした。
11月25日、第15回
「英語の学び方について」講義した。ビデオはリービ英雄氏(作家、法政大学第一教養部教授)とのインタービューで、翻訳の難しさや日本語の普遍性に関するものであった。
11月29日、第16回
「英語の学び方について」講義した後に、NHKのドキュメンタリーを取り上げた。ワイドショーによるプライバシー侵害などを指摘するこの番組の中ではアメリカの報道が節度あるものとして紹介される。日本の報道の問題点を強調する目的でアメリカのメディアの一部しか取り上げていないので、アメリカの報道を美化する結果になっている。アメリカのメディアにも日本のワイドショーと同じ程度、あるいはそれ以上に節度のない、低俗な番組があることを示すために、アメリカのトークショー(talk show)を批判的に取り上げている討論番組(ABCのNightline)のビデオを見せた。
12月2日、第17回
「言葉と文化」について講義した。ビデオはアメリカにおける子ども同士のセクハラや日本における大人同士のイジメに関するものであった。既に頭にある言葉や概念によって、目の名前の現実が違ったように見えて来ることがあることを説明した。
12月6日、第18回
「看板英語」の例を紹介した後に、「コミュニケーションについて」講義した。
ビデオは1991年ごろにNHKが放送した「日米市民討論」という番組の中の日本人は働きすぎかどうかに関する部分であった。働くことをめぐって日本人とアメリカ人の価値観などが180度違うという通念(固定観念)が番組の前提になっていたが、その「常識」の型にはまらない日米の市民の発言が見事にその前提を崩して行った。
12月9日、第19回
「コミュニケーションについて」講義を続けた。ビデオはドイツの労働事情に関するニュース・ステーションの特集であった。ドイツと比較すると、日本とアメリカはむしろ似ている。
12月13日、第20回
姜信子先生によるゲスト講義
12月16日、第21回
米海兵隊員による少女暴行事件に関するニュース・ステーションの報道(1995年11月8日)にスポットを当てた。まず、ニュース・ステーションでABCの報道に触れていたので、その報道のビデオを見せた。その後、ニュース・ステーションの報道のビデオを流した。ビデオを一度見た後に、その中身を詳細にけんとうするために、番組でなされた解説をスクリーンに映した。そのスライドはここにある。ニュース・ステーションの報道の問題点を明らかにした上で、同様に誤解を招き、固定観念を広める報道はアメリカでもよく行われることを指摘した。固定観念や先入観に捕らわれないためにはメディアを批判的に見る必要がある。
12月20日、第22回
ビアオはaffirmative action(「少数民族優遇措置」と訳されていた)に関するものであった。また、期末試験に向けて、「中根千枝著の『タテ社会の人間関係』の中心的な概念」や「日本の教育制度と『場』」というスライドを使って、本で中根氏が展開している理論について開設した。
12月22日、第23回
「『場』におけるコミュニケーション」について講義した。ビデオは「華氏911」の一部であった。
1月6日、第24回
黒板で今までの授業のを「必然性のない当たり前」「アイデンティティー」「メディア」という語でまとめた。ビデオはメディアの問題との関連で、「ポーリング・フォアー・コロンバイン」の一部であった。
1月13日、第25回
学力 に関する国際比較に関する問題提起をした。文部科学大臣によるの学校教育の「診断」として「競争力低下」を一番重要な問題としていて、子どもたちにテストをさせて、競争で鍛えさせる必要を訴えていたが、見方によっては「勉強嫌い」を作っていることがもっと重大な問題で、その問題を重視するならまったく別の処方箋になる。メディアの取り上げ方やものの見方によっては同じ現状がまるで違ったように見えて来る。
ビデオは「ポーリング・フォアー・コロンバイン」の続きであった。
1月17日、第26回(最終回)
中間試験を返し、中間試験や期末試験の問題の解き方を説明した。欠席者は研究棟の受付で答案を受け取ることができる。課題などが未提出の人は今月末日まで提出してください。ビデオは司馬遼太郎氏の「21世紀に生きる君たちへ」を見せた。司馬氏は私が26回にわたって伝えたいと思ってきたことを小学生にも理解しやすいことばで、巧みに表現なさったと思う。(このエッセイは司馬遼太郎著の『十六の話』[中央公論社、1997年]に含まれている。本学の図書館の一階にある。[914.6||SH15])
なお、期期末試験は中間試験と同じく、講義に関して簡潔に答える問題を三つほど(配点60点)と、テキスト(期末試験の場合は『タテ社会の人間関係』)に関してくわしく答える問題を一つ(配点40点)となる。講義に関する問題についてはこの「講義ノート」を参考にしてください。『タテ社会の人間関係』に関しても「講義ノート」に参考になる内容がありますが、大事な点は著者の理論(「場」と「資格」というキーワードで説明されている理論)と本の中のさまざまな例との関係を理解して、自分で説明できるようになること。頑張ってください。
講義内容の見取り図である。これで全体の流れや構成を見ることができる。
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