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表からと裏からと 前置き ちょっとヒネたタイトルですみません。最初にタネアカシをすると、 表からの勉強法→目的の言葉を直接勉強する事。(教室、独習、留学 etc) 裏からの勉強法→母語(日本語)を通して、目的の言葉を勉強する上でのコツをつかむ事。 という意味です。ここでは「裏」を中心に説明します。 では、本論 日本国内で、英語に限らず外国語を勉強しようと思っているのなら、まずは初級用の日本語教科書を読んでみる事を勧める。 まず、日本にある程度の期間住むつもりの外国人は、日本語をあらかじめ勉強して来ている。彼らだって、せっかく勉強した日本語を使いたいのだ。ただ、私たちがそうであるように、彼らの主な勉強の方法は、やはり「日本語の教科書」や「日本語教室」である。従って、教科書に近い形の会話は理解しやすく、そうでない会話を理解するのは難しい。 外国人の友人と、language exchangeの形で言葉を覚えようと思っているならば特に、「どんな日本語だったら相手に分かりやすいのか。」を理解しておく事は大事だと思う。ごく簡単な例を挙げておくと、 ・昨日行った、新しくできた、郵便局の近くのカレー屋さん、美味しかったよ。(連体修飾でわかりにくい。英語だったら関係代名詞の文) ・昨日、カレー屋さんに行きました。そのお店は、新しいお店です。郵便局の近くにあります。カレーが美味しかったです。(単文の連続で初心者にもわかりやすい) もちろん、相手の日本語レベルに応じて、自由に会話内容を変えて良い。 これは、これから会話教室などで外国語を勉強しようと思っている人への提案。 たぶん、アウアウになるとは思うが、(私もいまだにそうだが)、できれば外国人二人くらいを相手に、日本語教科書の一つの章を教えてみよう。先生として、「あ、イヤな生徒だ!」とか「困ったな〜」と思うような事があれば、メモしておこう。逆に、「有り難いな」「嬉しいな」という事があれば、これもメモしておこう。(教えるからには、当然、下調べは必要。「日本人だから教えられて当然!」と思っていくと、5分でネタ切れになり大汗を掻くことになる。) では、何のためにこんな事をやるのか?ちょっと言い方は変だが「良い生徒になるコツ」を見つけるためである。 あなたが教わる先生だって、やっぱり人間。気持ちよく教える事ができれば教室内での会話は弾み、きっと有意義な授業を聞ける確率も上がるだろう。逆に先生が落ち込んでしまえば教室の雰囲気はドンヨリ澱み、「また来たい」と思えるような授業になる可能性は低い。出したお金を最大限に回収するためにも、やっぱりクラスは楽しくしたい。そのためには、「お金を出してるんだから!」と受け身になるのではなく、自分から良い雰囲気を作れるようにしたい。 どうしても英語に訳せないような言葉がある。たとえば、「しみじみ」とか。こういう言葉を、英語の中にはめ込んだ I drank sake very しみじみ last night admiring moon and remembering my late grandfather by my self. (昨夜、月を見ながら亡くなった祖父の事を思い出して、一人でしみじみ飲んだよ) (アクセントとしては、しみじみの部分だけは日本語の抑揚にする。) のような表現は、私は有益だと思う。こうする事で相手は「しみじみ」がどんな場面で使われるかが分かるし、こちらもウダウダと説明する手間が省ける。 このような表現は「正しい文ではない」と怒られるかも知れないが、言葉は話者の間で変化しつづけるもの。構うものかと思う。 もっとも、この手が通じるのは、品詞が英語と日本語であっている場合のみ。上記の例では英語で「様態の副詞」が入る部分に、日本語の「様態の副詞」をはめ込んだから。もちろん、文法用語は知らなくても良い。ただ、日本語についての感覚を磨いておき、また、自分で日本語の教科書を読む事によって、「相手もこの程度の語彙は持っている筈だ」という判断がつけば、いざという時にはこの手が使える。 ちょっとまとまりのない話になってしまったが、この稿はこの辺で。
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