2005年04月30日

気になる言葉-「脱法」

 最近、気になっている言葉がある。メディアで見かける事が多い「脱法ドラッグ」、という言葉。
 気になっている理由は、、


(1)法に違反しているのなら違法、そうでなければ合法。
 そんな風にすっきりした、「1」「0」の世界に不意に0.31とか、0.8が出現したような違和感。
 法が万能でない事も、現実世界と法の間のズレを無くす事ができないのは百も承知だ。ただ、この「脱法」という言葉を認めてしまえば、法を正確に適用す事で社会を維持しようとしている司法、法を少しでも現実に近づけようとしている(はずの)立法機関の営為を無視する事にはならないんだろうか?

(2)言葉の発生過程についての気持ち悪さ
 この「脱法ドラッグ」という言葉、警察等の公安機関の発表で使用され、ロビー取材している新聞、TVなどがそのまま使っているのではないだろうか?言葉について正確な感覚を持つべきメディアの人々が、無自覚に外から与えられた言葉を流しているとすると、その辺りも問題だと感じる。
 今、「脱法ドラッグ」と言われている一連のドラッグ、責任の所在を明確にするためにも「公安委員会指定、危険ドラッグ」とか、そういう呼び方にしたほうがまだスッキリするのだが。

(3)恣意的に使われる危険性
 ドラッグに関わらず、モノや人、行為を「脱法」と判断するのは誰なんだろう?多分、これに明確な答えは無いんだろうと思う。「みんなの意志を代弁している」マスコミかもしれないし、この例のように警察、あるいは「警察とマスコミの間の曖昧な部分」なのかも知れない。
 いずれにせよ、「脱法」のラベルを貼られると、責任の所在が明確でない以上、不服の申し立ても名誉回復の機会も与えられない。
 この部分が、一番引っかかっているような気がする。

ynoge1 at 06:51 │Comments(3)TrackBack(0)clip!雑感 

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この記事へのコメント

1. Posted by ふれでりっく    2005年04月30日 21:24
最近気になった言葉といえば…、
あるニュース番組でアナウンサーが使っていた言葉。
どこかの市だか区だかで、歩道での喫煙を禁止する条例が出来たそうな。
それを報道するアナウンサー、「ここXXでは今日から歩道ではタバコを吸う事が出来なくなりました」???
おや?待てよ?
大分弁で言ってみると
「ここXXでは今日から歩道ではタバコを吸いきらんごつなりました」
2. Posted by ふれでりっく    2005年04月30日 21:25
何だかXXでは酸素が不足しているのか、あるいは過多で火をつけた途端に人間もろとも燃えてしまうみたいじゃあないですか。
「ここXXでは、皆さんの合意の下に今日からタバコを吸ってはいけない事になりました」というのが正しい表現だと思います。
この英語ではCANで表現される能力を曲解する事で、病んだ思考が蔓延っている様に思えます。
曰く「日本には憲法9条があるから戦争は出来ない」、曰く「生存権という自然権があるから何人も人を殺める事は出来ない」。
じゃあパレスチナやイラクに憲法9条を差し上げれば戦いは無くなるんだろうな、
そしてライオンに食われた人や、イラクで胴と頭を切り離されたコウダさんは自然権を自ら放棄したのかよ!と言いたくなります。
3. Posted by 登るプログラマ    2005年05月01日 06:58
 たばこの件、「なるほどな」って感じです。日本語では無主語文が多い分、責任の所在が不明確になる時が多い気がします。(だから、英語が優れていて日本語が劣っているという気は毛頭ありませんが。)

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